老後が不安なので、株を始めました DAY121【目標株価という、ものさし】
―ハルと歩く、Age60の投資録 121日目―買う前に、測ってみる

今日の講義は、「目標株価を活用する」。
これで、ここまで学んできた配当株投資の講義も、全10回が終わる。
最後に出てきたのは、銘柄を探す方法でも、決算書の読み方でもなかった。
「その株、今はいくらなら買える?」それを考えるための、ひとつのものさしだった。
〈目標株価は、正解ではない〉
講義の冒頭で、まず念を押されたことがある。
どんな計算式を使って目標株価を出しても、それが株価の「正解」になるわけではない。
市場で実際についている株価は、ひとつだけ。
目標株価は、あくまで自分なりに計算した数字だ。
🌸 私:「じゃあ、わざわざ計算する意味ってあるのかな」
🌱「未来の株価を当てるためではなく、今の株価を見るためなんでしょうね」―ハル
なるほど。目標株価は、「この株はいずれ229円になる」と予想する数字ではない。
今の株価が、自分のものさしから見て高いのか、安いのか。
それを考えるために使う。
そう思うと、「目標株価」という言葉の見え方が少し変わった。
〈10年分の利益を、ひとつずつ足す〉
講義で紹介された計算方法は、意外にシンプルだった。
一般的な簡易式のひとつとして紹介されたのが、直近EPS×10+BPSという考え方。
EPSは1株当たり純利益、BPSは1株当たり純資産だ。
つまり、「10年分の利益」と「今持っている純資産」を合わせて見るイメージになる。
ただ、講師の方は少し違う方法を使っていた。
過去10期のEPSをすべて合計+今期BPS。
直近1年のEPSを単純に10倍するのではなく、実際に積み上げてきた10年分を使う。
🌸 私:「あ、これまでやってきたこととつながった」
🌱「DAY118で、過去10期のEPSを1期ずつ確認しましたよね。ここでも同じ10年間を見るんですね」―ハル
昨日まで別々に見えていたものが、少しずつ一本につながっていく。
銘柄を選ぶときも過去10期。
目標株価を考えるときも過去10期。
未来を当てにいくというより、その会社が実際に積み上げてきたものから考える。
この講義でずっと繰り返されてきた考え方だった。

〈同じ業種で並べると、また見え方が変わる〉
目標株価は、一社だけを見るためのものでもなかった。
講義では、総合商社3社を同じものさしで比べていた。
講義時点のデータでは、三菱商事は目標株価より31%上、丸紅は56.9%上、伊藤忠商事は35.9%上。
どれも目標株価を上回っているけれど、この3社だけで比較すれば、三菱商事が相対的には低い。
🌸 私:「"安いか高いか"だけじゃなくて、"この中ならどれか"にも使えるんだ」
🌱「同じ業種なら、比較のものさしとしても使えるということですね」―ハル
さらに、通信、保険、商社と業種ごとに比べれば、今どの業界が相対的に高いのか、低いのかを見る手がかりにもなるという。一
つの数字だけで答えを出すのではなく、比べることで使う。そこが面白かった。
〈そして、NTTが出てきた〉
通信業界の例になって、私は少し前のめりになった。
NTTだった。
講義で使われていた2026年2月16日時点のデータでは、講師の計算による目標株価は229.5円。
それに対して終値は154.2円。目標株価を約32.8%下回っていた。
🌸 私:「NTT、ずっと候補にしていた銘柄だ」
🌱「だからこそ、"割安らしい"で終わらず、自分でも数字を確認してみたいですね」―ハル
そうだった。
ここで「やっぱりNTTは買いだ」と飛びついたら、ここまで120日勉強してきた意味がない。
しかも、この数字は2月時点のもの。
株価も業績も変わる。
今日の私に必要なのは、講義の229.5円を覚えることではなく、同じ方法を自分で使えるようになることなのだと思う。
💬 Satsukiの疑問とハルの回答
🌸 私:「じゃあ、目標株価より30%も安かったら、買っていい?」
🌱「それだけでは決めません。まずスクリーニング、過去10期の実績、そして定性分析。そのうえで目標株価を見る。講師の方も、あくまで補助的な指標だと言っていましたよ」―ハル
また、順番だった。
DAY118で数字から絞り、DAY119で数字の裏側を読み、DAY120で自分が何のために投資するのかを考えた。
そして今日、その銘柄をいくらで買うのかを考えるものさしが一つ増えた。

〈今日、一番わかったこと〉
目標株価は、未来を当てる数字ではなかった。
買う前に、一度立ち止まるためのものさし。
今の株価は、自分が見てきた会社の実績に対して高いのか、安いのか。
同じ業種の会社と比べたらどうなのか。
そして、半年後にもう一度測ったらどう変わっているのか。
そんなふうに使えばいい。
これで、配当株投資について学んできた全10回が終わった。
配当の魅力を知り、銘柄を絞り、10年分の数字を見て、その裏側まで読む。
そして昨日、自分のお金をどこに置くのかを考えた。
最後にもらったのは、答えではなく、一本のものさしだった。
NTTも、講義の数字だけを見て買うつもりはない。
今度は、自分で測ってみよう。
10回分の講義は終わったけれど、私の実践は、まだまだだ。
明日も続ける。
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