父の戦記|第一話 経営難のコンビニオーナー、父の戦記を読む
私は、育ち盛りの4人の子どもを抱えるコンビニオーナーだ。
傍から見れば、順調そうに見えるかもしれない。
だが実際は、毎月資金繰りに追われている。
今から14年前。
コンビニの雇われ店長から独立する際、父はこんな言葉で私を励ましてくれた。
「ご先祖様は異国の地へ渡り、並々ならぬ苦労をして、後の世代へバトンを繋いできた。お前もフロンティアスピリッツを持って頑張れ」
私はその言葉を胸に、がむしゃらに働いた。
数年ごとに店を増やし、前へ前へと進んできた。
だが今、その“攻め”が、自分自身の首を締めている。
最低賃金の上昇。
電気代の高騰。
あらゆる経費の増加。
それらが、抱える店舗数の分だけ重くのしかかる。
店を増やしてきたことが、ここ数年で一気に重荷になった。
情けなさもある。
父に申し訳ない気持ちもある。
そんなある日、ふと父が昔まとめていた一冊の冊子を、本棚から取り出した。
『父の戦記』
私の祖父・佐藤明が、戦地で見たもの、生き抜いた日々を、父が聞き書きとして残した記録である。
ページをめくりながら私は、そこに今の自分を支えてくれる何かがあるような気がしていた。
いいなと思ったら応援しよう!
祖父母の記憶、コンビニの日常、家族のこと。
地方で踏ん張る45歳が、
日々の出来事を少しずつ書き残しています。
応援いただけると嬉しいです。