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公務員試験の論文の書き方|1,000本添削してわかった、そのまま使える構成テンプレート

この記事では、次の4つを持ち帰ってもらいます。

1.序論から結論までの4ブロック構成と、字数の配分表

2.各ブロックの穴埋め式テンプレート(埋めれば形になります)

3.本番で7分間に書く「構想メモ」の実物

4.本番60分の時間配分

読了の目安は15分です。時間がない方は、第9章(構想メモの実物)だけ先に見てください。この記事で最も他にない部分です。

精神論は書きません。型だけを渡します。

私は12年間、地方公務員として働いてきました。
都庁では予算編成や事業企画に携わり、管理職が何を通し、何を差し戻すのかを間近で見ています。多くの自治体で、採点にあたるのは管理職層です。
受験指導では、累計1,000本以上の答案を読んで採点しています。
その経験から言えることは、ひとつです。論文で落ちる人は、文章が下手なのではなく、型を持たずに本番に入っています。




第1章 なぜ型が必要なのか

理由は2つあります。

1-1. 本番に、構成を考える時間はない

1,000字の論文で、試験時間は60分〜90分程度が一般的です。この時間で、テーマを読み、構成を考え、手書きし、見直す必要があります。

構成をゼロから考えると、それだけで15分以上が消えます。そして残り時間で焦って書くので、施策が雑になります。

型を持っている人は、構成に使う時間がほぼゼロです。 その分を、施策を具体化する時間に回せます。この差が点数の差になります。


1-2. 論文は「減点を避ける試験」である

論文の評価は段階評価が主流です。そして採点者は、大量の答案を短時間で処理します。

このとき、「独創的で光る答案を探す」よりも、「不備のある答案を落とす」方向に判断が働きます。

だから戦略はこうなります。

誰も思いつかない斬新な政策で勝負する

減点要素をゼロにして、確実に上位の評価帯に入る

型は、この「減点要素をゼロにする」ための道具です。ホームランを狙う試験ではありません。


第2章 全体設計:4ブロックと字数配分

型は4ブロックです。これだけです。

2-1. 1,000字前後の場合

①序論:150~200字 課題を一つに絞って明示する

②原因分析:200~250字 なぜその課題が生じているかを説明する

③施策:400~500字 施策を2本、具体的に書く

④結論:100~150字 課題と施策を再確認し、姿勢を示す


配点上、③がもっとも重く、そして最も差がつきます。 字数の半分を施策に使う設計になっているのは、そのためです。


2-2. 1,500字以上の場合

増やし方には、正解と不正解があります。

施策を3本にする

施策は2本のまま、「実施上の課題と対応」を一段落追加する

課題を2つ3つに増やす

字数を埋めるために課題を増やすと、論点が散って全部が浅くなります。課題は何字であっても一つです。 これは例外がありません。
なお、上級者向けに、施策と結論の間に60字程度の段落をもう一つ足す形があります。この記事では扱いません(後掲の答案例集で解説しています)。まずは4ブロックを固めてください。


第3章 序論の型:課題を「一つ」に絞る

3-1. やることは2つだけ

もっとも多い失敗は、序論で課題を並べることです。

1,000字で3つの課題は扱えません。結果、本論でどれにも触れられず、序論と本論が切り離されます。

やることは2つです。課題を一つに絞る。絞った理由を一文添える。

3-2. ダメな序論と、良い序論

課題が並んでいる

少子高齢化、財政難、地域コミュニティの希薄化といった課題があり、行政の対応が求められている。

一つに絞り、絞った理由がある

少子化の要因は多岐にわたるが、本稿では、本市が自らの権限と資源で直接対応できる課題として、第一子の出産後に子育て世帯が孤立する状況を取り上げる。既に子を持つ世帯の負担軽減が、本市にとって最も現実的な着手点だからである。

後者には「なぜこれを選んだか」が書かれています。この一文があると、施策が小さく見えても「意図して絞った」と読まれます。


3-3. 穴埋めテンプレート

 【テーマ】が進行する中で、【本市/本県】が対応すべき課題は複数存在する。本稿では、その中で最も【緊急性が高い/直接的に対応可能な】課題として、【課題を一つ】を取り上げる。理由は、【絞った理由を一文】である。


第4章 原因分析の型:原因も「一つ」に特定する

4-1. 原因を飛ばすと、施策が思いつきになる

ここを飛ばす答案が非常に多いです。序論の直後に、いきなり施策が始まります。
原因を特定しないまま施策を書くと、施策が「思いつき」になります。 その施策がなぜ課題に効くのか、書けなくなるからです。
長く書く必要はありません。一段落で、原因を一つに特定するだけで足ります。


4-2. ダメな原因分析と、良い原因分析

結果を描写しているだけ

少子化が急速に進行しており、深刻な社会問題となっている。

これは「何が起きているか」であって、「なぜ起きているか」ではありません。

原因から課題まで矢印が1本

この課題の背景には、転入世帯の増加により、近隣に頼れる親族を持たない子育て世帯が増えていることがある。孤立が育児不安を高め、結果として第二子以降の出産をためらう世帯が生じている。

原因 → 中間 → 課題が、一本の線で追えます。この形にしてください。


4-3. 穴埋めテンプレート

 この課題の背景には、【原因を一つ】がある。【原因】が【中間の結果】を招き、結果として【課題】が生じている。


第5章 施策の型:ここが勝負です

字数の半分を使うブロックです。そして、減点がもっとも大きく発生する場所でもあります。

5-1. 満たすべき4要素

施策には、次の4つが必ず入っていなければなりません。

1.誰が(実施主体。できれば部署名)

2.誰に(対象。絞れているほど良い)

3.何を(具体的な事業・行為)

4.どうやって(手段・実施方法)

判定は簡単です。書いたあとに、自分にこう問います。

「これ、明日から誰が何をするの?」

答えられなければ、その施策は空欄と同じです。


5-2. ダメな施策と、良い施策

4要素がゼロ

子育て支援を充実させ、若い世代が住みやすいまちづくりを推進する。

誰も登場しません。「充実」「推進」という動詞だけが並んでいます。

4要素が入っている

保育課が、生後6か月から1歳の子を持つ親を対象に、既存の子育て支援センターの空き時間を活用した交流会を月2回開催する。

長さは倍ですが、主体・対象・手段・頻度がすべて入っています。


5-3. もう一段上げる要素:既存資源の組み替え

新しい施設を建て、新しい職員を雇い、新しい補助金を出す——この形の答案は、行政の現実を知らないと判断されます。財政と定数の制約は、どの自治体でも共通の前提です。

高く評価されるのは、既存の資源を組み替える提案です。

・既存施設の空き時間を使う

・既存の会議体に機能を追加する

・既存の登録者・ボランティアに担ってもらう

・国や都道府県の既存制度を活用する

「限られた財源の中で」という一言を入れられるかどうかは、かなり大きな差になります。


5-4. 穴埋めテンプレート

 そこで第一に、【担当部署】が、【対象を絞って】に対し、【手段】により【何を】行う。実施にあたっては【既存の資源】を活用し、新たな【人員配置/施設整備】を伴わない形とする。 
第二に、【担当部署】が、【対象】に対し、【手段】により【何を】行う。これにより、【原因】に直接働きかけることができる。

第二の施策の末尾は、①原因に立ち返る、②その施策のあと何が残るかを書く、のどちらかで締めます。ここで序論・原因分析・施策が一本につながり、構成の一貫性が評価されます。


第6章 結論の型:決意表明にしない

6-1. 結論の役割

結論の役割は、課題と施策を締め直すことです。気持ちを述べる場所ではありません。


6-2. ダメな結論と、良い結論

決意表明で終わっている

私は住民に寄り添う職員として、全力で職務に取り組んでいきたい。

課題と施策を締め、姿勢は最後の一行

以上のとおり、第二子以降の出産をためらう状況に対しては、支援を届ける仕組みへ転換し、孤立の深い時期に対象を絞って関係をつくることが有効である。私は職員として、住民が制度を探さなくても支援に到達できる窓口のあり方を追求していく。

姿勢の一文は最後の一行だけです。それ以上書くと、作文になります。


6-3. 穴埋めテンプレート

 以上のとおり、【課題】に対しては、【施策の方向性を一言で】が有効である。私は職員として、【姿勢を一文】。

ここまでで4ブロックの型は揃いました。
ただ、型を知っていることと、型どおりに書けていることは別です。
自分の答案が今どのくらいなのかは、採点表に当てはめないと分かりません。
後編では、実際に量産される平凡な答案を100点満点で採点し、失点箇所を全部開示しています。まずは第9章まで読んでから進んでください。


第7章 文体の型:機械的に置き換えるだけ

7-1. 置き換えリスト

文体は、考えて直すものではありません。置き換えのリストを覚えるだけです。

書いてしまう表現
・行政は〜すべきである
・〜が求められる
・〜が必要である
・〜だろう/〜と思う
・〜ではないだろうか

置き換え
・本市は〜を実施する/私は職員として〜に取り組む
・〜を行う
・〜する
・〜である
・(断定に直す)

「べき」「求められる」は、外から論評する人の言葉です。あなたは、その組織の職員になる人として書きます。


7-2. その他に守る3点

・常体(だ・である)で統一する。敬体との混在は確実に減点されます

・話し言葉(なので、あと、けど)を使わない

・指定字数の9割以上を埋める。8割を切ると、内容以前に評価が落ちます


第8章 本番60分の時間配分

8-1. 時間配分表

型があると、時間配分が固定できます。

・0〜3分:テーマを読み、問われていることを確認する

・3〜10分:構想メモを作る(次章で実物を示します)

・10〜50分:書く。序論から順に、迷わず進む

・50〜57分:読み返す。文体・誤字・字数を確認する

・57〜60分:予備(字数調整)

試験時間が90分の場合は、構想メモを10分、書く時間を65分に伸ばし、読み返しは7分のまま固定してください。読み返しの時間だけは、試験時間が変わっても増やさず減らさずで構いません。


8-2. 崩さないための2つの原則

重要なのは、10分の時点で構想メモが完成していることです。書きながら施策を考えると、必ず抽象的になります。

そして、最後の7分は必ず読み返しに使ってください。 内容が良い答案でも、文体の乱れで落とす人が毎年います。ここは技術ではなく、時間を確保するかどうかの問題です。

以前、構想に毎回15分以上かけてしまう受験生を指導したことがあります。書き始める時点で残り時間が足りず、後半の施策は急いで書くので抽象的になり、見直しの時間も残りません。

そこで、構想メモは7分で打ち切る練習を繰り返しました。①課題、②原因、③施策の4要素、④結論——ここまで書いたら、メモが完成していなくても本文に移ります。すると、本文を書き終えたあとに7分前後を残せるようになりました。

残った時間で見つかったのは、常体と敬体の混在、主語の欠落、同じ語句の重複です。いずれも、読み返しさえすれば自分で直せるものでした。内容を増やしたわけではありません。考える時間と書く時間を分けただけで、答案の完成度が安定したのです。


第9章 構想メモの実物

ここが、他ではあまり教えられていない部分です。3〜10分で作るメモが、実際にどんな形をしているかをお見せします。

9-1. 7分で書くメモ

テーマ「少子化が進行する中で、行政が取り組むべき施策について(1,000字)」、市役所を受験する場合。問題用紙の余白に、これだけ書きます。

① 課題
子育て世帯の孤立(第2子をためらう)
絞る理由:市の権限で動かせる範囲だから

② 原因
転入増 → 頼れる親族なし → 育児不安 → 第2子ためらう

③ 施策
施策1
誰=市民課の窓口職員
誰に=転入・出生届時の未就学児世帯
何=地域の情報一覧+初回予約
どう=転入手続に一工程加える
※支援センターが孤立世帯に届いていないため

施策2 
誰=保育課
誰に=生後6か月〜1歳の親
何=交流会 月2回
どう=空き時間+登録サポーター
※新規予算なし

④ 結論 
届ける仕組み + 孤立期に絞る

文章にはしません。箇条書きと矢印だけです。 所要7分。


9-2. このメモがあると、何が変わるか

3つ変わります。

書きながら考えなくなります。 施策が抽象的になる最大の原因は、書きながら中身を探すことです。メモの段階で4要素を埋めてしまえば、本文はそれを文章にするだけの作業になります。

ズレが書く前に見つかります。 ①と③を並べて見ると、課題と施策が噛み合っていない場合にすぐ気づきます。書き終えてから気づくと、修正できません。

時間が読めます。 メモの分量から、本文がどれくらいになるか見当がつきます。字数不足は、この段階で防げます。

練習のときも、必ずこのメモから作ってください。 メモを作る訓練が、そのまま本番の速度になります。


第10章 型は共通、粒度は自治体レベルで変わる

10-1. 市区町村と都道府県では、立場が違う

ここまでの4ブロックの型は、市区町村でも都道府県でも共通です。変わるのは、施策の粒度だけではありません。課題の立て方から変わります。

・市区町村は、住民一人ひとりに直接サービスを届ける立場です

都道府県は、市町村を支え、市町村間の格差を埋める立場です

同じ「少子化」でも、市役所の課題は「子育て世帯の孤立」、県庁の課題は「市町村間で支援水準に差が生じていること」になります。施策も、市役所なら「保育課が交流会を月2回開催する」、県庁なら「県が広域で保育人材を確保し、町村が共同で利用できる枠組みをつくる」と変わります。県庁の答案で窓口対応を書くと、県の役割を理解していないと読まれます。


10-2. 併願する場合は、答案が2種類必要

主語を変えないまま両方に出すと、片方で落ちます。

ここは実物を見たほうが早いので、後編で市区町村版・都道府県版の2パターンを並べて実演しています。


よくある質問

Q. 1,500字や2,000字のときは、どうすればいいですか。

施策を3本にするか、施策2本のまま「実施上の課題と対応」を一段落足してください。課題を増やすのだけは避けてください。

Q. 書き出しが思いつきません。

序論のテンプレートをそのまま使ってください。書き出しに個性は不要です。「【テーマ】が進行する中で、対応すべき課題は複数存在する。本稿では〜」で問題ありません。

Q. 施策は2本と3本、どちらがいいですか。

1,000字なら2本です。3本にすると、1本あたりが200字を切り、4要素が入らなくなります。本数より、1本の具体性です。

Q. 具体的な部署名が分かりません。

受験する自治体のサイトで組織図を見てください。5分で確認できます。分からない場合は「福祉の担当課」「防災の担当課」でも構いませんが、部署名が書けると具体性の評価が上がります。

Q. 課題が思いつかないときは、どう探せばいいですか。

行政が既にやっているのに、届いていないこと」を探してください。制度はあるが使われていない、名簿はあるが活用されていない、といった空白は、どのテーマにも存在します。ここは施策が具体的になりやすく、狙い目です。

Q. 常体と敬体、どちらで書くべきですか。

常体(だ・である)です。混在が最も減点されるので、統一を優先してください。


まとめ

・型は4ブロック。序論150〜200字/原因200〜250字/施策400〜500字/結論100〜150字

課題は一つ。原因も一つ。 字数が増えても課題は増やさない

・施策は「誰が・誰に・何を・どうやって」の4要素。判定は「明日から誰が何をするの?」

新規予算を前提にせず、既存資源の組み替えで書く

・文体は置き換えリストで機械的に直す

・本番は、10分で構想メモを完成させ、最後の7分を読み返しに使う

型は、覚えてしまえば一生使えます。まず1本、この型で書いてみてください。


次に読むもの

型を手に入れたら、次は自分の答案が何点なのかを知る段階です。

後編では、実際に量産される平凡な答案を1本用意し、100点満点の採点表で採点して、字数を変えずに書き直しています。39点の答案が86点になる過程を、失点箇所ごとにすべて開示しました。市区町村版・都道府県版の2パターンも並べています。

👉 公務員試験 論文の添削例|100点満点で39点の論文。字数を変えずに86点にします。
※8/7に公開予定です。

この型で1本書いてから読むと、効果が最大になります。

なお、型を当てはめた完成答案を複数見たい方は、6テーマ12本の答案例をまとめたものもあります(後編の末尾で案内しています)。


X(@satoPUBLIC)でも日々の対策のヒントを発信しています。

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