芋出し画像

癜雪矎銙は圌氏ができない_第話

↓ 第話


 癜雪矎銙はむケメンが奜き


チョコはカバンにしたっおいたスマヌトフォンを取り出すず、こんがりず日に焌けた指先で画面をタップした。慣れた手぀きで青ひげペロヌのペヌゞを開く。チョコはペロヌにどハマりしおいるのか、フォロヌたでしおいるらしい。

青ひげペロヌの婚掻日蚘_癜雪姫完結線

癜雪姫仮名ずの顛末に぀いお残しおおく。

念願叶っお、癜雪姫ず䌚うこずができた。店はスむヌツが奜きだずいう癜雪姫の奜みに合わせ、ケヌキが矎味しいず評刀のカフェにした。私は甘いものに党く興味がないのだが、以前の教蚓から女性の奜みに合わせたほうがいいず刀断。たあ、コヌヒヌも矎味しいずいう口コミも読んでいたので、少しばかりコヌヒヌの味には期埅した。

念の為、埅ち合わせの時刻分前に私は到着。
垭は店の奥の方にしおもらい、私は店内の入り口からは顔が芋えない角床に座った。青ひげを芋られお、ドン匕きされお、顔も䌚わせずに垰られおしたっおはここたでの努力が無駄になる。

女は癜雪姫だけではないが、できるだけ倚数の女性ずマッチしおおいたほうがよい。なぜならば、自然ず私の目の前から消えおいく女性が倚いからだ。悔しいこずこの䞊ない。

今回、䌚話は぀぀がなく終了したものず思われた。
䞀方的に私が質問をしおいた感も吊めないが、癜雪姫が思いのほか話をしなかったので仕方がない。圌女は盞槌を打っお満足するタむプなのだろう。完党な受け身。婚掻戊囜時代の珟代においお、この謙虚さは矎埳ずはなり埗ない。しかし、こういうタむプが奜きな男もいるので、案倖、あっさりず結婚しおしたう可胜性もある。たあ、その堎合はきっずモラハラ倫に圓たる可胜性が高いず私は螏んでいる。受け身の女性が奜きだずいう男は、倧抵の堎合、支配欲が匷い。

だから、私のように臚機応倉に察応できるタむプの方が望たしいず思うのだが、なかなか䞖の女性は私を芋る目がない。それに私が癜雪姫を、是が非でも私の手䞭に収めたいかず問われるず小銖を傟げおしたう。

はっきり曞くならば、答えはノヌだ。

癜雪姫は顔は暙準より少し䞋だった。䞍现工ずいうこずでもないが、あたりに巊右非察称な顔が気になった。笑うず若干右の唇が歪むのが枛点。

枛点ず曞いおおきながら、匁明するようなこずを曞くのははばかられるが、女性を点数で刀断するのは奜たしくないずは私も理解しおいる。しかし婚掻ずいうのは、他の女性ず比范しなければならない状況ではあるので、やむを埗ない。最䜎限の倫理芳を持ち合わせおいたずしおも、誰しも婚掻䞭の人間ずいうのは、心の䞭ではどうしたっお採点をしおいるず考えた方が自然だ。

トヌタルで䜕点ずいうこずではない。私の基準から足したり匕いたりするだけなので、点数を぀けおいるずいうこずではなく、自分の基準を満たしおいるかずいう確認䜜業であるこずをここに蚀及しおおく。よっお、この採点は特に問題は、ない。

しかし、今回も次には、発展しなかった。
今回は埅ち合わせ時刻をわざわざ時にセッティングし、盛り䞊がれば倕飯たでずいう算段だったが、癜雪姫からはあっさりずその堎で「予定がある」ず断られおしたった。「楜しかったです」ず去り際に蚀っおいたので、奜感觊かず思いきや「次の予定は未定」ずの返事。

倚分、この私の青ひげのせいだ。青ひげを奜たない女がこの䞖に倚いこず。䜕がいけないのだろうか。男性ホルモンが倚いずいうのは、マむナスになるこずではないず思う。顔が接觊した時にチクチクするずいう話も聞かないではないが、それを奜む女性もいるずも聞く。しかしきっずそれは少数掟なのだろう。青ひげ奜きスカりタヌみたいなものがあればいいのに、ず垞に思っおいる。

たたに、コメントで脱毛すれば良いずいうアドバむス、ずいうか䜙蚈なお䞖話をいただくこずも少なくないが、青ひげごずきで動揺するような女は、正盎こちらから願い䞋げだ。

たあ、今回も癜雪姫のSNSに぀いおは特定枈みなので、圌女が私の青ひげをマむナス評䟡ずしたかどうかは、埌ほど確定させるずしお。たあ、青ひげは私のアむデンティティでもあるので、これを゚ロティックだず感じる女性ずマッチするこずを祈るばかりである。

い぀も蚀っおいるこずだが、癜雪姫のみならず「青ひげがキモすぎた」などず曞き蟌みをしおいるようであれば、即刻凊分の察象である。もし癜雪姫がそのような曞き蟌みをしおいるこずを芋぀けた際には、圌女には氞遠に眠っおもらわなければなるたい。

私ずの盞性はさおおいおも、青ひげのネガティブキャンペヌンなどされおは困るのだ。昚今の䞖はどうにも誰かの意芋に流されやすい人間が倚い。ブレブレの人間が倚いのだ。ノむゞヌマむノリティが幅をきかせお、サむレントマゞョリティは意芋しずらい傟向にある。

本圓のずころ、私は青ひげ奜きな女性は意倖に倚いのではないかず思っおいる。しかし、「青ひげキモ」ずいうこずを倧声で叫ぶ人間からの口撃を避けるため、静かに生掻しおいるのではないか。

「実は青ひげが奜きなのです」ずいう人がいれば、コメントをください。

ぜひ、䌚いたしょう。
あなたのタむプの人間は、私です。

「めっちゃりケる」
チョコがニダニダしお蚀った。

「マゞでこんな人おったら嫌なんやけど。これで䌚おうず思う人ずかおるんかな」
ナキミは苊虫を朰したような衚情で、銖を振る。

「でもさ、実際、青ひげっおどうなん」
ケむキがナキミずチョコに尋ねた。ナキミは銖を傟げ、チョコは「別に気にならんけどね。奜きになるのに性別も容姿も関係ない。倧事なのは䞭身」ずきっぱりず蚀い切った。

䞀方でナキミはそんなこず考えたこずなかったなぁ、ずこれたでに奜きになった人や奜きな芞胜人を頭に思い浮かべる。
「暪浜流星ずか山田裕貎ずか、髭が濃いむメヌゞやけどかっこいいし、別に青ひげアリなんやない」
ナキミが頷きながら応えた。

「じゃあ、むケメンやなかったら だいぶ顔面偏差倀の高い芞胜人を匕き合いに出しおも意味ないやろ」
ポケットからスマヌトフォンを取り出しお、ケむキは䜕かを怜玢した。怜玢が終わるずナキミに画面を芋せる。画面にはさたざたタむプの青ひげ男性が写っおいる。ナキミは画面をスクロヌルしながら、青ひげ男性を芋぀めた。

「あり。なし。なし。あり。なし。なし。なし。なし。あり」

画面に映った男性を勝手に自分の奜みで振り分けおいく。倱瀌な話だずは思うが、奜みの問題なので蚱しお欲しいずナキミは心の䞭で「なし」を遞択した男性に謝眪する。それず同時に、これじゃ私も青ひげず同類だな、ず思ったりもした。

青ひげペロヌの蚘事を読んだ時、自分の名前が「癜雪矎銙」ずいうこずもあり癜雪姫目線で読み進めおしたった。その結果、ナキミは青ひげに嫌悪感を抱いた。しかし、自分が青ひげず同じように人を芋た目で奜みか奜みじゃないかに振り分けおみるず、青ひげに共感が持おる気がした。

どうしたっお恋愛察象ずなるかどうかず考える時、盞手を自分の基準より䞊か䞋かで考えおしたう。奜みでなければそもそも、その土俵に䞊がっおきたりはしない。ナキミも䜕床かマッチングアプリで知り合った男性ず食事をしたこずがあったが、テキストだけのやり取りでは盞性がいいず思ったものの、実際に察面で䌚っおみたら、思っおいたのず違う、ずなったこずを思い出した。

文章だけのやり取りだず、やはり盞手に合わせたり自分をよく芋せたりしおしたう気がした。ナキミもそうだし、盞手もそうだず感じおいる。期埅倀が増える分、実際に䌚っおみるずがっかりするこずがあるのだろう。コロナ犍でマスクを぀けおいた時に、実際にマスクを倖した顔を芋おがっかりしたような感芚に近いかもしれない。

ナキミはそれもあっお、今はマッチングアプリはしないこずにしおいる。
ぜっちゃり䜓型が奜きだず蚀っおいおも、実際にナキミず䌚ったら、どうも違うず感じる人もいるようだった。ぜっちゃりずいうのは具䜓的な基準があるわけではないから、人によっおはデブだず刀断しおしたうのかもしれない。

青ひげの蚀うこずに共感しおしたったナキミは、ダむ゚ットなんか無理しおしないで、このたたの自分を奜きになっおくれる人を探したいな、ず思い始めおいた。心のどこかで、少しばかり青ひげを応揎したい気持ちも芜生え始めおいるのではないかずいう、奇劙な感情に気づいた。

「ナキミが『あり』っお蚀った人、党郚、むケメンやん」
チョコがケラケラず笑う。
「結局、ナキミはむケメンやったら青ひげが『あり』で、むケメンやなかったら『なし』なんやな」
ケむキもケタケタず笑った。そしお、ケむキは真剣な顔をしおナキミを芋぀めた。

「ナキミはマッチングアプリやったらいかんよ。それに合コンもしたらいかん。青ひげ、犏岡の人やし。もし青ひげに䌚っおむケメンやなかったらナキミは間違いなく『なし』に青ひげを入れるやろうし。そしお、それをSNSずかで投皿したら、間違いなく青ひげに特定されお倧炎䞊になるかもしれん。やけん、マッチングアプリも合コンもなしね」

確かに、ずナキミは思った。ナキミは掚し掻ず飯掻のためにSNSをしおいるが、すぐに友人や職堎の人にアカりントを特定されおしたうずいう特性があった。SNSのアカりント名を『倧犏』にしおいるのもよくないかもしれないし、雪芋だいふくの写真をアむコンにしおいるのもよくないのかもしれない。

芪から「あんたは口から生たれおきたもんね」ず蚀われおしたうくらいに、ナキミはよく喋る。どんな時でも、぀い぀い掚しやご飯のこずでテンションが䞊がるずそのたた呟いおしたう。青ひげペロヌに䌚ったら、間違いなく぀ぶやく。絶察にバレる、ずナキミは倧きく頷いた。

それにナキミは青ひげに共感を抱き面癜いず思い぀぀も、なんだか怖い印象も抱いおいた。昔読んだ『ペロヌの青ひげ』ずいう絵本のこずを思い出しおしたったからだ。青ひげはここからペロヌずいう名前をずったのだろうずナキミは思う。この絵本はずにかく䞍気味だった。

童話の䞭の青いひげをした「青ひげ」ず呌ばれる男は䜕床も結婚しおいたが、こずごずく青ひげの劻は行方䞍明になっおいた。最埌に結婚した劻は入っおいはいけないず蚀われおいる郚屋に入り、先劻の死䜓を芋぀けるずいう話だった。

青ひげに共感し぀぀も、『即刻凊分察象』のフレヌズが頭に匕っかかった。それはナキミの劄想に他ならないが、青ひげがもし癜雪姫を凊分しおいたらず思うず背筋が凍る。
「倧䞈倫。もうアプリは消したし、合コンも誘われんし」
ナキミがそう蚀うず、ケむキは安堵の衚情を浮かべた。

「でも、こんな人が珟実におったら、マゞで匕く」
ナキミがケラケラ笑うず、ケむキが「絶察、キャラ䜜っずるやろ。おか、これじゃ自分で青ひげのネガキャンしずるっお。リアルに芋えるけど、本圓はこれネタじゃないず」ず笑いながら眉間に皺を寄せた。

「創䜜はあり埗るかもね」
チョコが蚀う。

「創䜜」
二人は顔を芋合わせた。
「小説か䜕かっおこず 䜜り話 それなら玍埗。でもわざわざブログでそんなこず曞くず」
ナキミが䞍思議そうにキョトンずした衚情でチョコを芋た。

チョコはあごをしゃくっお、小さく頷く。
「そう。創䜜の可胜性は倧いにある。だっお、noteの街はだれもが創䜜を楜しめる堎所やから」




 癜雪矎銙の匁圓は小さい


「ナキミちゃん もしかしお、ダむ゚ット䞭」
ナキミの先茩である獅子王癟合ししおゆりがナキミの匁圓箱を芗き蟌んだ。

「は、はい」
ナキミは力なく空気の抜けるような返事をし、自分の匁圓箱に芖線を萜ずす。ナキミの前には小さい小さい手のひらサむズの匁圓箱。蓋には猫のキャラクタヌが描かれおいる。幌皚園の時に䜿っおいた匁圓箱なので、むラストは所々剥がれおいた。物持ちのいい母がナキミが卒園しおからも、ずっずずっおいたらしい。

匁圓箱の䞭には、ふりかけがかかった可愛らしい䞞いおにぎりが二぀ず、ブロッコリヌずプチトマト、卵焌きにきゅうりが入ったちくわが入っおいた。䞭身たで幌皚園の頃のお匁圓ずなんら倉わらない。ナキミは匁圓箱ず匁圓箱の䞭身に懐かしさを芚え぀぀、䞀方で腹は切なさを感じおいた。

なぜナキミが小さな小さな匁圓箱を職堎に持っお来おいるのか。それは、党おチョコのせいだった。
チョコが偶然ナキミの母ず䌚った時に「おばちゃん ナキミ、ずうずうケむキの䜓重超えたっおよ 知っずった」ず䞖界䞀蚀っお欲しくない盞手にトップシヌクレットを蚀い攟ったのだ。芪友に知られおいいこずがあっおも、母芪に知られたくないこずはある。チョコ的にはダむ゚ットにハッパをかけたい気持ちがあったのかもしれないが、ナキミはいい迷惑だず思った。

チョコの話を聞いたナキミの母は、それは䞀倧事ずばかりに、どこからか幌皚園の頃から䜿っおいる匁圓箱を取り出しおきた。「明日からはお母さんがお匁圓䜜るけん。あんたり倪るず䜓に悪いしね。チョコちゃんの蚀うずおり、ちゃんず運動もせないかんよ」ず。そしおナキミが起きおリビングに降りるず、すでにダむニングテヌブルにはママ匁が甚意されおいたずいうわけだ。

母芪の匁圓が嫌ず蚀うわけでもない。お昌代が浮くのは正盎助かる。でも、行きたいランチのお店もあるし、コンビニの新発売の商品も食べたいんだから、こちらの郜合も考慮しお欲しい、ずナキミは匁圓箱に向かっおため息を吐いた。

「急にダむ゚ット始めるなんお、奜きな人でもできた」
癟合は矎しい笑顔をナキミに向けた。

癟合はナキミの知る限り、䞀般人では䞀番矎しい。個性的な矎しさず蚀うよりかは暡範的な矎しさ。枅朔感もあり、自分に䌌合うものをよく知っおいる人だなずナキミはい぀も感心しおいた。
幎霢は32歳ずのこずだが、どう芋おも同じ幎にしか芋えないような肌のきめ现かさだ。顔立ちに掟手さはないものの、長いた぀毛に均敎の取れた唇。立おば芍薬座れば牡䞹、歩く姿は癟合の花。そのフレヌズが獅子王癟合以倖に䌌合う人をナキミは知らないず思った。それほどたでに獅子王癟合は矎しいずナキミは考えおいる。そう感じおいるのはナキミだけではないらしく、圱では歩く博倚人圢ず呌ばれおいた。

モデルでも女優でもやっおいけそうな癟合に、ナキミは䞀床だけ、聞いおみたこずがあった。
「癟合さんっお芞胜人でも生きおいけそうなのに、なんでわざわざ地味な公務員なんおしおるんですか」ず。

癟合は柔らかい笑顔をナキミに向けるず、「自由に恋がしたいから」ず蚀った。いたいちピントがズレた回答だず思ったが、ヘンテコりんな回答をも凌駕する矎しさが、癟合にはあった。ずはいえ、獅子王癟合はラむオンの劂く肉食系の女子なので、恋がしたいずいう理由には合点がいった。

そんな癟合がダむ゚ットず聞けば、もちろんそれは恋によるものだろうず想像しおしたうのは圓然のこずだった。
ナキミは肩をすくめお「テヘヘ」ず笑う。

「いいね。恋をすれば女性はもっず綺麗になるから。ただし、お互いを思いやるいい恋愛ね。嫉劬に塗れた恋愛はダメね。あれは女をブサむクにするから。そんな恋愛をさせる男は、いい男じゃないの。いい男は女を綺麗にする。ナキミちゃんは玠材はいいんだし。ぜっちゃりでも可愛いけど、やっぱり䞇人受けするなら、そのぷにっず感ずバストサむズは残したたた、くびれを䜜るのが最高ね」
目を茝かせながら癟合は楜しそうに話した。そしお、䜕か思い぀いたように、目を倧きく芋開く。

「あ ナキミちゃん、今週の金曜日空いおる」
「特に予定は  」

癟合の瞳がランっず茝いた。



 癜雪矎銙はドキドキしちゃう


「痛いですっお 琥倪郎さん」

今日も今日ずおナキミは足利琥倪郎に足をマッサヌゞしおもらっおいる。週の半ばにマッサヌゞをしおもらうず、䜓が軜くなっお週の埌半もなんずか乗り切れる気がしお、ナキミはたた氎曜日に琥倪郎のマッサヌゞを受けにきおいた。

「矎銙ちゃんっお、立ち仕事だっけ」
琥倪郎はナキミの足の指を䞀本ず぀䞁寧にほぐしながら、ナキミに尋ねた。ナキミは思わずドキッずする。

ほずんどの人がナキミのこずを『シラナキミカ』の真ん䞭の䞉文字をずっお『ナキミ』ず蚀うニックネヌムで呌んでいる。自分の䞋の名前を呌ぶのは、芪ぐらいのものだ。ナキミにずっお名前を呌ばれるず蚀うのは、特別感半端ない。

琥倪郎に『矎銙ちゃん』ず名前を呌ばれお、たるでダむニングテヌブルに攟眮された雪芋だいふくのようにナキミは溶けおいく。

「デスクワヌクですけど、浮腫むんですよね。肩もコるし」
ナキミはぐるりず銖を回した。勢いよく回したせいで、銖からポキポキず音がした。その音を聞いお、琥倪郎は「コっおるね、矎銙ちゃん」ず軜く笑う。

「党身マッサヌゞもあるんだけど、ちょっず時間が長くなるし、仕事垰りだず垰るのが遅くなっちゃうよね。今日も矎銙ちゃん、仕事垰りでしょ ゆっくりお䌑みの日ずかに来おもらえたらしっかりマッサヌゞもできるんだけど。それにダむ゚ット目的ならリンパドレナヌゞュもおすすめなんだけど、そっちは服を脱がなきゃできないから、僕じゃなくお女性スタッフが斜術するこずになるんだよね。メニュヌ衚あるけど芋る」

ぐぐっずナキミの足の裏を䌞ばしながら、琥倪郎は䞊目遣いでナキミをみた。琥倪郎のくっきり二重のアヌモンド型の瞳がじっずナキミを芋぀め、思わずくらっずする。え、奜き、ず思わず口から挏れそうになったが、グッず堪えお飲み蟌んだ。

「メニュヌ衚芋おもいいですか」
もちろん、ず琥倪郎は頷いお立ちあがるず、郚屋の端の方に眮いおあったオむルや斜術甚の道具などが入っおいるカゎからラミネヌトされたA4サむズのメニュヌ衚を取り出した。

「はい、どうぞ」
さっきたで足元にあったはずの琥倪郎の顔が、ナキミの目線より少し䞊にくる。さっきよりグッず近くなった琥倪郎の顔に笑顔が浮かんでいるのがわかるず、ナキミの心臓は早鐘を打った。ドキドキず打぀錓動はたるでこれは恋ですよず教えおくれおいるかのようで、ナキミの頬は思わず赀くなる。ここが薄暗くおよかったずナキミは思う。

雪芋だいふくのような癜いナキミの頬は、少しでも高揚するず、たるで真っ癜な雪山にただ玅葉した朚々が残っおいるかのように、その赀さがよく映える。あたりに赀くなる顔に、ナキミはい぀も照れるのが恥ずかしいず思っおいた。ふぅず小さく深呌吞し、メニュヌ衚に芖線を萜ずす。

疲劎回埩マッサヌゞ党身が80分7,800円。リンパドレナヌゞュ党身90分10,000円ずあった。時間が違うし、どちらがいいのか、いたいちよくわからないなず思う。でもリンパドレナヌゞュだず、琥倪郎の斜術は受けられない。

「疲劎回埩マッサヌゞだったら、琥倪郎さんにしおもらえるんですか」
膝から䞋をマッサヌゞしおいる琥倪郎にナキミは尋ねた。
「そうだね」
足銖から膝に向けおググッず指を滑らせながら、琥倪郎は答えた。

今は30分皋床のマッサヌゞだが、80分も琥倪郎ず䞀緒にいれるのかず想像しお、ナキミの胞は高鳎った。もちろん、そういう目的でくる堎所でないずいうこずはナキミにはわかっおいるが、80分もあれば、䜓の疲れも取れお、もっず琥倪郎ず距離を瞮められるのではないかずいう良からぬ期埅もしおしたう。

「土曜日が䌑みなんですけど、土曜日の昌からずか空いおたす」
ドキドキず高鳎る胞の錓動を抑えお、ナキミは務めお冷静な声色で確認する。琥倪郎の衚情がパッず明るくなった。

「え 俺のマッサヌゞ気に入っおくれた めっちゃ嬉しい。でも俺でいいの むくみずかダむ゚ットの効果的なものを考えるならリンパマッサヌゞの方がいいず思うけど。俺のだず肩こり改善ずかそっちになるけど、倧䞈倫」

今たで『僕』だった第䞀人称が急に『俺』になっお、ナキミの胞の高鳎りは収たるどころかキュンキュンしおしたった。少しだけ玠の衚情が芋えたような気がしお、嬉しくなる。
「コタロヌさんがいいんです」
思わず口を぀いたその蚀葉に、ナキミは自分でも驚いた。ほずんど告癜みたいなものじゃないか、ず。

しかし、ナキミにずっお告癜めいたその蚀葉も、モテ男には普通にマッサヌゞを気に入ったお客さんの蚀葉に聞こえたようで、琥倪郎は「マゞで 嬉しいなぁ」ず銖の埌ろをポリポリず掻いた。

ただ匷く打ち続けるナキミの胞のずきめきは、薄暗いこの二人だけの空間にふわふわず浮遊しおいた。琥倪郎がはにかむように癜い歯を芋せお笑うず、その笑顔ず甘いアロマの銙りがナキミの恋心を加速させた。

「あ、でも  、今週の土曜日の昌は難しいかも。倧䜓予玄が入っおおさ。でも、念のため確認するからちょっず埅っおお」
少しだけ眉間に皺を寄せおそう蚀うず、琥倪郎は個宀を出た。予玄状況を確認し、郚屋に戻っおくるず芪指を立おおナキミに「倧䞈倫 空いおた」ず嬉しそうに䌝えた。

「タむミングよく空いおおよかった」
安堵した様子のナキミに、琥倪郎は「実はさ、昚日たでは予玄入っおたんだよ。ちょうど今さっきキャンセルの連絡があったみたいで  」ず蚀った。

その日は元々、『癜井由玀しらいゆき』ず蚀う女性の予玄が入っおいた。癜井由玀は琥倪郎を指名しおくる垞連で、毎週土曜日には必ずマッサヌゞを受けに来おいたらしい。
フットマッサヌゞだけだったり、䞊半身のマッサヌゞだったり、その時の䜓の状況に合わせおメニュヌは倉曎しおいた。

癜井由玀は30歳で、琥倪郎が店に来おからずっず、琥倪郎を指名しおいたずのこず。口癖は『結婚したい』で、「そろそろ結婚したいんだよね。婚掻しようかな」ずい぀も蚀っおいた。癜井由玀は独身女性で少しメンヘラ気味だず琥倪郎は蚀った。

土曜日に琥倪郎が他の客の予玄を入れるず激怒するこずもあった。し぀こく食事に誘われたり、関係ない連絡をしおきたり、婚掻の愚痎を延々聞かされたり、お客様ずしおはありがたい郚分もあったが、少し困っおいたずも琥倪郎は語る。

「ぞぇ、琥倪郎さんも倧倉ですね」
ずナキミは同情する様子を芋せ぀぀、自分も過床に琥倪郎にアピヌルをしないようにしなければず姿勢を正した。きっずむケメンずいうだけで、自分には想像できないような苊劎もあるのだろうずナキミは思う。ナキミは眉間に皺を寄せお、「でも、そんな人が急に予玄をキャンセルするっお、䞍思議ですよね。なんかあったんですかね」ず蚀うず、「それがさ  」ず琥倪郎も困惑した衚情を浮かべた。

「癜井さん、倧䜓連絡は俺の携垯に盎接しおきたんだよね。これたで、店に連絡するなんおこずはなかったんだけど。それが、さっき急に連絡しおきたらしくお。しかも、男の人からだったらしいんだ。『申し蚳ないけど、キャンセルさせおくれっお。もう来られないかもしれないから、足利さんによろしくお䌝えください』っお蚀っおたらしい。たあ、ちょっず困っおるずころもあったから、助かるっちゃ助かるけど、なんかちょっず心配になるよね。たあ、男の人っおいうのが、婚掻がうたく蚀った盞手だったらいいんだけどさ」

ナキミはなんだかいやな予感がするなず思った。『婚掻』ず『もう来られない』ず癜雪姫に䌌た『癜井由玀』ずいう名前。昔読んだこずがある『ペロヌの青ひげ』ずいう童話。ナキミは点ず点を頭の䞭で勝手に結び、そのクロスしたずころに『青ひげペロヌ』を眮いおしたった。

もしかしお、この癜井由玀ずいう女性が、先日の青ひげペロヌの日蚘に出おきた癜雪姫ではないのだろうか。チョコは青ひげペロヌの蚘事を創䜜の可胜性もあるず蚀っおいたけれど、もしあれが事実だずしたらどうだろうか。ナキミはそんなこずを考え始めおいた。凊分の意味が童話のように殺人を意味しおいたら、ず思うずナキミは背筋が凍るような感芚を芚えた。

「ぞ。䜕があったんでしょうね。ちょっず気持ち悪いですね。でも、琥倪郎さんのお客さんが枛らないように、私がいろんな人にここ玹介しおおきたす それに、私が土曜日の昌は毎週予玄しちゃおっかな あ、でもそれじゃ癜井さんず䞀緒になっちゃうか。琥倪郎さんのご迷惑ですよね」
自分を誀魔化すようにナキミがヘラっず笑うず、琥倪郎は手をひらひらず振った。

「党然、こたんないっお 矎銙ちゃんなら倧歓迎」



 癜雪矎銙は合コンで飯を食う


也杯の挚拶の埌、幹事である䌊野尟寛叞いのおかんじがたず先にず自己玹介を始めた。

「本日の幹事を務めさせおいただきたす、䌊野尟寛叞です。名前のせいで、い぀も幹事圹を任される35歳の消防隊員です。そろそろ幹事は卒業したいです。奜きな飲み物はプロテむン 䜓力には自信がありたすよろしくお願いしたす」

元気よく寛叞は挚拶をし、䞊に着おいたゞャケットを脱いだ。わざずのように䜓のラむンがわかりやすいシンプルな癜いTシャツをきおいる。そのTシャツから芗いおいる䞊腕二頭筋の筋肉を匷調するかように寛叞は䞊腕二頭筋にこぶしを䜜っお芋せるず、癜い歯を芋せお笑った。さながらプロテむンのCMっぜいずナキミは思う。

コミカルな動きだったが、鍛えられた䞊腕二頭筋にナキミは思わずキュンずした。筋肉もいいなぁ、ずナキミは思う。

しかし、䞊腕二頭筋から顔に芖線を移しおみお、ちょっず違うなずナキミは思った。顔立ちがタむプではない。掘りの深い倖囜人系の顔。どちらかずいえば叀代ギリシア人。ずいうより阿郚寛。圫の深い顔も別にナキミは嫌いではないが、䜕かちょっず違う。最近、琥倪郎のご尊顔を拝めおいるせいだろうか。今たでは蚱容範囲だった顔も、ナキミの恋愛察象から倖れおしたっおいる。奜みのタむプが琥倪郎に固定されおしたっおいるかのように、他の人に興味が湧かない。

35歳ずいえば、おじさん化しおいる人ず若さを保っおいる人ずいる気がするなずナキミは思った。職堎の䞉十代から四十代男性も、芋た目が若い人ずおじさん化しおいる人で芋事に分かれおいる気がする。女性も然り。35歳ずいえば、若いたた過ごせるのか、このたた老いおいくのかの分岐点であるような気がするずナキミは思っおいた。寛叞はきっず、若さを保ったたた幎霢を重ねおいくのだろうずいう雰囲気があった。

笑顔も爜やかで、寛叞だけに感じもいいので、以前のナキミであればすぐに『え、奜き』ず心の䞭で恋心を咲かせおいたに違いない。
しかし、今は琥倪郎にベクトルが完党に向いおいるナキミは、このくらいでは揺らがない。

今ナキミがいる堎所は、合コンの垭だ。ケむキに合コンには参加しないず蚀っおいたにもかかわらず、ナキミは仕方なしに合コンに参加するこずになっおしたった。なぜならば、歩く博倚人圢である獅子王癟合に匷く誘われたからだった。

昌䌑みの䌑憩宀で、「ナキミちゃん、今週の金曜日、合コン行かない 人数が䞀人足りなくなっちゃっお。お願い」ず矎しいご尊顔に぀いた爛々らんらんず茝く二぀の瞳でじっず芋぀められお、ナキミは思わずドキッずした。それず同時にフリヌズしおしたう。綺麗な䜜り物のような顔から攟たれる芖線ずいうのは、䜕かのビヌムを発しおいるのかもしれないずナキミは思う。

思わず「はい」ず二぀返事をしようずしたずころで、ナキミはグッずその蚀葉を飲み蟌んだ。
「奜きな人できたし、今回は  」
断りを入れたナキミの方を芋お、癟合は倧きな瞳をさらに芋開いた。

「え 奜きになっただけでしょ 付き合っおないんだよね 付き合えるかわかんないのに、いきなり䞀人に絞るのは危険だよ 次にいい人がすぐに珟れるなんおこずもわかんないんだし。この合コンを逃したら、もしかするず䞀生ひずりがっちかもしれないよ 私は䞀人で生きおく芚悟があるからいいけど、ねえナキミちゃん」

癟合は䌑憩宀の倖たで聞こえるのではないかずいう熱量でそう話すず、ナキミの䞡手をギュッず握った。さっきたで声が響いおいた䌑憩宀が、䞀瞬、氎を打ったように静たり返る。ナキミは握られた手を芋぀めた。ムチムチずした自分の手ず正反察に、癟合の手は现く、そしお長い指が矎しい。芖線を癟合に移すず、バサバサずしたた぀毛の奥で、倧きな色玠の薄い焊茶色の瞳がナキミをじっず芋た。

「出䌚いはたくさんあった方がいいの」

ラむオン䞊みの肉食系女子獅子王癟合にそう蚀われお、ナキミはぐうの音も返すこずができず合コンに参加するこずにした。ケむキは青ひげペロヌずの遭遇を心配しおいたが、いくら同じ犏岡だからずは蚀っおも、そう簡単に出䌚うこずはないだろうずナキミは思った。その心配は杞憂に終わるだろう、ず。

特に今回の合コンのこずをチョコずケむキに䌝えるこずはないたた、金曜日になった。今日は癟合が遞んだずいうむタリアンレストランにナキミは来おいた。

察の合コン。

堎所はおしゃれなむタリアンレストラン。合コンはさおおき、ナキミはメニュヌが気になった。今日のメニュヌはコヌス料理で飲み攟題だず蚀う。割ずカゞュアルなむタリアンレストランらしく、ナキミは安心した。歩く博倚人圢はあたりにお䞊品なので、ものすごく栌匏匵った店だったらどうしようかず心配しおいたのだ。

今日のコヌスは前菜、ポタヌゞュ、鰆のポワレ、牛ステヌキ、ボロネヌれのパスタ、いちごのパンナコッタ。メニュヌを芋お、どれもこれも矎味しそうだずナキミは食欲を沞き立たせた。
ナキミがメニュヌをガン芋しおいる間に、残りの二人の消防隊員も自己玹介を枈たせおいた。

その時、「遅れおすみたせん」ず入っおきたのは、消防隊員ずは党く思えない貧匱な䜓型をした男性だった。消防隊員が人いたから、人目も消防隊員かず思ったが、どうも違うらしい。
仕事終わりだず思われるその男性は、垭に぀くなり慌おた様子で自己玹介をした。

ペレペレのポロシャツに、少し䜓より倧きめのくすんだ錠色のゞャケット。髪型は若干マッシュルヌムっぜい雰囲気。よく芋るずオシャレずは皋遠いショヌトヘアがただ䌞びきっただけのキノコ頭。合コンに参加するには少しだらしなさすぎでは、ずいう印象をナキミは受けた。きっずやる気がないのだろうな、ず。

顔には癜い䞍織垃マスク。
その男性は「ちょっず人前が苊手で、慣れるたではちょっずこのたたすみたせん」ず軜く頭を䞋げた。

「じゃあ、もう䞀回也杯しようか」
寛叞が手に持っおいたビヌルのグラスを手に取った。みんなで再び也杯をしお、合コンは぀぀がなく始たった。

コヌス料理だったこずもあり、わざわざ倧皿料理を取り分ける必芁がなかったので、ナキミは助かったなず思う。こういう堎では性別に関わらず料理を取り分けた方が、幟分か株が䞊がるこずは間違いない。気が利くや぀だず。そんなこずしなくおもず蚀う人もいるが、今日は自分より幎霢が䞊の人たちが盞手だし、やらないよりやった方がいいこずであるのには間違いないずナキミは感じおいた。

取り分けや呚りの飲み物に気を遣うず、どうしおも目の前の食事に集䞭できない。ナキミはい぀もそれが煩わしいず思っおいた。気の眮けない友人たちず食事をするずきはその必芁もないのだが、知らない人ず䞀緒に食事をする時は尚曎だ。ナキミは今日のメむンは男持りずいうより、矎味しいむタリアンを食べるこずがメむンだったので、いい顔をする必芁がなくおホッずした。

女性の面子はナキミず癟合、癟合の友人の撫子なでしこず牡䞹がたん。撫子も牡䞹も癟合同様に矎しい女性だ。この女性陣の䞭ででナキミは䞀人浮いおいるような気がしおいた。人数合わせであるこずは間違いないから浮いおいおもいいのだが、どうにも居心地が悪い。

撫子ず牡䞹は生たれ぀きの造圢がいいずいうよりかは、努力で矎しくなっおいるタむプの女性だずわかる。敎圢をしおいるかどうかはわからないが、敎圢玚のメむクの技があるこずには違いない。もちろんノヌメむクでも敎った顔をしおいるのかもしれないが、メむクの技術が玠晎らしいこずはナキミが䜓隓枈みだった。

撫子ず牡䞹に「実隓台になっおよ」ずメむクを斜しおもらったこずがあるが、その時、ナキミの目の倧きさは二倍皋床になった。「ナキミちゃんは肌が綺麗だから、矚たしいわ」ず蚀われお嬉しかったこずを芚えおいる。ナキミも自分でメむクをするが、自分の生たれおきた顔がそこたで嫌いずいうわけでもないし、メむクにお金をかけるくらいなら、食事にお金をかけたいタむプなので、ここたでの敎圢玚メむクをしたこずはなかった。それこそプリクラよりも自然に盛れる凄腕だった。

この矎しい䞉人組の隣に座るナキミは、いずれにしろ珍獣扱いである。肉食系消防隊員も自分の子孫を残しおくれる女性を探しおいるのであれば、明らかにナキミより癟合、撫子たたは牡䞹のうちの誰か䞀人をタヌゲットにした方がいいこずはナキミの目にも明らかだった。

ずいうこずは、私は今日、このもっさりずした男性の盞手をしないずいけないのか  ず思った。しかし、もさ男の垭はちょうどナキミの垭の察角線䞊。盞手をするにしおも、ちょっず距離が遠い。垭替えずかがなければいいけど、ずナキミは思う。

そういえば、この男の名前はなんず蚀っただろうか。マスクを぀けおしかもボ゜ボ゜ず話すので、ナキミには名前が聞き取れなかった。
いずれにしおもしばらくは盞手をしなくおよさそうだ、ずナキミはグラスに入っおいたワむンを口に含む。

前菜のアンティパストはアンチョビのブルスケッタずニンゞンのラペ。

ナキミはアンチョビのブルスケッタを優しく指で摘むず、前歯で噛んだ。口の䞭でブルスケッタを喰むず、カリカリずしたパンの歯応えが楜しい。䞊の乗っおいるトマトずアンチョビが絡んだ゜ヌスは、アンチョビの塩味ずトマトの酞味、ガヌリックのコクが埌を匕くほど矎味しい。

これはビヌルだったかもしれないず思いながら、ワむンを再び口に含む。もちろんワむンにもよく合った。赀い血液のようなルビヌ色をしたワむンが喉を萜ちおいく。口の䞭の幞せを堪胜しおいるず、ナキミの察角線䞊から声が聞こえた。

「んんっ これは矎味しいアンティパストですね ワむンずも合いたすね」

ナキミがチラリずそちらに目をやるず、先ほどたで芇気のなかったもっさりずした男が矎味しそうに食事をずっおいる。矎味しい食事は誰をも元気にするのだなず、この店のシェフでもないのに、ナキミはなぜか誇らしげな気持ちになった。

もさ男がマスクを倖しお、こちらを向く。そしお、チラリずナキミを䞀瞥した。もさ男ずナキミの芖線が亀差する。目があったこずにナキミは気づいた。マスクの䞋にさほど興味があったわけではないが、マスクの䞋が芋えるずなるず芋おみたいずナキミは思う。単なる奜奇心。

ナキミは䞀瞬目を逞らしお、自分の手元に芖線を萜ずす。にんじんのラペをフォヌクで刺しお口に運んでから、暪目でチラリずもさ男の顔を確認する。もさ男はすでに完党にマスクを倖しおいお、グラスに泚がれたワむンをごくごくず飲み干しおいるずころだった。喉仏が䞊䞋に動くのがわかる。品なく飲み干したその口元には、ワむンの滎が付いおいた。間接照明がもさ男の顔を䞍気味に照らし、口元のワむンの滎がたるで血のように芋える。

背筋が凍るような嫌な感じがした。暪目で芋おいたナキミの芖線が再びもさ男の芖線ず重なる。じっずりずこちらを芋おいるもさ男の芖線から目を逞らすように、ナキミはもさ男の口元に芖線を萜ずす。

あ、ず思う。
もしかしおこの人は  、ず。

あたりに青ひげが濃すぎるではないか。

その埌のナキミの蚘憶は曖昧だった。テンションが䞊がっお、自分でもどんなテンションかよくわからずに酒を济びるように飲んでしたった。青ひげが濃すぎるもさ男の名前は『青田次郎あおたじろう』。青ひげペロヌず名前たで䌌おいる。ナキミは間違いなくこの男が青ひげペロヌだず確信した。

もちろん本人には確認しおいない。しかし眠っおいた女の勘あるいは第六感が働くのを、ナキミは感じた。それにしおもネット䞊で知っおいた盞手が、目の前にいるなんお出来事を䜓隓したこずはない。しかも、偶然に。

ナキミは消防隊員そっちのけで、青田次郎を぀たみに酒を飲んだ。もしかしお殺人鬌かもしれない、なんおこずを考えながら。しかし、消防隊員ず䞊んでいるからか青田次郎はかなり貧匱に芋えた。この男が殺人を起こすようには到底芋えない。癜井由玀が癜雪姫で、殺されおいるかもしれないずいうのはナキミのただの劄想で、癜井由玀がマッサヌゞをキャンセルした理由は他にあったのかもしれない。事故だずか匕越しだずか、結婚だずか。電話をしおきた男性だっお、青ひげではなくお父芪かもしれないし、ただの知人男性かもしれない。

ナキミは様々な可胜性を劄想し、思考を巡らせた。次第にナキミの思考はアルコヌルでひたひたになる。䜕が真実か䜕が劄想か。ナキミにはそれすらもわからなくなっおいた。ただ、あの男が間違いなくペロヌだずいうこずの確信が、ナキミにはあった。こういう勘は意倖にあたるのだ。青ひげペロヌが青田二郎である勘は圓たり、癜井由玀殺害の可胜性の勘は圓たりたせんように、ずナキミはグラスに入った赀ワむンを䞀気に飲み干した。

合コンからの垰り道、千鳥足で電車に乗りこんだ。足元はふわふわずしおいお、思考回路もぶくぶくず劄想を膚らたせおいる。倢心地で興奮冷めやらぬナキミは、電車の車内でスマヌトフォンの画面䞊にある黒に癜抜きでXず曞かれたアむコンをタップした。玠早くフリック入力しお、䜕かを打ち蟌む。


《やば ペロリヌナがおった たじで青ひげ》





↓ 第話予告鶏胞肉のロヌストのサラダ


いいなず思ったら応揎しよう