憧れの「雲ノ平山荘」へ北アルプス大冒険3日目
2日目記事はこちら↓
同じ部屋の隣には、登山口の折立まで同じバスだった若い女の子がいた。
次の日は黒部五郎小舎へ泊まるという、もう来ないと思うから祖父岳には登りたい、とか、もう来ない山小屋では、ここでしか買えない物を買って行く。と話している。
「えっ、もう来ないの?」という私に
「逆にまた行きたい山小屋ありますか?」
と聞いてくる。即答
「水晶小屋!」と答える。
私は普段からハンカチではなく手ぬぐい派だ。山小屋のお土産に、思い出に手ぬぐいを買う事が多い。
水晶小屋の手ぬぐいは大きなハスの花の柄で、エンジ色からピンク、黄色とグラデーションする様にきれいに染め上げられた物だ。去年その手ぬぐいが在庫切れで買えなかった。今回晴れていれば、水晶小屋までピストンして、手ぬぐいを買いに行きたいくらいだった。
「水晶小屋の手ぬぐいが欲しいのー」
というと、私の向かいに寝ている女性が
「あるわよー」と、水晶小屋の手ぬぐいを広げる。
「わー、きれい!」「かわいい」
Kiyocaさんも歓声を上げている。
そんな会話をきっかけに山の話に花が咲く。山小屋では、こんな時間も楽しい。
4時に起き出した。向かいの女性はもういない。外は真っ白、山の影すら見えない。今日の天気予報は雨のち曇り。
雲ノ平は北アルプス最深部にある標高2600mの溶岩台地で、池塘や岩石の周りにはハイマツや高山植物が咲き、あたかも人が整えた様な日本庭園の様な自然の景色が広がる。その庭園を囲む様に、個性的な百名山、水晶岳、薬師岳、黒部五郎岳、笠ヶ岳などが間近に迫る景観は素晴らしい。
その素晴らしい景色は今日はない。


朝食はお惣菜にカレーがついている。
カレーはお豆がたくさん入って美味しい。
眠気覚ましにコーヒーを入れる。満室だった山荘は、ガランとしてくる。
朝のお散歩の時間をコーヒーの時間に変えて、のんびりコーヒーを飲んでいるうちに、だんだんと霧が晴れて池塘と花々が見えて来た。
「わー、晴れて来た。ゆっくりしてて良かったね。」
雨の装備を整えて、お世話になった山荘を出る。



きっとまた来るね





前日撮れなかった雲ノ平の風景を写真に収めながら、名残惜しく歩く。祖母岳はガスで隠れている。山頂からの眺望は望めないだろう。
それでも、「登って見ようか?」と祖母岳へ寄り道する事にした。
山頂手前で、ほんの少しの雲の切れ間から、太陽の明かりがスポットライトの様に山荘と庭園を照らした。
「わー、何この景色、きれい!」






光のショーは一瞬で終った。この後山頂で、もう一度雲が晴れるのを待ったが、太陽は顔を出さない。祖母岳から大きく見える水晶岳も見る事は出来なかった。
山の景色は一期一会。スポットライトを浴びた庭園はキラキラしてきれいだった。「また来てね!」と私達を見送ってくれた様なご褒美の様な景色だった。
この天気だからこそ見れた景色で、Kiyocaさんも、「この景色が見れただけで今回は満足。」と言う。
この景色を見た後、早速雨が降って来た。
今回のルートは雲ノ平ピストンだ。あの急な岩場を今日は下って、太郎平小屋へ戻る。慎重に行こう。



雨で濡れた岩場は前日より滑りやすい。岩と岩の間には雨水が溜まり、足を置くところに戸惑う。触った岩は濡れていて、手袋はぐっしょり水を含んで重たくなる。手を使い、尻も使い降りる。登りより神経を使い変に疲れる。大きく足を動かすので、すでに太ももは疲労してくる。
「薬師沢からの登り返し、登れるかなぁ?」
そんな心配を何度も口に出してしまう。集中して!集中して!心の中で喝を入れながら、ボーっとなる意識とたたかう。
ちょこちょこと、短い休憩を挟みながら、2時間かかって、薬師沢小屋に辿り着いた。下りが苦手というKiyocaさん、私の後について同じペースで降りて来た。立派、立派、全然苦手なんかじゃない。
(私は木道が苦手、今回3回も木道で滑った、気をつけよう)





終始降ったり止んだりの天気だったのに、ここ薬師沢小屋の上だけ、ぽっかりと青空が見えている。いい天気だ。沢音も心地いい。
今回の登山の1番の難所の下りを終えた。
心底ほっとした。トラブルもなく降りて来られて良かった。
青空の下雲ノ平山荘のお弁当をKiyocaさんと分け合って食べた。ご飯がおいしい。
カベッケヶ原を越え、沢を渡り来た道を太郎平小屋へ戻る。最後のざれた登り返しでは、バテバテで息が続かない。ちょっと登っては、
「ごめん、休憩していい?」と言って息を整え、大量の汗を拭う。
「この後のお楽しみはビールだ!ジョッキの生ビールにする!」
と、太ももが重たくなってきた、と言うKiyocaさんと励まし合いながら、最後の登りを登る。







この山行きで、たくさん咲いていて、
名前を覚えました😊
登り切って、太郎平小屋が見えて来た。


小屋で受付だけして、外のベンチで生ビールで乾杯した。


大量に汗をかいて、ビールが美味しい!塩もみしたきゅうりもあっという間に無くなった。充実の時間。そして天気予報通り雨は上がった。
雲ノ平の上にドヨンと乗っていたグレーの雲もない。
「えー、雲ノ平晴れてる、いいなぁ今日行った人は。」
と言うKiyocaさん。
山の景色は一期一会、同じところでも2度と同じ景色はない。だから自然に惹かれて何度も足を運んでしまう。
「また来る理由が出来たね。」
水晶岳バーンが見れなかったけど、この行程を歩ける力と体力が充分ある!と自信が持てたKiyocaさんの意識はすでに、薬師岳や、黒部五郎岳や、新穂高から雲ノ平へ入るルートへと向いている。
私もここから始まったんだ。ここからこの黒部の源流域の山が好きになったんだ。
太郎平小屋はスタンプを12個集めると1泊無料で泊まれる。後4つ。今度はどこをどう歩こうかなぁ?と、早くも酔いが回った頭で妄想する。
Kiyocaさん、北アルプスの雄大な自然をこれからも存分に楽しんでくださいね。
Kiyocaさんの記事はこちら↓


