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翻訳本『コンサルティング・トラップ』が出ました

たまには宣伝を。
先日、私が翻訳した本『コンサルティング・トラップ』が出版された。


世界各国(特に英米圏)で大手コンサル会社がいかに政府に深く入り込んでいるか、そして政府が政策決定や公共サービスの提供をコンサル会社にいかに依存しているかを明らかにした内容。

帯には「コンサルの悪事を暴露」というセンセーショナルな言葉が躍っているし、実際に超大手コンサル会社(マッ〇ンゼーとか)がやらかしたスキャンダルもいろいろと載っているが、コンサルを批判して終わるだけの本ではない。

コンサル会社が政府機能の重要な部分を担うようになったことで、民主的な政策決定が歪められ、国民(納税者)にツケが回っている実態を、綿密な調査をもとに論じている。

行政がコンサルに依存することで生じる「罠」を、一昔前に流行った図で表現するとこんな感じ。

ここ数年、東大や京大などの「優秀な」学生を中心にコンサル人気がすさまじいが、コンサルを目指している人にこそ読んでほしいと思う。
自分たちの優秀な頭脳や若い時期の貴重な時間を、果たしてこんなことのために使っていいのか、自問自答する機会は提供できていると思う。

もちろん、本書の内容に対して「そんな悪どい商売はやっていない」とか「本書の見方は一面的すぎる」といった批判はあるだろう。
また、コンサルの実態を知ったうえで、それでも高収入や輝かしいキャリア、あるいは「圧倒的成長」のために大手コンサルを就職先として選ぶというのであれば、何も言うことはない。

ただ、この翻訳本を出したことで、エリート層を中心にコンサル業界がやたらと持ち上げられている風潮に一石を投じることはできたと思う。

幼稚な私情を吐露すれば、本書の翻訳は、どう頑張ってもコンサルのようなエリートの世界で生きていくことはできないであろう私から彼らに向けた、(若干の嫉妬や怒りも入り混じった)ささやかな抵抗でもある。


...…それはさておき、本格的な洋書をまるまる一冊訳して出版するというのは、想像以上に手間のかかる仕事だった。

昨今はAI翻訳の精度が上がっており、もちろんその助けも借りてはいるのだが、当然のことながらAI翻訳をそのまま使うのは厳禁なので、一文ずつ読み進めながら訳出をしている(精度が上がっているとはいえAIは誤訳もたまにするし、長く複雑な構文になるほど日本語として違和感が出てくる)。

特に、専門用語や固有名詞の訳出はAIに任せるわけにはいかない。
学術的な用語やコンサル・行政の用語として問題がないか調べ、かなり神経を使って訳出したつもりだ(一般の読者が読む想定なので、訳注も結構入れている)。
※訳注や用語の選択に誤りはないと信じたいが、万が一問題があれば教えてください。

訳出以外に、原書の参考文献のうち邦訳が出ている本の確認も必須の工程なのだが、これも思いのほか時間がかかる。

邦訳書が出ていれば、邦訳のタイトルや訳者、出版社、出版年を脚注に記載し、引用箇所があれば既存の邦訳に合わせなければならない。
出版社に依頼して送付してもらったり図書館で借りたりして必要な文献を集め、該当する引用箇所を探し、一字一句間違えないように文言を合わせていった(このあたりももちろん、AIには任せられない)。

すでに絶版になっていて、公立の図書館やAmazonでも手に入らないような古い本は、親交のある京大生に頼んで京大の図書館で借りてきてもらった(どんな古い本でも揃っている京大附属図書館、恐るべし)。

というわけで、想定以上に手間暇がかかったこともあり、原稿の完成が予定よりも遅れてしまった。
辛抱強く待ってくださった出版社の担当者には、心より感謝申し上げたい。

興味があれば読んでみてください。

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某大学で本書の出版記念講演も行い、その様子はこちらでまとめています。


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