徹底した執筆プロセスの見直しで、成果とブランドを築く5ステップ
「とりあえず競合他社のブログをいくつかピックアップして、同じような見出しを作ってみてよ。」
「わかりました。構成のベースができたら、あとは自社の情報を当てはめて執筆します!」
検索上位にある記事を分析し、網羅的に見出しを設計し、そこに自社のサービスや事例を当てはめていく・・・
一見すると、とても効率的で失敗の少ないWeb施策の進め方のように感じられます。
しかし、いざ記事が公開されて数ヶ月が経ったとき、多くの経営者やWeb担当者は同じ壁に直面します。
「競合の見出しを真似た結果、自社ならではの魅力や熱量が全く伝わらないツギハギの記事が完成してしまった」
「構成の“穴埋め作業”になっているせいで、誰が書いても同じような、薄くてありきたりな文章しか生まれない」
「SEOのセオリー通りに情報の網羅性や文字数は担保しているのに読者の心に刺さらず、すぐに離脱されてしまう」
記事の更新頻度は守れているはずなのに、なぜか読者の心を全く動かせず、自社らしさというブランドが積み上がっていかない。
現場の担当者はネタ切れに疲弊し、経営者は費用対効果に首をかしげることになります。
「文章力が足りないのではないか?」
「SEOのキーワード選定を間違えたのではないか?」
「もっと目を引くような、キャッチーな企画が必要なのではないか?」
そう考えて担当者を変えたり、新しいツールを導入したりする企業も多いですが、残念ながらそれで状況が好転することは稀です。
もしもあなたが今この状態に陥っているなら、その原因はライターの語彙力やSEOスキルといった、表面的なテクニックの問題ではありません。
もっと手前のコンテンツを制作する「順番」そのものを間違えていることにあります。
さらに言えば「いきなり構成(見出しづくり)から入る」という、多くの人が無意識に行ってしまうプロセスそのものが、失敗の元なのです。
本記事では、読まれるコンテンツ作りに不可欠な「5つのステップ」と、多くの企業が陥りがちな罠について、具体例を用いながら深く紐解いていきます。
最適なソリューションやテクノロジーを知るだけでは、課題解決や目的達成ができるとは限りません。実践的に活用できる「リテラシー」をnote記事にして提供していきます。
株式会社Lipple 取締役 根本

コンテンツ制作「5つのプロセス」
本質的なコンテンツ制作のプロセスは、大きく以下の「5つのステップ」に分けられます。
STEP1:理解
STEP2:抽出
STEP3:構成
STEP4:執筆
STEP5:推敲
ここで多くの人がやってしまうのが、上流のプロセスを飛ばして、いきなりSTEP3の“構成”から作り始めてしまうことです。
なぜなら真っ白な画面に向かって“何を伝えるべきか”を悶々と考えるよりも、まずは「大見出しを3つ作ろう」「自社のサービスのつよみを順番に並べよう」と骨組みを作ってしまう方が、効率的に思えるからです。
しかしいきなり構成をつくりはじめると、自分自身の“伝えたいこと”ばかりが先行してしまい、読み手にとっては“わかりにくい文章”になってしまいます。
例えば「クラウド会計ソフト」を売るためのBtoB向け記事を作るとしたら、構成から入る人は以下のような見出しを作りがちです。
1.新システムの開発背景
2.搭載されている3つの最新機能
3.導入プランと価格
4.お問い合わせはこちら
一見きれいにまとまっているように見えるのですが、これでは「企業側の言いたいことの押し付け」に過ぎません。
検索してこの記事にたどり着く読者は「毎月の経費精算や請求書処理に追われ、月末はいつも残業ばかりで辛い」という切実な悩みを抱え、解決策を探しているはずです。
そこに読者の文脈や感情を無視して“開発背景”や“機能スペック”を並べられても、心は少しも揺さぶられません。
読者の心が動かなければ、当然“問い合わせ”や“購入”といった行動は生まれず、そもそも最後まで読んでもらえる可能性すら低いでしょう。
相手の行動を促すのに大切なのは、商品の魅力を一方的に伝えることではなく、どうしたら相手に買いたいと思ってもらえるのかを深く考えること。
そこには読者の悩みを自分の痛みとして想像し、深く憑依するプロセスが欠かせません。
順番を飛ばさずにSTEP1からはじめることが、読み手の心にまっすぐ届き、確かな成果に繋がる最短ルートなのです。
【成果を分ける】読まれるための5ステップ
STEP1:理解
自分が深く理解していないことを、他人の心を動かすレベルで伝えることはできないため、まずは様々な手段で正しい情報を集め、自分が誰よりも深く伝えるべき内容を理解します。
ただし、いきなりネットで情報を調べ始めるのではなく先に大枠の方向性を定めることが大切です。
なぜなら、
「どんな人に」
「どんな内容を」
「どんな方法で」届けるのか。
ここがブレたままだと、この後のリサーチで迷子になってしまうからです。
その次に行ってほしいのが「仮説」を立てること。
例えば、労務管理システムをアピールする記事を書く場合。
ターゲットは機能の多さよりも「今の複雑なエクセル管理から、どうやって無事に移行できるのか」というリアルな手順を知りたがっているはずだ・・・
と、あらかじめアタリを立てるのです。
仮説を持っておかないと、いざリサーチを始めたときに膨大な情報の海に溺れ、何が正解か分からなくなってしまいます。
よくある「検索上位の競合がこう書いているから、ウチも同じ構成にしておけば間違いないだろう」という“無難な情報の穴埋め作業”にすり替わってしまうのもこれが原因です。
逆に、明確な仮説を持った状態で「情報収集」に入れば、その後の行動が大きく変わります。
例えば、本やインターネットなどから幅広く情報を集めることも大切ですが、仮説と照らし合わせながらリサーチをすることで、
「読者が本当に求めている“生きた解決策”は検索エンジンには落ちていない」
という事実にも気づくことができるでしょう。
ユーザーの心を動かす答えを持っているのは、検索エンジン以上に、現場で日々お客さまと接している自社の営業マンやサポート担当者だったりします。
だからこそPCの画面から目を離して「実際にお客さまが一番つまずくポイントはどこか?」を直接聞きに行けるなど、適切な手段で情報を集め、自分自身の理解をより深いものにしていく正しいアクションが生まれるのです。
STEP2:抽出
正しい情報を収集したら、その中からコンテンツに必要な情報を抽出します。
ここで重要なのが、集めた情報を「1から10まですべて書こうとしない」こと。
企業の言いたいことだけを載せれば独りよがりになり、逆にユーザーが求める情報だけを並べても、競合他社と同じような中身のないコンテンツになってしまいます。
だからこそ、「どんな人に」「どんな内容を」「どんな方法で」というSTEP1で定めた軸に沿って、本当に必要なエッセンスだけを抽出する作業が欠かせません。
その際、ペルソナ(ターゲット)を極限まで具体的に意識することがカギになります。
ペルソナとはライフスタイルや悩み、家族構成などを深く想定した架空の具体的な人物像のこと。
「30代の採用担当者」
↓
「社長から採用枠の拡大を命じられているが、自社の魅力が言語化できず、夜な夜な他社の採用サイトを見てはため息をついている32歳」
といったレベルまで、ひとりの人物像に絞り込むのです。
この「たった一人の読者」の心に刺さる情報だけを、客観的な視点や自社ならではの視点を交えて選び抜くことで、独自性のあるコンテンツを生み出せます。
さらに抽出を行う際は一貫性を持つことが大切で、以下の多角的な視点を持つことも欠かせません。
・読者の視点(客観的な視点)
・反対する立場の視点
・筆者の視点
・自分にしかない視点
客観的な視点だけではどこにでもあるような内容になり、反対の視点に寄りすぎると説得力が欠けてしまいます。
それぞれの視点からバランス良く情報を抽出し、マインドマップなどを使って断片的な情報をつなぎ合わせることで・・・
情報同士の関係性が視覚化されて、スムーズに次のステップに進むことができるのです。
さらに相思相愛になれるお客さまだけを集める方法は、ライティングに入る前の設計を見直せる、こちらの記事もヒントにしてみてください。↓
STEP3:構成
ここで初めて、集めた情報をもとに「構成」の作業に入ります。
構成において最も大切なことは、きれいな“目次”を作ることではなく・・・
企業側の言いたいことを押し付けず、読者の「心の動き」に合わせて情報を並べ替える、いわば“感情の導線設計”です。
世の中には「PREP法」や「PASONAの法則」といった有名なフォーマットも存在します。
構成作りに慣れていないうちは、こうした基本の型に情報を当てはめて、論理的に整理していくアプローチも有効です。
ただ、そこで思考を止めて単なる“文字の穴埋めパズル”になってしまうと、読者の心は動いてくれません。
目指すべきは、ページを開いた読者の頭の中に浮かぶ“疑問”に常に先回りする緻密な設計なのです。
「たしかに、自分は今これで悩んでいる」
「なるほど、原因はそこにあったのか」
「そうか、だからこの解決策が必要なんだ!」
読者が立ち止まることなく、無意識のうちに「次に知りたいこと」が提示される順番でていねいに組み立てていきます。
ここで企業側の「まずはこれを言いたい(売り込みたい)」というエゴが先行して、情報の順番がバラバラになってしまうと、読者は違和感を覚えてページから離脱してしまいます。
エゴは捨て去り、読者が「次に何を知りたいか」という視点に立って、流れるようなストーリーラインへと情報をチューニングしていく作業。
それこそが、真の“構成”といえるのです。
STEP4:執筆
ここまでの工程で作った強固なストーリーラインに、いよいよ血肉を通わせていくのが「執筆」です。
集めた情報をただ無機質に並べるのではなく、熱量を乗せた「自分たちの言葉」へと変換していきます。
ここで最も意識すべきなのは、“事実”と“感情”の黄金バランスです。
どんなに熱い想いを語っても、それを裏付ける正確な事実やデータ、筋の通った論理展開がなければ、ビジネスにおいて読者を深く納得させることはできません。
一方で、論理的に正しいだけの「説明書」のような文章では、人は行動を起こす気にはなれません。
読者が、
「まさに今の自分のことだ!」
「この人は私の痛みを分かってくれている!」
と、リアルな情景を頭の中で想像できるような、感情に訴えかけるアプローチが不可欠なのです。
頭で納得させる“事実”と心を動かす“感情”。
この両者が織り交ざって初めて、ウェブ上のテキストが人の行動を促す強力な武器になります。
そのためにも、業界の専門用語や難解な言葉を使って、無意識に読者を置いてけぼりにする「専門用語の壁」には気をつけてください。
同時に、画面の向こう側の読者にストレスを与えないための、基本的な「読みやすさ」のルールを守ることも大切です。
・ひとつの文章で伝えることはひとつに絞る(1センテンス1ミーニング)
・一文が長くなりすぎないように短く区切る
・語尾の「です・ます」といった文体を統一する
・主語と述語のねじれをなくす
・話の切れ目で適度な改行を挟む
STEP1でターゲットの悩みを深く理解していれば、誰が読んでもスッと情景が浮かぶような平易な言葉や、自社ならではの的確な比喩で語ることができるはずです。
どこかのサイトから持ってきた借り物の言葉ではなく、あなた自身の言葉で語りかけること・・・
それが、競合には絶対に真似できない「オリジナルのつよみ」となるのです。
STEP5:推敲
推敲を、ただの誤字脱字のチェックだと勘違いしている人が多いのですが、実はコンテンツをつくる上で最も重要な作業といえます。
なぜなら「理解」「抽出」「構成」「執筆」の全工程を再確認し、コンテンツの質を最大化させる最後の砦となるからです。
どんなに素晴らしい内容が書かれていても、読みにくい表現やノイズが混ざっていれば、読み手の感情は一気に冷め、ページから離脱されてしまいます。
ですから改めてターゲットの視点に立ち返り、以下のポイントを厳しくチェックする必要があるのです。
・主軸のブレはないか
一番伝えたいメッセージが迷子になっていないか
・情報の抜け漏れ・偏りはないか
読者の疑問を置き去りにしていないか
・根拠は明確か
納得して行動(CV)に移すための事実が揃っているか
推敲のコツは「増やすより削る」こと。
全体を見て違和感のある箇所を探し、必要のない接続詞や主語、指示語(こそあど言葉)などを極力減らしていきます。
ただ文字を黙読するのではなく「音読」しながらおこなうことも大切なポイント。
自分自身の文章にはどうしても「こういう意図で書いた」という先入観があるため、書き上げた直後は客観的な判断ができません。
最低でも一晩の時間を置いて冷静な視点で見直したり、第三者に読んでもらったりして、客観的なフィルターを通すことが不可欠です。
そして一度確認して終わりではなく、この「削る作業」を何度も繰り返すことで、ライティングの精度は飛躍的に高まっていきます。
正しい「プロセス」という資産
ライティングは、文字を並べてウェブ上の空白を埋める作業ではありません。
「理解」「抽出」「構成」「執筆」「推敲」という順番を守り、それぞれの工程の意味を深く理解して進めることで、初めて相手の心を動かすコンテンツが生まれるのです。
とはいえ、成約率を極限まで高めるには、最後の仕上げである「推敲」が鍵だったりします。
「とりあえず構成から・・・」という穴埋め作業を抜け出し、一見遠回りに見えるプロセスをていねいに踏むこと。
それが、あなたの発信するコンテンツに“誰にも真似できない熱量”を宿し、競合のツギハギではない強固なブランドを築き上げるのです。
ウェブをただのツールで終わらせず、確かな手応えに繋げるために・・・
今後も、ビジネスを加速させる本質的なリテラシーについて発信していきます。
それではまた。

