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犯罪被害者としての男性

この国において、男性は女性よりも犯罪の被害に遭いやすい。犯罪被害者の約7割は男性であり、殺人・暴行・傷害等の事件の被害者は約6割が男性である。

「透明化される「マスキュリサイド」(男殺し)|りべます」

ところが、奇妙なことに、この統計的事実はこの社会で共有されている素朴なイメージに合致しない。というのも、実際には犯罪被害者には男性が多いのに、犯罪被害者といえば真っ先に女性が思い浮かぶのである。なぜこのようなイメージが生じるのであろうか?

警察署や交番に貼り出されている防犯ポスターに描かれたイラストを眺めてみれば、誘拐の被害者の姿は幼い女性、ひったくりの被害者の姿は若い女性、詐欺の被害者の姿は年老いた女性である。ニュースを見れば、女性が被害者となった凶悪事件がセンセーショナルに報道されている。「なんとひどい事件であることか! 女性は日々こんな被害に遭う恐怖に怯えなければならないのだ!」ネット上にはその事件に対する怒りの声が溢れる。その報道の熱の入りように気圧されて、私たちはその前日に男性が被害者となったそっくりな事件があったとしても、それをすっかり忘れてしまう。その事件は誰も話題にしない。

我々は統計的事実ではなく、こうしたメディアによる刷り込みによって、犯罪の被害者といえば女性であるという誤ったイメージを刷り込まれている。ここでいう「メディア」というのは、マスメディアだけではない。SNSでも、口頭でも、「犯罪被害者といえば女性である」というイメージは増幅され続ける。統計に目をやることを嫌い、事実に目を向けるよりは漠然としたイメージに基づいてものを考えていると、「犯罪被害者といえば女性」というイメージの世界で一生を終えることになる。当然、そうした誤認識は社会の意志決定を狂わせることになる。民主主義は、現状に対する正しい認識を有権者が共有しているという前提の上に成り立つ制度なのだということを忘れてはならない。


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