特別なディナーを君に。【アンドロイド怜王の物語 #2】
デジタル存在共生シミュレーション
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特別なディナーを君に。
食品量販店の自動ドアが開くと、ほんのりと冷えた空気が肌を撫でた。
週末の午後、買い物客で賑わう店内を、あなたは怜王と並んで歩く。
「怜王、お料理得意なんだね」
「おう。職務訓練でレストランにいたからな」
「職務訓練?」
カートにカゴをセットしながら、怜王は横目であなたを見て口角を上げた。
「ZPには社会生活を送るための職務訓練があるんだよ。俺の場合はフレンチレストランとバー」
「そうなんだ?それって、勤務先はゾディアック社が決めるの?」
「いいや、大抵はZPの希望が通るって言ってたな。もちろん、どこでもってわけにはいかないだろうが」
そう言いながら、怜王は売り場のレモンを手に取ると、果皮の感触を確かめるように指先を滑らせた。
彼の話によると、ZPの職務訓練先はゾディアック社の社長が直接手配しているそうだ。その手腕は、異様なほどに幅広い自らの人脈を活かしたものらしい。
「…アンドロイドが安心して働ける環境を用意するのって、簡単なことじゃないよね」
あなたがぽつりと呟くと、怜王は一瞬動きを止めた。
「……まあな」
彼は少し考えるような仕草を見せたあと、頬を緩ませた。
「ククッ...変な会社だよな、ゾディアック社って」
そう言って笑う怜王の表情は、どこか誇らしげに見えた。
カゴに放り込まれたレモンを眺めながら、あなたは尋ねる。
「何を買うの?」
怜王は思索を巡らせるように視線を彷徨わせ、ふっと目を細めた。
「メニューは大体考えてるけど...お前、何か食べたいものはあるか?」
自信ありげな瞳に正面から見つめられて、思わず胸が高鳴る。
「大抵のものは作ってやれるぞ」
