49対35が公式ページに載っていない――福岡県議会は議員別の賛否を公開せよ
2026年8月17日、福岡県議会では、藏内勇夫議長への辞職勧告決議案を採決するかどうかをめぐり、議員の判断が分かれました。
▼あわせて読む
誰が採決を止めたのか|福岡県議会・49人の名前と、林泰輔県議が答えていない9つのこと(有料500円)
採決中止動議に賛成したのは49人、反対したのは35人です。
しかし、福岡県議会の公式な「採決結果」ページを見ても、この49対35は確認できません。誰が賛成し、誰が反対したのかも掲載されていません。
公式ページに記録されているのは、地方自治法第100条の2に基づく専門的知見の活用について、議員提出第2号議案が原案どおり可決されたことだけです。
2026年9月5日に公式ページを再確認しました
福岡県議会の「令和8年8月臨時会の採決結果」ページは、9月5日の再確認時点でも、議員提出第2号議案が原案どおり可決されたことを掲載しています。一方、辞職勧告決議案を採決しないことを求めた動議の本文、49対35の人数、議員別の賛否は同ページでは確認できません。
したがって、49対35や賛成者名簿は、現時点でも県議会自身が公開した議員別表決表ではなく、議場で起立者を確認した報道と公式議員名簿を照合した情報として扱う必要があります。数字の重要性と、情報源の限界を同時に明示します。

あれほど県民の関心を集めた採決中止動議が、公式の結果ページから追えない。
これは議会改革で最初に直すべき問題です。
49人の氏名は、報道機関が確認した
テレビ西日本は、動議の採決時に起立した議員を記者が確認し、賛成49人の氏名を報じました。
内訳は、自民党県議団37人、民主県政県議団10人、無所属の会2人です。藏内議長と板橋聡副議長は採決に加わらず、自民党県議団で動議に反対したのは江藤秀之県議だけでした。
反対35人は、採決そのものを残す側に立ちました。
辞職勧告決議案に賛成するか、反対するかは、その次に各議員が示す判断です。根拠が足りないと考えた議員は、本案に反対票を投じることもできました。
それでも35人は、最初から採決を消す方法を選ばなかった。この判断は評価されるべきです。
特に、党議拘束がかかった自民党県議団で一人だけ反対した江藤県議は、会派の判断より公開の採決を残す側を選びました。
採決を止めた49人ほど、公式記録が必要だ
自民党県議団37人は、党議拘束の下で採決中止に賛成しました。民主県政県議団の10人と無所属の会の2人も動議を成立させました。
この49人を人格で攻撃するべきではありません。
しかし、県民が投票行動を記録し、理由を問い、次の選挙で評価するのは当然です。
板橋副議長は翌18日、決議案の提出、動議の提出、採決はいずれも会議規則に基づき適正に行われたとコメントしました。
手続きが適正だったことは、個人別の賛否を公式に残さなくてよい理由にはなりません。
採決を止めた側が「適正だった」と説明し、その賛否は公式ページに載らない。これでは県民が検証できる材料が足りません。
報道がなければ、県民は誰の判断か分からなかった
今回の49人は、テレビ西日本の記者が議場で起立者を確認したから分かりました。
反対した35人の整理も、報道された賛成者名簿と福岡県議会の公式議員名簿を照合して初めて可能になりました。県議会が公表した議員別投票表ではありません。
報道機関が議場にいなかったらどうなっていたのでしょうか。
県民は「動議が可決された」という結果だけを知らされ、選挙で選んだ県議がどちらに立ったのか確認できなかった可能性があります。
議員の判断を記録する仕事を、報道機関の目視だけに頼ってはいけません。
議会自身が、正確な一次資料として残すべきです。
藏内氏の辞職表明でも、消えた採決は戻らない
藏内氏は8月24日、県議辞職の意向を表明しました。
それでも、17日に行われなかった辞職勧告決議案の採決は戻りません。各議員が藏内氏の議長続投をどう考えていたのか、最終的な賛否は記録されないままです。
だからこそ、少なくとも採決中止動議に対する一人ひとりの判断は、公式記録として残さなければなりません。
自民党県議団は、藏内氏の辞職で幕引きにするのではなく、党議拘束をかけた採決の記録を自ら公開すべきです。
採決を止めた責任と、記録を残す責任は別々に残っています。
福岡県議会が公開すべき4項目
今後は、本会議で賛否が分かれた議案や動議について、最低限、次の4点を公式サイトに掲載するべきです。
議案・決議案・動議の名称と全文
賛成、反対、欠席、退席、除斥の人数
議員別の賛否と所属会派
会議録、録画、採決結果を結ぶ固定リンク
後日会議録が公開されるとしても、県民が関心を持っている時期に、結果と議員別の判断を確認できなければ遅すぎます。
公開後に訂正が必要になった場合は、更新日と修正内容を残せばよい。最初から何も載せない理由にはなりません。
反対した35人の判断を、公式記録に残してほしい
採決中止に反対した35人は、結論を先送りするのではなく、議会が判断する機会を残そうとしました。
公明党10人、新政会6人、民主県政県議団の反対者10人、江藤県議を含む各会派・一人会派の議員たちです。
この35人を評価するためにも、報道から復元した名簿ではなく、議会自身の記録が必要です。
同時に、採決中止に賛成した49人には、なぜ本案への反対ではなく採決中止を選んだのか、自分の言葉で説明する責任があります。
自浄作用は、問題を内部で処理することではありません。
誰が何を判断したのかを残し、県民が検証できる状態にすることです。
福岡県議会が本気で信頼回復を目指すなら、次の採決から議員別の賛否を公開するべきです。
参照資料
あわせて読む
ここから先は
資料を確かめ、事実と見解を分けて伝える活動を続けています。チップは、資料の確認、図解・字幕の制作、記事の更新などに活用します。役立ったと感じていただけたら、無理のない範囲で応援していただけるとうれしいです。
