資産を守るために調べ始めたこと|#44(第2章)
現預金1億円を前に判断が止まったあと、すぐに答えが出ることはありませんでした。
ただ、その中でも一つだけ、少しずつはっきりしてきたことがありました。
それは、「これ以上、積極的に増やすフェーズではないのかもしれない」という感覚でした。
時期は2025年。
不動産からの家賃収入は安定し、会社員としての給与もあり、資産全体としてもある程度の規模になっていました。
そうした状況の中で、自然と意識は「増やす」から「守る」へとシフトしていきました。
では、実際にどう守るのか。
ここから改めて、いろいろと調べ始めることになります。
自分でいうのも少しおこがましいのですが、参考にしたのは「富裕層の資産運用」でした。
自分と同じような規模、もしくはそれ以上の資産を持つ人たちが、どのように資産を管理しているのか。
その考え方や手法を知ることで、自分の選択のヒントになるのではないかと考えました。
調べていく中で、いわゆる富裕層向けの商品にも触れる機会がありました。
具体的には、証券会社のプライベートバンク部門や外資系金融機関、資産運用会社などが提供している商品です。
たとえば、仕組債と呼ばれるデリバティブを組み合わせた商品や、特定の指数や通貨に連動した運用商品、さらにはプライベートエクイティやヘッジファンドといった、一般の投資家にはあまり馴染みのない投資対象もありました。
また、複数の資産を組み合わせたラップ口座のようなサービスもあり、一定の手数料を支払うことで、運用そのものを任せるような形のものもありました。
こうした商品は、ある程度まとまった資産を前提として設計されており、提案される内容も個別にカスタマイズされるケースが多いようでした。
実際に見ていくと、「こういう世界があるのか」と感じる一方で、正直なところ、自分にはしっくりくるものは多くありませんでした。
リターンの構造が複雑で、どのような条件で利益が出て、どのような場面で損失が出るのかが直感的に理解しづらいものが多かったからです。
説明を受ければ理解はできるのかもしれませんが、「自分の言葉で説明できるか」と考えると、そこまでの納得感は持てませんでした。
また、手数料体系やリスクの取り方についても、自分の中で明確に腹落ちする感覚がなく、「本当にこれを長期で持ち続けられるのか」という不安もありました。
簡単に言うと、「商品性を理解しきれない」という状態だったのです。
資産が増えてきたからこそ、「よく分からないものには手を出さない」という考えも、これまで以上に強くなっていました。
その中で、もう少し分かりやすい、自分の能力でも理解できるレベルの情報を求めて、YouTubeなども中心に調べていきました。
そこでよく目にするようになったのが、「IFA」と呼ばれる方々の発信です。
証券会社や投資会社出身の方が独立し、個人向けに資産運用のアドバイスを行っている存在で、実務に基づいた情報発信をしている方が多い印象でした。
いくつかのチャンネルを見ていく中で、ある共通点が見えてきます。
それは、ポートフォリオの中に「債券」を組み込む考え方でした。
特に印象に残ったのは、複数の債券を組み合わせてポートフォリオを構築し、年利回り5%前後の安定した収入を得るという仕組みです。
株式のように値動きに一喜一憂するのではなく、あくまで安定したキャッシュフローを積み上げていく。
そして、資産を取り崩すことなく、長期間にわたって運用を続けていく。
この考え方は、自分の中で非常にしっくりきました。
これまでのように「増やす」ことを目的とするのではなく、「減らさずに維持しながら、安定した収入を得る」という考え方。
まさに今の自分のフェーズに合っていると感じました。
さらに調べていく中で、その考え方をより体系的に発信している元証券マンのYouTuberに出会います。
動画の内容はどれも具体的で、実務に落とし込まれており、「これはもう少し深く知りたい」と思えるものでした。
ここから、債券という選択肢について、より本格的に調べていくことになります。
次回(第45話)は、元証券マンのYouTuberの発信をきっかけに、債券投資について本格的に理解していった過程についてお話しします。
資産を「増やす」から「守る」へと方針を転換した理由について、もう少し具体的に整理していきます。
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