角は欠けてもおいしいものだね。
先日作ったひと皿。
並外れた弾力をもつ大好きなショートパスタ「フジッリ」を使った、なんてことない炒めパスタである。しかしその味が妙に記憶に残っているのだ。
【登場人物(食材)】
*フジッリ(主役)
らせん状にねじれて弾ける若さを持つ。溝にソースを溜め込む計算高い一面もある。
本名を”フリッジ”と間違えられやすく、アンガーマネジメントに余念がない。
*じゃがいも&ズッキーニ(準主役)
角を立てて生きるのがカッコいいと憧れているが、今回はじっくり炒められる運命。
*しめじ&鶏肉(脇役)
旨味担当。洋食でも和食でもそつなくこなす仕事人タイプ。
しめじは石づきを落としてほぐす。
じゃがいもは1.5cmくらいの角切り、ズッキーニも同様に。角(かど)を立てて、いざ火の中へ。

フライパンでじわじわと元気を失うしめじ。
そのままの長さで納得しているの?
はい、切らなくていいの、縮むから。
(わたしが選択)

そこへざっくばらんに切られたズッキーニ。加熱しても緑色が色褪せなくて見た目はかなりイケてる。いつまでキリッと姿勢を保てるのか。
ここでいったんフライパンから脱出させる。

続いて鶏むね肉。表面をカリッと焼かれずにテキトー感で満ちあふれている。
問題は、ここから。
今日のテーマである「角」
じゃがいもとズッキーニをフライパンへ戻す。

角 VS 熱のぶつかり合い。
じゃがいもとズッキーニのエッジは、誰にも譲らないと言わんばかりに尖っていたのではなかったか。
炒めるにつれ、彼らの角に異変が訪れる。
フライパンの底との摩擦、油を吸い、フライパンから飛び上がり、熱を通されながら鋭さが失われていく。
ズッキーニはくしゃっと涙を流し、口ほどにイキってなかったじゃがいもは、あれよあれよとデンプンの地肌が見え始める。
そして、角が取れた。
人間関係では「経験を積んで丸くなる」という意味で使われるが、それは食材でも同じ。
炒め続けると、じゃがいもはみるみる崩れ出し、ズッキーニは丸みを帯びて優しさを醸し出した。
そこへゆであがったフジッリが容赦なくやって来る。

弾けるように元気がいいフジッリと、角が取れてすっかり大人しく控えめなおじいちゃんおばあちゃん化した”じゃがズッキー“との無理矢理同居スタート。

尖っていた時よりも、角が欠けて中身が少し露出した方が、味がはっきりと認知されて本来の甘味が引き出されるのかもしれない。
人間も食材も似ている。
角を立てて姿勢よく見せておいて、時には熱い試練に身を委ねながら角が欠けるのは人間味がある。
周り(フジッリ)とうまくなじんで、自分の中心部にある味わいを、もっとおいしく感じてもらえるだろう。
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フジッリに一生ついていきます。
