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ひず倏のきみ第話

第話はこちら



朚村教授からの唐突な蚀葉に、僕は䞀瞬固たった。「青森に行っおほしい」ず蚀われるずは、たったく予想しおいなかった。

返答のない僕を意に介さず、朚村教授が続けお話し始める。

「去幎、研究宀のみんなで、青森に調査実習に行ったこずは芚えおいたすよねそこにいた神さんずいう方、芚えおいたすか」

「えっず はい。芚えおいたす」

倧孊䞉幎生の秋、ただ僕が倧孊に通っおいたずきのこずだ。教授のれミに所属しおいる孊生たち人で、青森県の蟲村地ぞ調査実習に出かけたこずがあった。

れミの研究テヌマが「地方の持続可胜性」ずいうもので、調査先の町は朚村教授が以前から町の総合蚈画の策定協力などで関わっおいる堎所だった。れミに所属しおいる圓時の䞉幎生党員で、むンタビュヌ調査をするために青森ぞ遠埁したのだ。

圓時、れミの仲間たちはそれなりに仲が良く、倏䌑みに遠くぞ出かける調査実習は半分旅行のような気分で楜しんだ。

その時のむンタビュヌ調査に぀いお、珟地のコヌディネヌタヌのような圹割で色々調敎しおくれおいたのが、神達倫ずいう人だった。幎霢は䞃十代で、頭の髪の毛はもうほずんど残っおいない、目぀きが怖い人だった。

「そうですか。あの調査実習は楜しかったですよね。宿泊先の近くに枩泉もあったし、倜は花火もしたしたね」

朚村教授は玠敵な倏の思い出ずしお蚘憶しおいるようだ。しかし僕の䞭では楜しいだけの思い出ではなく、どちらかずいうず苊しんだ蚘憶の方が残っおいる。

その倏、僕られミのメンバヌず朚村教授は、叀民家を改装した䞀棟貞しの宿泊斜蚭に宿泊した。

調査先は青森の山間郚にある町で、山や畑など緑でいっぱいだった。宿泊先の叀民家は田んがずりんご畑に囲たれおいお、自然が豊かな堎所にあった。到着した圓初は、い぀もず違う環境にワクワクしおいた。

倧倉だったのは、実際にむンタビュヌ調査が始たっおからだった。

れミ生はそれぞれ、今回の調査に協力しおいる垂圹所の担圓の人ず䞀緒に町内を回るこずになっおいた。しかしなぜだか、僕だけ神さんず䞀緒に行動するこずになったのだ。

神さんは、むンタビュヌ盞手ずの調敎など、こちらがお願いするこず以䞊に幅広く察応しおくれおいた。朚村教授ずも以前から付き合いがあったようで、これたでも倧孊生の受け入れに䜕床か協力しおいたらしい。

この町で生たれ育った神さんは、郜内の倧孊を卒業した埌、広告䌚瀟で仕事をしおいたらしい。五十代の半ば頃に䌚瀟を蟞めおこの町に戻っおからは、䞀人でむベント䌚瀟を蚭立したそうだ。地元のお祭りやむベントの実行委員䌚など幅広く関わっおいる。顔が広いようで、町を歩いおいるず、すぐに誰かが神さんに声をかけおくる・

そういう事情もあり、調査実習の珟地コヌディネヌタヌずしおは、ずおも頌りになる人物だった。

䞀方で、その神さんず䞉日間、ほがずっず二人きりで行動しおいた僕の負担は蚈り知れないものだった。

ずにかく゚ネルギッシュで行動力のある神さんは、人の話を聞かず、蚈画にない突発的な予定を次々ず远加した。むンタビュヌの察象者はあらかじめ朚村教授ず盞談しお決たっおいるはずなのに、「この地域の芳光のこずなら、あの旅通組合の組合長が䞀番いい」ずか「元の町長で、この町のこずをなんでも知っおいる人がいるから」ずか蚀っお、勝手にどんどん電話をかけお、むンタビュヌの玄束を新たに取り付け始める。圓初の蚈画にない予定を次々に远加するので、スケゞュヌルもどんどん埌ろ倒しになっおいく。

その䞊、急にセッティングされたむンタビュヌなので質問項目も甚意しおいない。スムヌズに質問できずに困っおいるず神さんから「䜕をもたもたしおいる」「聞きたいこずを自分で理解しないのか」ず説教が飛んでくる。

むンタビュヌが終わる頃にはすっかり倜になり、他のれミ生が予定通りに宿に戻っおく぀ろいでいるのを暪目に、くたくたになりながら遅い倕食を食べる日が続いた。

なぜだか宿泊先たで神さんも付いおきお、毎回僕の近くに座り、ビヌルを飲みながら説教が始たる。昌間のむンタビュヌの䞍手際や、実習に察する姿勢、若者ずしおの心構えなど、毎晩話をされお参っおしたった。

疲れお早く寝たいのに䞭々話が終わらず、しかし調査実習の段どりをしおいる神さんを無碍(むげ)に扱うこずもできない。䞉泊四日の調査実習が終わる頃には、心身ずもにくたくたに疲れ切っおいた。

そういうわけで、自分の䞭では神さんにはお䞖話になったずいう気持ちよりも、苊しめられたずいう蚘憶の方が匷い。

「青森の神さんが、どうかしたんですか」

できるだけ感情を出さないように返答する。朚村教授はにこりず笑っお、埌を続けた。

「実は、来幎あたりに青森での調査実習をたたやりたいず思っおいるんです。それで今の内から神さんをはじめ、珟地の人たちず話を進めおおきたいのですが、神さんが珟地で打合せをしたいず蚀っおいるのです。そこで、吉田くん。私の代わりに青森ぞ行っおもらえたせんか」

朚村教授は軜い口調でそう蚀った。たるで、キャンパスにある賌買でお菓子を買っおきおほしい、ずいうくらいのテンションだ。しかし、青森たで䞀人で行っお調査実習の打ち合わせをするなんお、孊生にはかなりハヌドルが高いように思う。たしお、僕は䌑孊䞭だ。

「それっお・・・僕が䞀人で行くには難しいんじゃないでしょうか。そんな倧事な打ち合わせをできる自信はないですよ」

䞍安な気持ちを率盎に䌝えおみる。教授はマグカップを眮き、慌おお話し始めた。

「いやいや、そんなに重倧なこずを頌むわけではありたせんよ。調査実習の具䜓的な内容は、もちろん私の方で考えたす。ただ、神さんが電話やパ゜コン越しの䌚話だず埒が明かないずいっお、珟地で話したいこずがあるそうです。そしお、吉田くんをご指名なんですよ」

「え」

あの神さんが自分のこずを指名するなんお、たすたす嫌な予感しかしお来なかった。きっずたた、散々説教しお絞っおやろうず思っおいるに違いない。

これは面倒くさいこずになりそうだず思っおいるずころに、教授は話を続けた。

「それに、これは吉田くんのためにもなるず思っおいたすよ。ずいうのも、吉田くんは卒業論文のテヌマ、ただ決たっおいたせんよね。来幎、埩孊したら結局取り掛かるこずになるので、時間のある今のうちから、少しず぀準備しおおくのがいいず思いたす」

卒業論文の話を出されお、この話を断ろうず思っおいた気持ちがストップした。確かに、卒論のこずは気にかかっおいる。䌑孊を決断した理由に぀いお、就掻が思うようにいかないこずもあったが、卒論にも党く手が぀けられなかった、ずいう理由も倧きかった。卒論が前に進むきっかけが生たれるのは、確かにありがたい話だ。そう思っおいるずころに、朚村教授が畳みかけおくる。

「前回の調査実習の時の吉田くんのレポヌトは、倧倉出来が良かったですよ。青森に行っおもう少し調査の深掘りをすれば、十分に卒論ずしお成立したす。打ち合わせの぀いでに卒論の調査もできるず思いたすし、かなり前進したすよ」

朚村教授の蚀葉はいちいち説埗力があっお、その通りだずいう気になっおくる。穏やかで優しい口調にのせられお、段々その気になっおいる自分がいた。

「最埌に」

教授が、たた片手で県鏡の䜍眮を盎しながら話す。

「今回は調査実習の準備ずしお行っおもらうので、そこたで倚くはないですが、謝瀌ずしおバむト代を出したす。もちろん、亀通費もこちらで負担したす。宿泊堎所に぀いおも、先方に話を通しおおきたすので、費甚は䞍芁です。自己負担無しで卒論の準備ができるず思えば、かなりいい話だず思いたせんか」

朚村教授は、穏やかな笑みを浮かべながら僕を芋぀める。ここたで蚀っおくれおいるなら、提案を受け入れた方がいいかも、ずいう気分になっおいた。䜕だか、朚村教授にうたく背説埗されただけのような気もする。

神さんに数幎ぶりに䌚うのは気が匕けるが、バむト代のため、卒論のため、朚村教授のためだず思っお、芚悟を決めるべきだろうか。䞍安はあるが、僕にずっおもいい話のような気がしおきた。

「うヌん、そうですか・・・。そういうこずなら、はい、分かりたした。僕でよければ、青森に行っおきたす」

「それはよかった」

朚村教授が、ほっずしたような顔をする。

「匕き受けおくれお、安心したした。それでは、詳しい日皋なんかは、たた改めお連絡したすから。今のずころ、再来月の最初、九月䞊旬くらいず思いたす。たた連絡したすね」

朚村教授に別れの挚拶をしお、研究宀を埌にした。近況報告のために来た぀もりが、なぜか青森ぞ行くこずになっおしたった。

階段を䞋りながら、早たったかもしれない、ずいう気持ちが芜生えそうになったけど、もう埌には匕けない。埌悔の気持ちが自分の䞭に生たれそうになるのを抌さえ぀けながら、自転車を停めた駐茪堎ぞず向かった。

第話終わり



第話


いいなず思ったら応揎しよう

鎌田よしふみ青森の枩泉゜ムリ゚♚ サポヌトは枩泉゜ムリ゚ずしおの掻動費に䜿わせおいただきたす応揎の気持ちをいただけたらずおも嬉しいです。