IFCとは何か?BIM実務で「期待がズレやすい理由」と正しい使い方を分かりやすく解説
こんにちは!ONESTRUCTION株式会社 プロダクト本部 プロダクトマネジメントユニットの宮本鉄平です。
BIMを使った業務をしていると、頻繁に出てくるキーワードが 「IFC」 です。
「IFCで出力してください」
「IFCでモデルをもらえますか?」
「IFCの形式で納品お願いします」
こんなやり取りは、すでに日常になっている人も多いでしょう。
一方で、こんなモヤモヤを感じたことはありませんか?
IFCって結局、どう扱えばいいのか分からない
IFCにすれば、他ソフトでもそのまま編集できると思っていた
そもそもIFCって何?

この記事では、これからIFCを本格的に使っていく実務者や、すでに使っているが”期待”がズレていた人に向けて、
IFCとは何か
なぜ必要なのか
どこまで期待してよいのか
実務での正しい使い方
を整理して解説します。
この記事を読むと分かること
IFCは、データを共有するための共通形式
IFCは「編集を引き継ぐ形式」ではない
IFCに含まれる情報の中身
実務での正しいIFCの使いどころ
IFCに過度な期待をしないための注意点
IFCとは何か?
IFC(Industry Foundation Classes) とは、
異なるBIMソフト間で建物モデルの情報を
共有するための共通フォーマット
どのBIMソフトで作ったモデルでも、IFCに変換すると、別のBIMソフトやビューアで閲覧・確認はしやすくなります。
※ただし見え方や読める属性はツール次第です。

パワポとPDFで考えると分かりやすい
IFCを理解するうえで、以下の例で考えてみましょう。
Officeファイルの例
PowerPoint:.pptx
Excel:.xlsx
Word:.docx
これらは、それぞれのソフト専用形式です。相手が同じソフトを持っていないと、開いたり編集したりできません。
そこで使われるのが PDF です。
PDFにすれば、誰でも「見る」ことができる
BIMでも同じことが起きている
BIMソフトも同様に、ネイティブ形式を持っています。
Revit:.rvt
Archicad:.pln
Vectorworks:.vwx
Rebro:.reb
相手が同じBIMソフトを使っているとは限りません。そこで IFCに変換して共有する というわけです。

感覚としては、PDFがOfficeで“見るための共通形式”に近いなら、IFCもBIMで“共有のための共通形式”に近いです。
なぜIFCが必要なのか?実務で起きがちな問題
建設プロジェクトでは、
設計事務所
ゼネコン
サブコン
設備会社
発注者
など、立場も会社も異なる多くの関係者が関わります。
たとえ話
A会社
「Revitで作ったモデルを送りますね」
B会社
「……開けません」
A会社
「え、Revitのデータですが」
B会社
「うちはArchicadです」
こうした相互運用の課題に対して、解決策の1つとして生まれたのが IFC です。
どのソフトで作っていても、IFCという「共通フォーマット」を介せば、最低限同じモデルを確認できる状態を作れます。

IFCのサンプルデータはこちらから
IFCは「交換」ではなく「共有」
ここが、IFCで一番誤解されやすいポイントです。
よくある勘違い
IFCにすれば、別ソフトでそのまま編集できる
IFCはBIMデータの完全な受け渡し形式
これらは実務ではおすすめされません。
IFCは、
情報の閲覧
内容の確認
干渉チェック
数量拾い
データ活用
といった 共有・活用 を目的としています。
なぜ編集の引き継ぎに向かないのか
出力時にパラメトリックな関係性が単純化される場合がある
ソフトごとにIFCの解釈・実装が異なる
独自機能や独自パラメータは失われやすい
そのため、
「Revit → IFC → Archicadで編集を継続」
という使い方は、実務ではおすすめしません。場合によっては不便なく出来る場合もあるのでこの作業自体を否定はしません。

ただし、IFCの役割や“できること”は、仕様の進化だけでなく各ソフトの実装と現場の運用成熟度で年々変わっていきます。そう考えると、真のデータ交換が実現する日も近いのかもしれません。
IFCの正しい使い方
基本的な考え方
作る・直す:各ソフトのネイティブ形式
共有・確認・活用:IFC
この役割分担を意識するだけで、IFCに対する期待のズレは大きく減ります。
IFCで扱われる情報の中身
IFCには、単なる3D形状以上の情報が含まれています。
1. 形状情報(ジオメトリ)
壁・床・柱の位置
寸法や厚み
高さや形状
2. 属性情報(プロパティ)
材質
耐火性能
断熱性能
型番・仕様
3. 関係性情報(リレーション)
どの階に属するか
どの部屋を構成しているか
どの要素と接続しているか
情報を持ったモデルであることが大きな特徴です。
Youtubeでも解説されています。
IFCの特徴
国際標準規格
IFCは buildingSMART International によって策定され、ISO 16739 として国際標準化されています。
ソフトウェア非依存・オープン規格
特定ベンダーに依存しない
長期保存・長期利用が可能
将来のツール変更にも対応しやすい
IFCのバージョン
代表的なバージョンは以下の通りです。
IFC2x3 TC1:現在も広く使われている(建築中心)
IFC4 ADD2 TC1:形状表現・解析機能が強化
IFC4.3 ADD2:道路・鉄道などインフラ分野に本格対応
2025年時点では、どのバージョンが“無難”かは相手の使っているBIMソフトの対応状況次第です。
各バージョンのドキュメントはこちらから
次世代のIFC
実は、IFCはすでに次の世代である 「IFC5」 の開発が進められています。
IFC5では、従来のスキーマ構造を見直し、よりモジュール化・軽量化・拡張性の高いデータ構造を目指した大きな変更が検討されています。
ただし、現時点(2025年時点)では実務で使える段階ではなく、対応ソフトもほぼありません。
そのため、当面の実務では「IFC4/IFC4.3を正しく使えること」が最重要 です。
IFC5についてはこちらから
IFCは万能ではない
変換時に情報が欠落することがある
見え方がソフトごとに異なる場合がある
「IFCにすれば何でも解決」は幻想
IFCは便利な道具ですが、過度な期待をしないことが、うまく付き合うコツです。
IFCが活躍する主なシーン
設計段階:意匠・構造・設備間の整合確認
施工段階:干渉チェック、施工計画
維持管理:FM、設備台帳、点検情報管理
発注者納品:IFC指定案件への対応

まとめ
IFCはBIMソフト間の共通フォーマット
主目的は「共有・確認・活用」
編集作業の引き継ぎには向かない
正しく使えば、BIM協業の強力な武器になる
おわりに
「IFCって何?」と聞かれたとき、以前よりも少し自信を持って答えられるようになっていれば嬉しいです。
BIMに関わる以上、IFCの理解は避けて通れません。だからこそ、早い段階で正しい前提を持つことが重要です。
この記事が、あなたのIFCキャッチアップの助けになれば幸いです。今後もBIM・IFC関連の記事を書いていく予定なので、よければフォロー・いいねをお願いします。

