IFCはなぜ難しく見えるのか ― 構造を理解しようとしたときの壁
こんにちは!ONESTRUCTION株式会社 プロダクト本部 プロダクトマネジメントユニットの宮本鉄平です。
BIMに関わっていると、こんな声を聞くことがあります。
「IFC、難しい」
「仕様書を読んでも頭に入ってこない」
「理解しようとするほど疲れる」
この記事では、「IFCが難しい」という感覚の正体を、IFCの構造的な特性という観点から整理します。
参照:buildingSMART International — IFC Overview https://technical.buildingsmart.org/standards/ifc/
IFCは人間が直感的に理解するために作られていない
最初に前提を確認しておきます。 IFCは、機械が正確に長期間データを扱うために設計された仕様です。
読みやすさや直感性は、IFCの設計上の優先事項ではありません。 この前提を知らないまま理解しようとすると、分からない理由が分からないまま負荷だけが増えます。
難しく感じる原因① 全体像がつかみにくい
IFCの仕様には膨大な数のエンティティが存在します。 どこから理解すればよいかの入口が明確でないため、仕様書を開いた瞬間に全体量に圧倒されます。
IFC4.3では約900個以上のエンティティが定義されており、すべてを把握しようとすること自体が現実的ではありません。

難しく感じる原因② 抽象的な概念が多い
IFCでは、IfcWall・IfcBuildingElement・IfcProductといった抽象的な概念が階層を作っています。 人間は一般に具体的なもの・視覚的なものから物事を把握する傾向があります。
「これは壁です」より「これはIfcBuildingElementの一種です」という説明は、一段階多くの処理を必要とします。 抽象レイヤーと具体レイヤーが混在しているため、どの粒度で理解すればよいかがわかりにくいです。
難しく感じる原因③ 要素間の関係がリレーションシップとして分離されている
IFCでは、要素同士の関係を直接つなぐのではなく、リレーションシップという別のエンティティを介して表現します。
たとえば「壁がどの階に属しているか」は、壁のエンティティを見てもわかりません。 IfcRelContainedInSpatialStructureというリレーションシップを介して初めて関係がわかります。
この構造は、データの柔軟性と整合性を保つための設計ですが、「AとBがどうつながっているか」を把握するために複数の場所を参照する必要があり、構造の理解を難しくしています。
IFCとの付き合い方
全体ではなく、必要な範囲から理解する
IFCの仕様全体を把握しようとする必要はありません。 自分の業務に関係するエンティティやリレーションシップを、必要に応じてbuildingSMARTの公式ドキュメントで確認する使い方で十分です。
ビューアやツールで構造を視覚的に確認する
IFCの構造は、ビューアやツールを通じて視覚的に確認することで、仕様書を読むより把握しやすくなります。 たとえばSolibri AnywhereやBIMvisionでモデルを開き、要素の属性や関係を確認することが、構造理解の出発点になります。
難しく感じる理由を把握しておく
難しく感じるのはIFCの設計上の特性であり、慣れや学習で完全に解消されるものではありません。 その前提を持っておくことで、IFCへの向き合い方が変わります。
まとめ
IFCは機械がデータを正確に扱うために設計されており、人間が直感的に理解しやすい構造ではない
全体量の多さ、抽象度の高さ、リレーションシップによる関係の分離が、構造理解を難しくしている
全体を把握しようとせず、必要な範囲をドキュメントやツールで確認する使い方が現実的
難しく感じる原因を把握しておくことが、IFCとの付き合い方を考えるうえで役立つ
