あまいあまいパンケーキ【掌編+詩】
【掌編】あなたが好きなもの
駅前で、あなたに行き先を聞かれた。
わたしは「この前のカフェに行きたいな」と言う。
窓際の席があって、あなたの好きなパンケーキを出すお店。
あなたは少し笑って、歩き出した。
今日は、あなたの好きな白い服を着て、髪を結んで、香水はやめてきた。
そしてこれから、あなたの好きなカフェに行くの。
カフェに入ると、窓際の席が空いていた。
「ここでいい?」
「うん。ここがいい」
奥のソファ席も少し気になったけれど、ここがいい。
メニューを開くと、あなたはパンケーキの写真を指さした。
「これ、好きだったよね」
焼きたてのパンケーキに、バターがのっている。
メープルシロップと、ホイップクリーム。
ブルーベリーも添えてある。
「うん。好き」
あなたは笑った。
運ばれてきたパンケーキは、バターがゆっくり溶けて、クリームが少し傾いていた。
ひと口食べると、甘さが舌に残った。
「甘すぎない?」
わたしは、すぐにうなずいた。
「甘いの、好きだよ」
白い服。
結んだ髪。
窓際の席。
甘いパンケーキ。
「あなたが好きなもの、何でも好き」
そう言うと、あなたは少し笑った。
さっきとは違う笑い方だった。
【詩】あまいあまいパンケーキ
焼きたてふわふわパンケーキ
バターをのせて
もっとしっとり
メープルシロップをかけて
もっとあまく
ホイップクリームをのせて
もっとふんわり
チョコレートシロップをかけて
もっともっとあまく
バニラアイスものせて
ひんやり感も足しましょう
ブルーベリーにラズベリー
甘酸っぱさも必要ね
まだまだ足りない
もっとあまく
もっともっとあまく
あなたが満足するまでどこまでも
あまいあまいパンケーキ
