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『ノ゚シスは愛を知らない』 第13ç«  芳枬の先に #74 郜䌚の氎蟺で

【前回たでのあらすじ】
朝倉ナキは、蓮芋怜からのデヌトの誘いが嬉しかった半面、耇雑な思いを抱いおいた。過去に恋人を亡くしたこずがトラりマになっおおり、たた奜きになった男性を倱うこずになった時のこずを考えるず、恋に身を任せるこずに臆病になっおしたう自分がいた。



蓮芋怜は埅ち合わせの時間より、分ほど早く着いた。

六本朚のミッドタりンは麻垃十番から近いので、遅刻のしようがない。
䜕より、今日ばかりは自宅を遅く出る理由がなかった。

私服で女性ず䌚うのが久し振りなので、䜕を着るか少し迷った。

無難な黒い半袖シャツず、サンドベヌゞュのパンツを合わせた。
足元は玠足に黒いレザヌのサンダル。

キャサリンず付き合っおいた頃、䌌合うず蚀われた服装だ。

六本朚亀差点を過ぎ、ミッドタりンのキャノピヌ・スク゚アから埅ち合わせに指定したガヌデンテラスぞ向かう。

平日午埌の䞭途半端な時間のせいか、フリヌスペヌスは空垭がある。
目立ちやすい堎所のテヌブル垭に座るず、怜は腕時蚈に目を萜ずした。

倏䌑みに入った孊生らしい若者や、子どもを連れた䞻婊の姿が目立぀。

自分がその䞭にいるこずが、少し可笑しい。

今日は仕事ではない。
朝倉ナキに䌚うためだけに、ここぞ来た。

その事実を意識するず、萜ち着かないような、それでいお満たされるような、䞍思議な感芚があった。


やがお、゚ントランスの方からナキが歩いおきた。

淡い色のトップスに、颚を含むようなロング䞈のスカヌト。
片手には小さな籠のバッグ。

そしお、足元には華奢なデザむンのサンダル。

怜の胞の奥が、わずかに隒いだ。

歩くたび、ゆるく波打った毛先が肩のあたりで揺れる。
自分の郚屋で、非垞灯の薄明かりの䞭にいた圌女ずは違っお芋えた。

  可愛い。

あたりにも単玔な蚀葉が浮かんで、怜は自分で少し驚く。

ナキもこちらに気づいた。
笑顔を浮かべお小さく手を䞊げる。

怜が立ち䞊がるず、圌女は䞀瞬立ち止たった。

自分のシャツのあたりから芖線が䞋がり、足元を芋おいる。

「すみたせん。埅ちたした」

「いえ。僕も、いた来たずころです」

「蓮芋さんがバッグ持っおるのっお珍しいですね。仕事の時は手ぶらなのに」

怜が肩に掛けおいるキャンバス地のトヌトバッグに、ナキは泚目しおいる。

「今日は少し持ち物があったので」

「氎に濡れるむベント甚   ただ䜕をするか、教えおくれないんですね」

「もうすぐ分かりたす。倖ぞ出たしょう」


二人でガヌデン偎の出口から倖ぞ出る。
倕方の日差しは少しは和らいでいるが、空気は十分に暑かった。

道路を枡っお向かい偎にある公園を歩き始めるず、ナキが蚀った。

「ここっお公園になっおたんですね  知らなかった」

「ミッドタりンには、あたり来たせんか」

「仕事で倧通り偎にあるスタバに来たこずがあるぐらいかな」

「僕も公園は久し振りです。隣のホテルには仕事で䜕床か行きたしたが」

ナキは興味深そうに、呚囲を眺めおいる。

「芝生にテヌブル垭があるけど、カフェなのかな」

「倜はお酒を飲めるラりンゞになるみたいですね」

「ぞぇ、お排萜  私、屋倖でお酒を飲んだりするの奜きです」

目的の堎所が芋えたずき、ナキが足を止めた。

それは公園の䞭で、人口的に造られた小川。

倏の期間だけむベントずしお簡易的な屋根が蚭けられおいる。
足を浞しお涌を取るためのスポットだ。

浅い氎の䞭に、䜕人もの人が裞足を入れお楜しんでいる。

デヌトスポットずしお人気があり、キャサリンずそばを通るたびに眺めおいた。


ナキが怜を振り返った。

「これですか」

「はい」

「だからサンダルだったんだ」

ようやく腑に萜ちたらしい。

「足元が濡れるず蚀ったでしょう」

「もっず䜕か、倧掛かりなものを想像しおたした」

「期埅倖れですか」

怜が聞くず、ナキは銖を暪に振った。

「ううん。こういうの奜きです」

その答えに、怜は密かに安堵した。
こういう他愛ない遊びを経隓しおみたかったのだ。

二人は空いおいる堎所を探しお腰を䞋ろした。

ナキがさっそく、サンダルを脱ぐ。
スカヌトの裟を少し持ち䞊げながら、慎重に足を氎ぞ入れた。

「けっこう冷たい」

肩をすくめお笑う。

「蓮芋さんも早く」

促されお、怜もレザヌのサンダルを脱いだ。

氎に足を入れた瞬間、確かに冷たい。

「  思ったより冷たいですね」

「でしょ」

ナキが嬉しそうに笑った。



倏の気枩で火照っおいた身䜓から、ゆっくりず熱が逃げおいく。

倧郜䌚の真ん䞭だった。
すぐそばには超高局のホテルがあり、少し離れれば車が走っおいる。

それなのに、足元には氎があっお、街路暹の葉が颚に揺れおいる。

ナキは氎面を眺めながら、時々぀た先を動かした。

その仕草がたた可愛いず、怜は密かに思った。

「なんか、いいですねぇ」

「気に入りたした」

「うん。無料で楜しめるのもいい」

二人で顔を芋合わせお笑うず、ナキが䜕かを思い出したように蚀った。

「こういうの芋おるず、流しそうめん、思い出すな」

「流しそうめん」

「子どもの頃、実家でやっおたんです」

ナキは氎面を芋たたた、少し懐かしそうに埮笑んだ。

「父が竹をどこかでもらっおきお、こう  庭に長いのを組んで」

身振り手振りで䞀生懞呜、説明しようずする。

「それは本栌的ですね」

「私の実家ね、長野なんですよ。田舎だから、庭だけは広い家で」

「いいですね  長野のどちらですか」

「信濃远分っお、分かりたす 叀い宿堎町なんですけどね」

「ああ、軜井沢から近い  」

「そう。鉄道だず、䞭軜井沢の次の駅ですね」

ナキは問わず語りに、子どもの頃の話を始めた。


「祖母ず暮らしおいお、流しそうめんも、おばあちゃんの提案だったかな」

「お祖母様も同居されおたんですね」

「もう亡くなりたしたけどね  私の父が医者で、曟祖父の代から長男が医者をやっおいる家なんです」

「そうなんですか  ご実家でクリニックを」

「ええ。医者を継ぐ者が必芁な家なんですが、母は私しか産めなかったから  」

ナキは俯くず、そこで少し黙り蟌んだ。

「䞭孊生の頃に亡くなったんです。母は病気で  もずもず䜓の䞈倫な人ではなかったけど」

怜は隣に座る、ナキの暪顔を芋぀めた。

そんなに早く母芪を亡くしおいた女性ずは思わなかった。

「母がいた頃は、普通の家だったんですよ」

怜は䜕も蚀わなかった。
圌女が続きを話すのを埅った。

「父は仕事が忙しかったけど、その頃は祖母もいたし。倏になれば流しそうめんしたり、梅を挬けたり」

梅  。

怜はその蚀葉に反応しかけたが、黙っおいた。

「母が亡くなっおから、ちょっずず぀家の䞭が倉わりたした」

ナキはたた俯くず、足元の氎を芋぀めた。


「私ね、䞀人っ子だったから、本圓は医者を継がなくちゃいけなかったんです」

そう蚀うず、圌女は薄く埮笑んだ。

「勉匷ができなかった蚳じゃないんですよ。囜語ずか英語はわりず埗意だったし」

怜は頷きながら、静かに聞いおいた。

ナキが足を動かすず、氎面に波王が広がる。

「これでも、成瞟は䞊䜍の方だったんですけどね  数孊が苊手で」

そこでナキは怜の顔を芋るず、笑いかけた。

「蓮芋さんは理系ずか埗意でしょう うちの父にタむプが䌌おるから」

「ええ、たぁ  海倖で育っおいるので、囜語はそれほど埗意ではなかったんですが」

「蓮芋さん、垰囜子女   だから、アメリカ人の圌女だったのか」

ナキは笑いながら、぀た先で氎をパシャパシャず動かした。

「倧孊たでアメリカで暮らしおたした。前に付き合っおいた人は、高校時代の同玚生だったんです」

思いがけず、キャサリンのこずを話すこずになった。

ナキは玍埗したように頷いおいる。

「なるほど。英語がペラペラっおこずね  私はヒダリングや話すのはサッパリです」

「日本に䜏んでいるず業務以倖、英語で話す機䌚はないですからね  仕方がないず思いたす」

怜もナキを真䌌お、぀た先を少し動かしおみた。

隣に座っおいる若いカップルも、パシャパシャず音を立おお楜しんでいる。

「蓮芋さんお、本圓に䜕でも出来る人なんですね  お料理以倖 キッチンのお鍋ずか、䜿った圢跡なかったし」

ナキは声を立おお笑った。

「あぁ、料理は出来たせんね。時間がないずいうか  これは蚀い蚳かな」

苊笑しながらナキを芋るず、笑いながら氎を手ですくっおいる。

「気持ちいいですね、この小川  街路暹もきれいだし、䜕時間でもいられそう」





登堎人物の玹介

蓮芋 怜 / はすみ れい
䞖界芏暡でAIを監芖する囜際機関、ORdの東京連絡局に所属する歳の゚リヌト連絡官。業務で関わるこずになった朝倉ナキに奜意を抱き、䞀連の事態が収たった埌で、六本朚のミッドタりンで䌚うデヌトに誘った。

朝倉 ナキ / あさくら ゆき
䞉軒茶屋のアパヌトで䞀人暮らしをする歳、フリヌランスのUXラむタヌAI䌚話デザむナヌ。仕事がらみで出䌚った蓮芋怜に心が傟いおおり、デヌトの誘いを受けるも、過去の恋愛で受けた傷が障害になっおいる。


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