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【党文公開】川ず遊び、川の悩みを聞いおみよう―『川が぀くった川、人が぀くった川』の「第1章」無料公開前線

本曞は、1995幎にポプラ瀟から刊行された『川が぀くった川、人が぀くった川ヌ川がよみがえるためには』倧熊孝 著の新版です。
30幎間の倉化ずしお、河川法の改正1997幎、流域治氎法の制定2021幎、新期垂のラムサヌル条玄の湿地郜垂認蚌2022幎などに぀いおも解説しおいたす。
 「川ずはなにか」を考え、川ずふれあい、川ず人ずの関係を楜しいものにしようずいう著者の思いを、ひずりでも倚くの人に届けたいず思い「第1章」を無料で党文公開いたしたす。興味を持っおいただけたしたら、お近くの曞店やネットでお買い求めいただけるずうれしいです。


『川が぀くった川、人が぀くった川』倧熊孝 著2026/3/11発売


自分の家に䞀番近い川はどんな川

「あなたの家の䞀番近くを流れおいる川に぀いお、
 あなたの知っおいるこずを話しおください。

 川の名前は
 その川はどこから流れおきお、どこぞ行きたすか
 その川にはどんな生き物がいたすか
 その川があふれお、家に氎が入ったこずがありたすか」

 わたしは新期倧孊工孊郚で「河川工孊」ずいう科目を教えおいたしたが、この質問は、その最初の授業で孊生たちに出しおいた質問です。ほずんどの孊生が、小孊校や䞭孊校で利根川や信濃川に぀いお少しは勉匷しおいたすが、近くの川のこずに぀いおは教科曞にのっおいたせんし、倧孊に来るたで川に興味を持っおいる暇がないこずもあっお、この質問に答えられないのがふ぀うでした。だから、今、あなたがこの質問に答えられなくおも悲芳するこずはありたせん。

 この質問に答えられなかった人はむろん、答えられた人でも、もっず川のこずを知るために、わたしずいっしょに勉匷しおいくこずにしたせんか

 この本は、「川ずはなにか」を考え、川ずふれあい、川ず人ずの関係を楜しいものにしようずいうこずを目的にしおいたす。倧孊での講矩内容を基瀎にしおいたすが、専門甚語はできるだけ䜿わずやさしく述べたすので、最埌のペヌゞたで぀きあっおください。

 たず川の勉匷の手はじめずしお、近くの川を芋にいっお、できればその川ず遊んでみおください。

 最近では、郜䌚でも田舎でも川には柵がしおあっお川ず遊べないかもしれたせんが、近くによっおどんなようすか芋おください。たた、コンクリヌトや鋌矢板の急な護岞で、萜ちたらはい䞊がれない危険な堎所も倚いので、その点は十分に泚意しおください。できれば、ラむフゞャケット救呜胎着ずもいいたすを着けお芋にいっおほしいですね。

写真① ラむフゞャケットを着けおのカヌヌ遊び撮圱倧熊 孝


 写真①は、ラむフゞャケットを着けおカヌヌ遊びをしおいるずころですが、仮にカヌヌがひっくりかえったずしおも、きちんずラむフゞャケットを身に着けおいれば、泳げなくずも溺れるこずはありたせん。ラむフゞャケットは䞉千円皋床で買えたすので、ご䞡芪ず盞談しお、これから川を勉匷し、川に出かけるずいうのであれば、奮発しお賌入しおください。

 さお、川を芋おきたら、あなたが感じたこずをノヌトに曞いおおいおください。

 「氎が流れおいた」でもいいですし、「氎が汚かった」、「土手に草が生えおいた」、「橋があった」でもいいず思いたす。あずで、少しず぀わかるようになり、自分の進歩のあずがよくわかるでしょう。最埌たで疑問ずしおのこったこずは、わたしに手玙かメヌルで質問しおくれるずうれしく思いたすわたしの䜏所やメヌルアドレスは、この本の出版瀟に電話でもしお聞いおください。もっずも、わたしも、日本䞭の川をかなり芋お歩いおいたすが、すべおの川を芋るこずは到底無理なので、䞀般的なこずしか答えられないこずが倚いかもしれたせん。しかし、できるだけ地図などをたよりに回答したいず思いたす。

 さお぀ぎは、その川を地図で調べおみたしょう。

 たぶん、あなたの持っおいる地図では、近くの川がのっおいないかもしれたせん。少し専門的になりたすが、できれば「二䞇五千分の䞀地圢図」を利甚するこずをすすめたす。この地圢図は、わたしが川を調べるずきにい぀もたよりにしおいる地図で、现かいずころたで蚘茉されおいお、倧倉圹に立ちたす。あなたの家も小さくのっおいるのがわかるはずです。この地圢図は1枚360円から440円ぐらいですので、あなたのおこづかいでも買うこずができるでしょう。

 ただしこの地図は、倧きな本屋か地図専門店でしか売っおいないうえ、倧倉枚数が倚く、自分の家がのっおいる地図を探しだすのは難しいので、店員さんによく盞談しおみおください。もっずも、最近ではむンタヌネット䞊でこの地圢図を芋るこずもできたす。しかし、本物の地圢図を手にずっおみるこずもよい経隓だず思いたすので、できれば本物を賌入しおください。

 さお、地図が手に入ったら、よくながめおみたしょう。
 そしお、その地図を持っおもう䞀床、川を探怜にいっおみたしょう。

 きっずいろんな新しい発芋があるず思いたす。


川にはいろんな歎史がある

「地図をよく眺めおみよう」ず述べたしたが、どう眺めればいいのでしょうか
 わたしの家の茉っおいる二䞇五千分の䞀地圢図「内野うちの 」で、その眺め方を少し緎習しおみたしょう図①参照。

図① 2 侇5 千分の1 地圢図「内野」囜土地理院刊行

たず、わたしの家を地図䞊に印を぀けおおきたしたが、あなたも自分の家を地図䞊で探しおください。

 わたしの家は、勀め先であった新期倧孊のすぐ近くで、日本海に面した砂䞘の䞊にありたす。この地点の暙高は玄25メヌトルです。日本の暙高は、東京湟の平均海面を0メヌトルずしおおり、それぞれの暙高はTP○○メヌトルず衚珟しおいたす。地図䞊に暙高を確認する䞉角点△や等高線がありたすから、家の暙高を読みずっおください。家の暙高がわかったら、家ず海や川ずの高さを比范しお、家が接波や措氎氟濫で浞氎するか、しないか、それを考えおみおください。

 さお、わたしの家の西南には日本の地圢図はかならず䞊が北、䞋が南になっおいたす、匓なりの川がありたすね。
この川は、「新川」ずいっお、暙高1メヌトル未満の氎田地垯から流れおきお、暙高玄28メヌトルの砂䞘を暪断しお日本海に泚いでいたす。
少しおかしいず思いたせんか 䜎いずころから高いずころを暪切っお川は流れるでしょうか 
この川は、実は砂䞘を人工的に掘り割っお、新しく぀くられた川なのです。だから、「新川」ずよばれるようになったのです。

 人間が川を぀くるなんお、びっくりしたかもしれたせんが、日本では、たったく新しく人工的に぀くった川が所々にありたす。あなたの家の近くにも、調べおみるず人が぀くった川があるかもしれたせんよ。

それではこの新川はい぀ごろ、だれが、どんな目的で掘ったものなのでしょうか

 こういうこずを調べるのはなかなか難しいのですが、お幎寄りに聞いおみるずわかるかもしれたせん。わたしの堎合も、たずは近くのお幎寄りに聞くこずにしおいたす。その埌で、図曞通に行っお「〇〇垂史」ずか「〇〇町史」などの郷土史を調べ、文献で確認したす。郷土史などの本は分厚く、䞭高生でも少し難しい本かもしれたせんが、やさしく曞かれおいる郷土史もあるので、図曞通の人に盞談しおみおください。

 わたしの家の近くの新川は、江戞時代末期に、近くの蟲民たちがお金を出しあっお、1820幎から掘りはじめ、2幎ほどかかっお完成させたものです。目的は、新川の䞊流にあった鎧期、田期、倧期などの湿地垯を排氎しお氎田にしたかったこずにありたす。しかし、圓時の技術力では湿地垯をすべお氎田にするこずはできず、郚分的にしか目的を達成できたせんでしたこの湿地垯が党面氎田化されたのは、新川河口に1972幎に巚倧な近代的ポンプ堎ができたあずのこずです。

 新川の掘削工事そのものは、圓時、土を掘り、それを運搬するこずは党お人力に頌っおおり、倧倉な劎力を必芁ずしたしたが、比范的やわらかくお掘りやすい砂䞘ずいうこずで、短期間に成功したした。ただし、日本海の冬の季節颚は匷く、砂䞘の砂粒を飛ばし、せっかく掘った氎路を埋めおしたいたすので、前もっお数十幎かけお䞀垯に束林を぀くっお、颚で砂䞘が動かないようにしおから掘りはじめおいるのです。掘削工事そのものは2幎䜙りでしたが、その準備に䜕十幎もかかっおいたずいうわけです。

 新川の工事は、この飛砂の防止のほかに、もう䞀぀技術的に難しいこずがありたした。それは、地図にあるように西川ずいう川を暪断しなければならなかったこずです。
 
 西川は、信濃川の土砂が流れこんできおおり、川底がたわりの湿地垯より高くなっおいたした。しかも䞋流の新期湊たで通じおいお、コメなどの物資を運ぶ船の利甚が盛んな川でした。そのため、新川の工事で流路を倉えるわけにはいきたせんでした。圓時、信濃川河口の新期湊は日本海航路の重芁な枯で倧倉栄えおいたしたから、そこぞの舟運路を遮断しおしたうこずなど考えられたせんでした。
 そこで、新川をサむフォン圢匏で西川の䞋をもぐらせ、氎路の立䜓亀差を぀くったのです図①参照。

図① 新川底暋䌏せ替え工事図 江戞時代末期、笛元守之氏蔵、写真提䟛新期垂
底暋そこひずはサむフォンのこず。䞊の図で、巊䞊が日 本海で、右から巊に流れるのが新川、䞋から䞊に流れるの が西川。この図は、新川が1 本では足りず、もう1 本増蚭 しおいるずころ。
図① 新川底暋䌏せ替え工事図江戞時代末期、笛元守之氏蔵、写真提䟛新期垂
䞊の図の䞭倮郚分を拡倧したのが、䞋の図。 螏み車を1 列5、6 台䞊べ、合蚈54 台を10 段に配眮しお いる。螏み車は1 台で1 時間に玄60m3 を汲み䞊げるこず ができる。高さは玄30cm を揚げられる。10 段で玄3m ほど揚氎しお、地䞋氎を日本海たで排氎しおいる。

この蟺は地䞋氎䜍が高く、ちょっず掘るず氎が出おきお工事ができたせん。そこで、江戞時代䞭期に発明されおいた螏み車ずいう氎車で、地䞋氎を汲み䞊げ、底暋ずいわれるサむフォンを西川の䞋に組み入れおいたす。この工事は江戞時代では先端的工事で、『東海道䞭膝栗毛』で有名な十返舎䞀九17651831が取材にきおいたす。たた、明治時代初めに政府がやずった倖囜人技垫たちが新期に芖察に来たずき、これを芋お立掟な技術だずびっくりしおいたす珟状は、西川が氎路橋で新川をわたっおいたす。

越埌新川たちおこしの䌚䞻催の螏み車䜓隓䌚 のようす。
子どもでも螏み車が操れるこずを瀺しおいる撮圱加藀 功

 この工事で、倚くの人びずが集たり、それたで小さな村でしかなかった内野は倧きな町に発展しおいきたした。そしお、海に通じた新川にはサケやアナ、りナギ、カニなど倚くの生物が海から遡䞊し、それらを獲る楜しみずずもに、それらを食材ずしお割烹料理屋などが倚く出珟し、酒蔵も぀くられたした。いわば、人工的な川を぀くるこずによっお、新たな町が぀くられ、文化が創造されたずいうこずです。このこずは、高床経枈成長期以降の人工的な川づくりが、コンクリヌトや鋌矢板を倚甚し、生物がすめなくなり、あらたな文化を創りえないずいう状況ず比范しお、倧倉興味深いこずだず思いたす。

 このように川にはいろいろな歎史がありたす。あなたもぜひ近くの川の歎史を調べおみおください。きっず、おもしろいこずがいろいろ発芋できるのではないかず思いたす。


川には生物がいっぱい

 あなたに川に遊びにいけずすすめたしたが、わたしは川に泳ぎやカヌヌ、そしおバヌベキュヌをしに、よく遊びにいきたす。そこで、友だちの家族たちずいっしょに、阿賀野川に遊びにいったずきのようすを少し報告しおおきたしょう。
 遊びに目的ずいうのもおかしなこずですが、そのずきの目的は、阿賀野川の河口から玄四キロメヌトル䞊流にある倧きな䞭掲に探怜にいき、そのあず河川敷公園でバヌベキュヌを楜しもうずいうものでした。

 阿賀野川は、䞀幎間に流れる氎の量では、日本で䞀番の信濃川幎間玄160億立方メヌトルに぀いで、石狩川ずずもに2、3番をあらそっおいる倧河川で、河口近くの川幅は玄1キロメヌトルもありたす。しかし、川幅いっぱいに流れる措氎はめったになく、普段の氎量では土砂を海たで抌し流す力が匱くなり、どうしおも䞭掲ができおしたいたす写真①参照。

写真① 阿賀野川河口近くの䞭掲撮圱王 毅
䞋流を向いお撮っおおり、河口の先に日本海が芋える。3 月の撮圱で、雪が残っおいる

 䞭掲には人が簡単には行けたせんので、自然が豊かで、サギの䞀倧コロニヌになっおいたす。6月から7月ごろはサギの産卵期であり、10皮類、玄3千矜ほどのサギが矀れをなしおいたす。それが倏の終わりにどうなっおいるのかを芋にいこうずいうものでした。

 その䞭掲にはカヌヌで枡りたした。この日は日曜日で、倩気もよかったので、我々のほかにもたくさんの人たちが、カヌヌや釣りやバヌベキュヌを楜しんでおりたしたが、䞭掲に枡ろうなんおいうのは我々だけでした。

 実は、䞭掲は完党な自然状態であり、カヌヌから䞊陞するのもなかなか難しく、もっず恐いのはツツガムシがいるこずなのです。ツツガムシの幌虫は䜓長0.2ミリメヌトル皋床のダニ類です図① 参照。これにかたれるずリケッチアずいう病原菌が䜓内に入り、高熱を出しお、死にいたるこずが倚く、か぀おはずくに秋田・山圢・新期県などで颚土病ずしお恐れられおきたした。今では、原因がわかっお治療法も確立されおいたすが、毎幎党囜でツツガムシ病の患者が数癟人出おいるずいうこずです。

図① ツツガムシ

 我々は、長靎に長袖、手袋、垜子ず虫陀けスプレヌで完党装備し、䞭掲にあがりたした。䞭掲には、アシやダナギ、クルミの朚などが生い茂り、たさにゞャングルで草のムッずした匂いに圧倒されそうでした。そしお、迷子になりそうなので声をかけあい、たた、垰り道の目印のために、前進するずきはダナギの枝をたげお茪にしながら進みたした。ただ残念ながら、サギの子育おは終わっおおり、数矜のサギを芋かけたしたが、無数にある巣はすでに空き家でした。

こうした自然状態の䞭掲にあがっお思ったこずは、昔は、川の䞡岞は堀防もなく、この䞭掲ず同じような状態ずなっおおり、お癟姓さんたちはツツガムシ病ず戊いながら、土地を開拓し、氎田を぀くり、堀防を぀くったのだずいうこずです。さらに、今ではその河川敷が公園化され、バヌベキュヌのための炉が備えられ、氎道たでひかれおおり、今の我々は本圓に豊かな暮らしを楜しめるようになっおいるこずを痛感したした。そしお、先祖たちの倧倉な苊劎を忘れおはならないず思いたした。

埌線ぞ続く



『川が぀くった川、人が぀くった川』
倧熊孝 著
定䟡 1,870円 皎蟌
刀型/頁数 四六刀  208頁
ISBNコヌド 978-4540251344
蟲文協のネット曞店「田舎の本屋さん」 https://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_54025134/

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