困難に立ち向かうリーダーの心得5選|東郷平八郎に学ぶ|夏期講習・特別授業お知らせ
答えがない問題が迫ったとき、
前例のない困難に向き合うとき、
リーダーとして、
あなたはどう振舞えますか?
『東洋のネルソン』、
連合艦隊司令長官、東郷平八郎。
大国ロシア艦隊に挑み、列強・国内から英雄と謳われた海将から、私たちが学ぶべきリーダーシップを紐解いていきます。
執筆者より:今年も日進塾夏期講習での特別授業開催と相成りました。プレイバックを兼ねまして、去年の授業テーマ『東郷平八郎』より抜粋した記事となります。
最後まで考えよ
バルチック艦隊を迎え撃つにあたり、
東郷艦隊司令部は直前まで情報収集・精査、想定コースの検討に余念がありませんでした。
結果的に予想コースは的中し、
有利な条件で艦隊戦に挑むことが出来ました。
ですが、東郷自身、中々現れないバルチック艦隊に対し、「もしも指定日までに艦隊を発見できなかった場合、待ち伏せ海域を変更せよ」と命令するほど、コースの予想を最後まで迷っていたようでした。
神がかりに見える的中劇、
その裏には、「最善と考えられる想定」、「予想が外れたときの予備策」、「判断軸となる指標」と考え尽くされた論理があったのです。
「最後まで考えよ」
あらゆる事態を想定し、考えを尽くす。
自らの予想は(なぜか)当たると信じ、いつの間にか思考停止していませんでしょうか?
責任をもって任せよ
東郷のリーダーシップは、
いわゆる「薩摩型」でした。
(上司の山本権兵衛、西郷従道、果ては西郷隆盛然り)
部下に最大限の権限を与えて、任せる。
やり方も判断も、大局を外さない限り、部下の自由にさせました。
トップである自分は、
最重要な判断と結果の責任を取る役割でした。
この体制が功を奏し、
秋山真之を始めとする有能な(かつ癖のある)参謀たちは、より実力を発揮できたと言います。
「責任をもって任せよ」
仲間を活躍させ、責任を取る。
部下を厳しく縛った上に、
責任も当人に取らせる(でも功績は頂く)ようでは、誰もあなたについていきません。
己で決断せよ
リーダーとは、時に孤独です。
それまでは大勢で考えていた事も、
最後の決断を下すのは、トップである自分。
決断の瞬間、リーダーは独りになります。
どんなに難しい選択も、
自分自身で、静かに決めなければいけません。
まして艦隊への命令のような、
大勢の運命を左右する決断ならば、
その苦しみと覚悟は想像を絶します。
東郷決死の「敵前回頭」令に、
艦隊は一糸乱れぬ動きで応えました。
リーダーの覚悟が詰まった決断だからこそ、
部下もその身を預けられるというものです。
「己で決断せよ」
やり遂げる覚悟をもって、
自分自身で決断する。
自分で判断すべきことを、失敗した途端、「あいつが言ったから」などと擦り付けてはいないでしょうか?
平素より努力せよ
日本海海戦の勝因の一つは、
砲の命中精度だったと言われています。
東郷艦隊はバルチック艦隊の到着に至るまで、”実戦以上”の猛訓練を課したとされます。結果、砲撃の練度が最大限に磨かれた状態で、決戦に挑むことができました。
また、名訓示として知られる連合艦隊解散の辞(真之起草とされる)は、平時からの戒めとして以下の言葉で結ばれています。
「勝って兜の緒を締めよ」
「平素より努力せよ」
結果がどうあれ、普段の努力を怠らない。
勝って兜の緒を締めよ。
「勝ったから(上手くいったから)明日から頑張らなくていい、次も大丈夫」という態度では、明日も次もありません。
決して動じるな
日本海海戦は空前絶後ともいえる、東郷艦隊の圧勝で幕を閉じました。
戦闘をひとしきり終えた後、ようやく東郷は天蓋から艦橋内へ降りていきました。
天蓋の床には、くっきりと東郷の足跡が残っていたと言われています。
敵前回頭中の旗艦・三笠は敵の集中砲火にさらされましたが、砲弾地獄の中でも東郷は動じず、将として立ち続けました。
また、『坂の上の雲』のエピソードでもありますが、旅順閉塞戦の最中、味方の艦が機雷や事故で8隻(戦艦2隻を含む)を瞬く間に失った悲運が起こりました。
幹部たちが絶望し、泣きじゃくる中、
東郷だけは顔色一つかえず
「皆、ご苦労だった」と声をかけたと言います。
ここまでくると、リーダーシップというより、
人の理解を超えた将器としか言いようがありません。
「決して動じるな」
何があっても、うろたえない。
↓『坂の上の雲』旅順閉塞船の模様は、下記記事でも取り上げています。
トップの焦りは、すぐに組織中へ伝染します。
いざ困難が降りかかったとき、「どうするんだ!!?」などと怒鳴る、叱責する、モノに当たる、不機嫌になる、騒ぐ、、そんなリーダーばかりでは問題解決は遠く、メンバーの反感だけが溜まる一方です。
まとめ
若いころはおしゃべりだったという東郷平八郎ですが、幾多の戦役、艦長としての経験、苦渋の決断を重ねた結果、恐るべき将器を身につけました。
そして、実績を自分からアピールすることもなく、あくまでいち軍人として従順な生き方を貫きました。もしも山本権兵衛に抜てきされなかったら、閑職のままキャリアを閉じていたことでしょう。
昨今は自己顕示が重要視される世の中ですが、
・平素より考えて努力する姿勢
・任せて責任を取る器
・腹を括って決断する覚悟
・黙して動じない胆力
という東郷平八郎の重厚なリーダーシップは、激動の現代でも変わらず求められています。
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おまけ|「薩摩型リーダー」は無能に見える?
連合艦隊司令長官になる前の東郷評は『昼行燈じいさん』でした。薩摩型リーダーは「殆どを部下に任せて責任を取る」スタイル。聞こえはいいかもしれませんが、裏を返せば「頼りない」「いてもいなくても一緒」、ともすれば「無能」というイメージになりがちです。
多くの場合、リーダー本人が「無能」扱いされる、上司から認められないという事態に耐えられず、無理して実績作り・自己アピールに走りがちです。
老子に『善く行くものは轍迹(てっせき)なし』という言葉があります。本当に良い仕事・実績というものは、形跡を残さないという意です。轍迹は轍(わだち)、キャリアとも言えます。
「リーダーがいてもいなくても一緒、でも仕事はトラブル無く回っている」という状態は、理想的な組織・リーダーの在り方なのかもしれません。
