世界で勝てるGX_章別サマリー第2弾_イントロ|GXを制するものは次世代を制す|西和田 浩平
こんにちは、アスエネCEOの西和田です。
2025年12月に出版した著書『世界で勝てるGX』の章別サマリーの第2弾🚀 書籍の中から選んだ章やインタビューを、読みやすく再編集したサマリーとしてお届けしていきます。
第一弾のサマリーのnoteはこちらから👇️
第2弾は、「イントロダクション」のサマリーとなります。
イントロダクション:GXを制するものは次世代を制す
1. なぜ日本の脱炭素は取り残されたのか?
DXで世界に後れを取った日本ですが、GXで勝つことは十分に可能です。ところが日本の脱炭素・GXの議論は、世界のスタンダードとかなり乖離してきました。
原因は大きく3つです。

1つ目は、国内偏重でグローバルを見ていないこと。
国内市場に規模があるため国内で経済を回すだけでも成立してしまい、世界の潮流から外れがちです。
2つ目は、政治や企業のトップの短期思考。
大企業の社長も任期が3年や5年という企業が大半で、10年、20年という視野で戦略を練るトップが少ない。しかし脱炭素やGXは2050年や2100年に地球環境がどうなるかという長期の話です。
米国で成功したスタートアップ創業者の平均年齢が45歳なのに対し、日本では経営者の高齢化も顕著で、短期思考・高齢者中心の社会は気候変動と相性が悪いのです。
3つ目は新興企業の影響力が弱いこと。
日本の規制は経済団体や中心となる上場企業の意向が気にされ、大胆な施策ができなかったのも事実です。
一方、米国や欧州ではGAFAMが経済成長に貢献しつつ脱炭素にも大量の資金を投資し、新興勢力の発言権が強くなる好循環が生まれています。
テスラ、リヴィアン、英国のOctopus Energyのように企業価値1兆〜300兆円級の気候変動メガスタートアップが多い中、日本でも我々のようなスタートアップが影響力を持ち、経済的に強くならなければ国や世界を動かせないと考えています。
2. GXリーグとGX-ETS、日本の脱炭素戦略が動き出す
ようやく動き始めた日本の取り組みが、「GXリーグ」と排出権取引制度の「GX-ETS」の2つ。GXリーグは2050年のカーボンニュートラル実現とGXによる社会変革を目指すプラットフォームで、2023年4月にスタート。
当初568社だった参加企業は2024年度に747社(トヨタ自動車、本田技研工業、スズキ、三井物産、三井住友ファイナンシャルグループなど)へ拡大し、2025年には年間10万トン以上のGHG(温室効果ガス)を排出する大企業に参加が義務付けられました。
当初はメリットが薄く参加者が伸び悩みましたが、政府が脱炭素関連に20兆円ほどの予算を付け、その活用要件をGXリーグ参加としたことで、参加は700社以上に増えました。
当初は罰則もありませんでしたが、2025年に目標未達企業への罰則が発表され、2026年4月からGX-ETSが本格稼働します。

未達の場合はクレジットの追加購入、不足時は市場価格より高いペナルティ価格(上限価格の1.1倍)での購入、そして「シェーミング」による社会的公表が科されます。
逆に多く削減した企業は「超過削減枠」を他社に販売でき、先行して頑張った企業が経済的に得をする仕組みです。GXリーグのような企業間プラットフォームは日本独特で、700社以上が参加する姿は海外のカーボンクレジット関係者から実は羨望の眼差しを向けられているほどです。
3. GX2040ビジョンで日本が動く
2025年2月18日、政府は中長期の国家戦略「GX2040ビジョン」を閣議決定しました。

参照:
概要 https://www.meti.go.jp/files/900015360.pdf
詳細 https://www.meti.go.jp/files/900015361.pdf
2022年のウクライナ侵攻や中東情勢、AI・DX・電化による電力需要の増加、経済安全保障の要請を受けたもので、「エネルギーの安定供給」「経済効率性」「環境適合」「安全性」の「S+3E」を同時に実現する内容です。
すでに2024年2月には世界で初めて国によるトランジション・ボンドを発行し、データセンター整備や再エネ・原子力・蓄電池など個別分野の導入目標も具体化しました。
中核となる「成長志向型カーボンプライシング構想」では、10年間で150兆円を超える官民GX投資を掲げ、20兆円規模のGX経済移行債を発行。
2028年度からの化石燃料賦課金、2033年度からの発電事業者への有償オークションと、段階的にカーボンプライシングを導入していきます。
4. クライメートテック=GXビジネスの主戦場
制度のベースはできましたが、政府からの声だけではGXは進みません。それを支えるテクノロジーの総称が「クライメートテック」です。
従来の「クリーンテック」が環境負荷を低減する技術を広く指すのに対し、クライメートテックはGHG排出削減や気候変動対策に直接関係する技術やサービスを指します。典型例が、アスエネが提供するCO2の「見える化」サービスです。
ハードウェア中心だった2000年代のクリーンテックは投資回収に時間がかかりバブルが崩壊しましたが、AI・デジタル化や再エネコスト低下により、2010年代後半以降のクライメートテックはソフトウェアを主役に収益性が見込めるようになりました。
ビル・ゲイツ氏のBreakthrough Energy Venturesのような特化型ファンドも増え、2022年のクライメートテック関連スタートアップへの投資額は世界全体で約750億ドルに達し、2000年代のクリーンテックブーム6年間の累計約250億ドルを大きく上回りました。詳細は第4章で紹介します。
5. 大義ではなく、資本主義としてのGX
多くの人は、気候変動対策を「次世代のため、地球のためを考えて、身を切って励むべきもの」と捉えがちです。
確かに大義や理念は大事ですが、それだけでは持続的にGXには取り組めません。
大切なのは、GXに積極的に関わる企業ほど多くの経済的インセンティブを得られる、資本主義にのっとったエコシステムの構築と拡大です。
私は以前から「脱炭素と資本主義を融合させる、〝脱炭素資本主義〟が大切だ」と言い続けています。理念を前面に出し過ぎると、実質が伴わずイメージが先行する「グリーンウォッシュ」につながる。
だからこそ脱炭素と資本主義を融合させ、その上で人類史上最も困難な気候変動の課題を解決することにこそ大義があると、私は考えています。
6. GXの第一歩は〝見える化〟、そして〝削減〟へ
端的に言えば、CO2をより多く削減した企業に多くの経済的インセンティブを与えることが必要です。
その柱が、排出権取引とカーボンクレジットとなり、きちんと削減した企業が利益を得て、削減できなかった企業が支払う、脱炭素と資本主義が融合した制度です。
その大前提が、CO2排出量をデータとして「見える化」できていること。
現状を把握していなければ、大きな原因に対策を打てず、中長期の計画も描けません。とはいえ、自社は分かっても、取引先などサプライチェーン全体を計算するのは困難というケースがほとんど。
アスエネの主な業務は、そうしたサプライチェーンを含めた企業や製品のCO2排出量の「見える化」や「削減」です。部品一つひとつから全社・サプライチェーン全体の排出量を算出・データ化し、削減や目標達成をサポートしています。
「見える化」と「削減」のエコシステムが全産業に定着すれば、企業は脱炭素でも収益を上げられ、世の中は自然とCO2削減の方向に進んでいく、と私は考えています。
続きは書籍と、次回のnoteで
ここまでが、プロローグ「"脱炭素資本主義"への変革」のサマリーです。
今後も、本書の中から選りすぐりの章やインタビューを順次公開していきます。ぜひフォローしてお待ちください。
「完全なFull Versionや続きを今すぐ読みたい」という方は、ぜひ書籍を手にとっていただけると嬉しいです。
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