見出し画像

介護施設で「最後は管理者」が多すぎる。管理者のところへ何度も戻ってくる仕事7選

介護施設の管理者の仕事は、多いです。

利用者さんのこと。
職員のこと。
家族対応。
事故対応。
シフト。
会議。
書類の確認。

ただ、日々の仕事を見ていると、それとは少し違う仕事も混ざっています。

たとえば、介護記録を見て、

「これ、何時の話?」

と職員に聞く。

事故報告を見て、

「原因、注意不足だけで終わっていい?」

ともう一度考えてもらう。

家族への連絡文を見て、

「これだと少し伝わりにくいな」

と自分で書き直す。

職員から、

「管理者さん、ちょっと相談いいですか?」

と呼ばれて手を止める。

一つひとつは、それほど大きな仕事ではありません。

数分で終わるものもあります。

だから忙しいと、

「もう自分でやった方が早い」

となりやすい。

でも、同じことが明日も起きます。

別の職員から、また似た記録が上がってくる。
別の事故で、また足りない情報を聞く。
新人が入れば、また同じ説明をする。

もしかすると管理者を忙しくしているのは、単純な仕事量だけではないのかもしれません。

職員が途中までやった仕事が、最後に何度も管理者のところへ戻ってきている。

今回は、そんな仕事を7つ挙げてみます。


1.「これ主観じゃない?」と介護記録を戻す

たとえば、こんな記録が上がってきます。

15時、おやつ拒否。怒る。

読めば、なんとなく状況は分かります。

でも管理者として見ると、少し気になります。

「拒否って、本人は何て言った?」

「怒るって、どんな様子だった?」

「声をかけたあと、どうなった?」

そこで職員に聞く。

すると、

「おやつを出したら『いらん』と言われました」
「もう一度声をかけたら、大きな声で『いらんって』と言われました」

と、ちゃんと事実は出てきます。

そして管理者が、それを記録として残せる文章に直す。

これは珍しい仕事ではないと思います。

「不穏あり」

「機嫌が悪い」

「問題なし」

「いつもと変わりなし」

こうした言葉を見るたび、

「具体的には?」

と聞き直す。

問題は、記録を確認することではありません。

職員が持っている事実を、管理者がもう一度聞き出して、管理者が記録を完成させていることです。

記録の内容を確認することと、職員の文章を毎回完成させること。

この二つは、分けて考えてもいいと思います。


2.事故のたびに「それで、何時だった?」から始める

事故が起きたとき、管理者にはやることがあります。

利用者さんの状態を確認する。

必要な対応をする。

職員から状況を聞く。

家族へ連絡する。

それだけでも、かなり頭を使います。

そして落ち着いたあと、事故報告を見る。

すると、

「何時に起きたの?」

「誰が発見した?」

「これは実際に見たこと?」

「そのあと何をした?」

と、また聞き取りが始まる。

職員が何も知らないわけではありません。

聞けば答えられることも多い。

ただ、報告書の中には十分残っていない。

そのため、

一度集まったはずの情報を、管理者がもう一度集め直す。

という仕事が起きます。

事故報告で本当に管理者が時間を使いたいのは、

「何が起きたのか」

を一から組み立てることより、

「なぜ起きたのか」

「次はどうするのか」

を考えるところではないでしょうか。

管理者のところへ来た時点で、

  • いつ

  • どこで

  • 誰が

  • 何をしていたか

  • 何が起きたか

  • その後どう対応したか

がある程度そろっていれば、事故報告の見方はかなり変わります。


3.「原因:注意不足」から、管理者がまた考え直す

事故報告で、

原因:職員の注意不足
再発防止:今後は十分注意する

と書かれている。

そこで管理者が、

「注意不足だけで終わっていい?」

と聞く。

環境はどうだったのか。

利用者さんの状態はどうだったのか。

職員の配置はどうだったのか。

支援方法に変えられるところはなかったのか。

一つずつ視点を出して、職員と一緒に考える。

もちろん、事故の原因や今後の対応を判断するのは、人がやるべき大切な仕事です。

ただ、

考えるための入口まで、事故のたびに管理者が一から用意する必要があるのか。

ここは分けられると思っています。

「注意不足」で止まったときに、

身体面はどうだったか。
環境面はどうだったか。
支援方法はどうだったか。

考えるための視点が最初からあれば、管理者はもっと先から話を始められます。


4.「これ、家族に送って大丈夫ですか?」で文章が戻ってくる

家族への連絡も、管理者へ戻りやすい仕事です。

職員が文章を書く。

そして、

「これ、ご家族に送る前に見てもらえますか?」

と管理者へ持ってくる。

内容を見る。

事実は間違っていない。

でも、

「少し冷たく見えるな」

「これだけでは状況が分からないな」

「この言い方だと、不安にさせるかもしれないな」

と気になる。

一文直す。

説明を足す。

順番を変える。

気づけば、ほとんど管理者が文章を作り直している。

家族へ何を伝えるかを確認することは必要です。

でも、

最初の一文から最後の一文まで、管理者が毎回仕上げる必要があるかは別の話です。

職員が、

「何があったか」

「どう対応したか」

「今はどうなのか」

を出せれば、文章そのものはそのあと整えることができます。

管理者は、その内容が事実と合っているか、家族へ伝えて問題ないかを見る。

そんな役割分担もできます。


5.「管理者さん、ちょっと相談いいですか?」を全部受ける

介護施設の管理者には、小さな相談も集まります。

「これ、どう書けばいいですか?」

「この表現で大丈夫ですか?」

「事故報告って、何を書けばいいですか?」

「この家族連絡、見てもらえますか?」

一つなら数分です。

だから、答えます。

管理者に聞くのが一番早いことも多い。

そして管理者も答えられる。

だから、次も管理者に聞きます。

その結果、

職員が少し迷ったときの最終地点が、全部管理者になる。

一日に何度も、

「ちょっと相談いいですか?」

で仕事が止まる。

答えたあと、また自分の仕事へ戻る。

しばらくすると、また別の職員から声をかけられる。

管理者が何でも答えられることと、

何でも管理者に聞かなければ進まないことは、同じではありません。

職員が迷ったとき、まず施設の基準を確認できる。

それでも判断が必要なら管理者へ相談する。

そうなれば、管理者に来る相談の中身も変わってくると思います。


6.新人が入るたび、また同じ赤ペンを入れる

新しい職員が入る。

記録を書いてもらう。

最初は当然、分からないことがあります。

そこで管理者が教えます。

「ここは事実で書いてください」

「“拒否”だけではなく、その時の様子も書いてください」

「時間も入れてください」

記録を見て、直して、説明する。

少しずつ書けるようになる。

ところが数か月後、また新しい職員が入る。

そして管理者は、また同じところから始めます。

これは介護記録だけではありません。

家族への連絡。

事故報告。

施設独自のルール。

人が変わるたび、同じ説明をもう一度する。

もちろん新人教育そのものは必要です。

でも、

新人が入るたび、管理者まで毎回「教育の1日目」へ戻る必要はありません。

施設として伝えたい基準が残っていて、必要なときに職員自身で確認できれば、

管理者は、

「全部を最初から教える」

より、

「必要なところを確認する」

ことに時間を使えるようになります。


7.マニュアルを作ったのに、また「これどうするんでしたっけ?」と聞かれる

ここまで読んで、

「だったらルールをまとめればいい」

と思うかもしれません。

実際、その通りです。

そこで管理者がWordを開く。

記録の書き方をまとめる。

事故報告のルールを作る。

家族連絡の注意点を書く。

職員向けの資料を作る。

これで少し楽になる。

……はずだったのに、

しばらくすると、

「これ、どうするんでしたっけ?」

と聞かれる。

管理者は、

「マニュアルに書いてあるんだけどな」

と思いながら、また説明する。

そしてルールが変われば、今度はマニュアルの更新も管理者の仕事になります。

管理者の仕事を楽にするための仕組みを作ることまで、管理者の新しい仕事になってしまう。

これも、よく起こることだと思います。

仕組みは必要です。

ただ、その土台まで全部白紙から管理者が作る必要はありません。


7つは、実は同じ仕事かもしれない

ここまでの7つを並べると、別々の仕事に見えます。

介護記録。

事故報告。

家族連絡。

職員からの相談。

新人教育。

マニュアル。

でも、少し引いて見ると、同じ流れがあります。

職員が途中までやる。

少し足りない。
少し迷う。
書き方が分からない。

管理者に戻ってくる。

管理者が聞く。
直す。
教える。
考える。

管理者が完成させる。

これが一回だけなら、それほど大きな問題ではありません。

でも明日も起きる。

別の職員でも起きる。

新人が入れば、また起きる。

だから、

「もう自分でやった方が早い」

でその場を終わらせるほど、

「最後は管理者がやる」が施設の中に残り続けます。


管理者の仕事をなくしたいわけではありません

管理者にしかできない仕事があります。

事実が合っているか確認する。

利用者さんにとってどうするのがいいか考える。

家族へ伝えてよい内容か判断する。

事故の原因や今後の対応を決める。

職員と話す。

これは残ります。

変えたいのは、その前です。

たとえば介護記録なら、

職員が事実を出す。

施設で決めた記録の基準に沿って文章が整理される。

管理者は事実と違っていないか確認する。

事故報告なら、

職員が分かっていることを出す。

時系列が整理される。
足りない情報が分かる。
原因を考えるための視点が出る。

管理者が確認し、判断する。

家族連絡なら、

事実と対応を出す。

家族へ伝える文章の土台ができる。

管理者が内容を確認する。

つまり、

管理者の判断をなくすのではなく、管理者が判断するところまで仕事を持ってくる。

ここを変えたいんです。


その「管理者へ戻ってくる前」を、AIに支えてもらう

私は、この部分でAIを使えると考えています。

AIに判断を任せるという意味ではありません。

職員から出てきた事実を整理する。

施設で決めた書き方に合わせる。

不足している情報を確認する。

文章の土台を作る。

いつも管理者が説明している基準を、必要なときに出す。

こうした、

管理者が判断する前に何度もやっている仕事

を支えてもらう。

たとえば、

「拒否」「怒る」

と書かれた記録を管理者が見つけてから聞き直すのではなく、

管理者へ来る前に、

具体的にどのような発言・行動がありましたか?

と確認される。

事故報告を見てから、

「それで、何時だった?」

と管理者が聞くのではなく、

その前に必要な情報がそろう。

職員が、

「これどう書けばいいですか?」

と管理者へ聞きに来る前に、施設のルールに沿った文章の土台を作れる。

こうなれば、管理者の役割は少し変わります。

「書く・直す・何度も教える」から、「確認する・判断する」へ。


いきなり全部変えなくていい

ここまで7つ挙げましたが、全部を一度に変える必要はありません。

むしろ、最初は一つで十分だと思っています。

明日、仕事をしていて、

「またこれか」

と思った仕事を一つ見つけてみてください。

「これ主観じゃない?」と記録を戻した。

「何時だった?」と事故報告を聞き直した。

「これどう書けばいいですか?」に答えた。

家族への文章をほとんど自分で作り直した。

その瞬間に、

これは本当に、毎回自分がやる必要があるだろうか。

と一度だけ考えてみる。

そこが始まりです。


「最後は管理者」を一つずつ変えるために

私が作った**「介護管理者の仕事を減らす実務パック」**では、

  • 介護記録

  • 家族連絡

  • 事故報告

  • ケア設計

  • 職員への共有

といった場面で、

管理者のところへ戻ってくる前に、仕事をどこまで整えられるか

を実務で使える形にまとめています。

AIへの指示だけではなく、

施設のルールをどう持たせるか。

職員にはどう使ってもらうか。

どこを人が確認するか。

最終判断をどこに残すか。

そこまで含めています。

目指しているのは、AIに詳しい管理者になることではありません。

介護記録を見て、

「これ主観じゃない?」

と毎回聞き直さなくていい。

事故報告のたびに、

「それで、何時だった?」

から始めなくていい。

職員からの、

「これどう書けばいいですか?」

を全部自分で受けなくていい。

そんな状態を、一つずつ作っていくことです。

「最後は管理者」が一つなくなるだけでも、管理者の一日は少し変わります。

介護管理者の仕事を減らす実務パックを見る


いいなと思ったら応援しよう!