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「セミのところに行ったとき…」から開いた記憶のタイムカプセル

ある日の夜のこと。

通信制高校2年生の息子は、

レポート課題が、なかなか進まない。


「いやだぁ〜」と言っているうちに、

締切りを過ぎてしまった「情報Ⅰ」の課題があったので、

一緒にやってみることにした。



動画を2人で見て、

教科書や学習書を見せてもらった。 

デジタル画像や情報のデータ化の話だった。


今どきは、こんな勉強をするんだ!

と私はちょっとワクワクしていた。



すると、

息子がふいに言った。



「セミのところに行ったときに、

光の三原色のコーナーがあったよね」



えっ? セミ?


あっ!

思い出した!


「おぉー、

光の三原色のコーナーあったあった!

行ったよね〜」

ふたりで盛り上がった。



そこから、

息子は気分が乗ったみたいで、

スイスイ課題を進めていった。



セミのところ…


それは、

記録を探してみると2018年2月。

小学2年だった息子の

8歳の誕生日記念に家族で訪れた、

『リスーピア』のこと。


時間制限があって全部回りきれなかったので、

息子の希望で、

春休みに、今度はふたりでもう一度訪れた場所。

「RiSuPia」(リスーピア)は、

パナソニックが運営する、

理科や数学(算数)の不思議を、

遊びながら体験できるミュージアムだった。

(2020年12月に閉館)


その場所で、

光の三原色を体験したこと。


13年や17年という周期で大量発生する

「素数ゼミ」の展示を見たこと。

(13と17が素数であることから、「素数ゼミ」と呼ばれている。)



高校の課題の中の「光の三原色」から、

8年前に見た素数ゼミの展示へ。


記憶がそんなふうにつながって、

息子の口から

「セミのところ」

という言葉が出てきたことに、驚いた。

息子の記憶力、やっぱりすごいな。

またそう感じた。

でも、

それ以上にうれしかったのは、

「あのとき、ちゃんと楽しんでたんだな」

とわかったことだった。


小さい頃、

科学館や科学実験教室へあちこち連れて行った。

それが何につながるのかなんて考えてなかった。


興味を持つかな?

面白いかな?

たぶん、そのくらい。



8年たって、

高校の課題をやっていたら、

突然、その記憶が出てきた。


なんだか、

8年前に埋めたタイムカプセルを、

息子とふたりで開けたような気持ちになった。


子どもの頃の原体験が、

いつ、どんな形で出てくるのかはわからない。


その場では何も残っていないように見えても、

本人の中には、

ちゃんと、優しく、保存されているのかもしれない。


小学6年から不登校がはじまって、

息子は何度も、

「学校の記憶を消し去りたい」

「思い出したくない」

と言っていた。

 

でも、

消したい記憶だけじゃなかった。


ワクワクしたこと。

楽しかったこと。

そんな記憶も、

ちゃんと息子の中に残っていた。


それがわかって、

私は、じわっとあたたかい気持ちになった。

課題を一緒にやったことで、

思わぬプレゼントをもらったような気がした。


そんな、高校2年生の夏の夜だった。





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※リスーピアについて、こちらで少し紹介されています↓

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