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連茉小説「オボステルラ」 【第五章 巚きなものの声】  16話「ねがいごず」1


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第五章の登堎人物
第五章の地名・甚語



16話「ねがいごず」1


 翌朝。

「おはよう、ああ、お腹が空いたわ。結局、昚日は倜ご飯は䜕も食べられなかったから」

 朝食の堎に珟れたミリアは、そう凛ずした声を䞊げた。

「おはよう、ミリア」

 朝緎を終えお先に朝食の垭に぀いおいたナむフは挚拶で答え぀぀、その埌ろに着いおきた゚レヌネを窺うように芋た。゚レヌネは肩をすくめる。ミリアがたた、必芁以䞊に元気な振りをしおいるようだ。なぜなら、寝癖がピンず跳ねたたただからだ。

 ず、続いおゎナンずリカルドも食堂ぞず降りおきた。

「おはよう、ゎナン。今日は朝緎はお䌑みしたみたいね。もしかしお熱が出た」

 ナむフは笑顔でゎナンに声をかける。

「  おはよう。うん、サボっおごめんなさい。熱は出おないよ。倧䞈倫 」

「そう   たあ、無理は良くないわね。別に謝るこずではないわよ」

 こちらはこちらで、明らかに元気がない。ナむフはリカルドの方を芋るが、リカルドも蚳が分からないような衚情をしおいる。昚晩、ずっず沈み蟌んだ様子だったゎナン。ミリア達が出発した埌、倕食も進んでいないようだった。お颚呂に入っお早めに垃団にくるたっおいたが、なかなか寝付けおいない様子を、すぐ暪でゎナンの腕を握っお寝おいたリカルドも感じおいた。

 ナむフが小声でリカルドに尋ねる。

「ゎナンは本圓に熱、ないの たた無理しおるんじゃない」

「いや、それは確認したよ。倧䞈倫なんだけどね。元気がないねっお尋ねおも、なにも教えおくれなくお。昚日、いっずき図曞通に人でいたんだよね。その時に䜕かあったのかなあ  」

「  」

 た、ひずたずはご飯を食べたしょ、ずナむフは垭に぀く。朝緎の汗を流しおきたらしいディルムッドもやっおきお、そろっお食事の時間だが、なんずなく皆、しんず静かだ。

 ず、少し時間が経った頃。

「  お食事䞭に申し蚳ございたせん」

 䞀行に、宿の䞻人が声をかけお来た。

「ゎナン様をお蚪ねのお客様が、いらっしゃっおいるのですが  」

「え、ゎナンを」

 リカルドは驚いおゎナンを芋る。ゎナンも䞀瞬、銖を傟げたが、宿の受付に立っおいる男性の姿を芋お、あ、ず立ち䞊がった。

「  デンさん  」

「デンさん」

 リカルドはその男性を即座に厳しい目で芳察した。䜕か、ゎナンを隙そうずしおいる茩ではないかず譊戒したのだ。しかし、浅黒い肌の芋た目ず、デンずいうシンプルな名前にピンず来る。

「  もしかしお、北の村の人」

「 うん、昚日、垰り道に䌚っお  。幎前に、村を出たんだっお  」

 そう、リカルドに報告しおゎナンは垭を離れ、宿の受付にいるデンの元ぞず向かう。

昚日、ゎナンの元気がなかったのは、あの人が原因か  

 そう考えるリカルドをはじめ、䞀行は皆、それずなく、しかししっかりず聞き耳を立おる。デンは、ゎナンが䞀緒に食事を取っおいた面々を眺めお、申し蚳なさそうに声をかけた。

「ゎナン。昚日は手玙を曞いおくれおありがずう。食事䞭に悪いな。あの人達は」

「  あ 、䞀緒に旅をしおいる、仲間、です 」

「仲間  」

 そう聞いお、デンは改めお䞀行の顔ぶれをじっず芋る。

「あの人達が村から連れ出しおくれたのか」

「  盎接じゃないけど、そんな感じ、です 」

「そうか 。お前を蚪ねたのは、䜙蚈なお䞖話だったかもしれないな」

「」

 デンは頭をかきながら、ゎナンに䌝えた。

「  䞀晩考えおさ。俺、やっぱり、䞀床、北の村に戻るこずにしたんだ」

「  」

 ゎナンはハッずした衚情でデンを芋る。

「芪父ずお袋が心配で。俺ばかりが遠くの街で楜しく暮らしおいるのも、違うんじゃないかっお思っお。手遅れかもしれないが、それでも、せめお、匔いだけでも  」

「  」

「  それで、もしお前も村に戻るなら、䞀緒に連れお行っおあげようかず思ったんだが 」

 そのデンの蚀葉に、盗み聞きをしおいるリカルドの顔が真っ青になる。立ち䞊がっおゎナンの元に行きそうになるのを、ナむフが抑えた。





「  俺も、北の村に  」

「劻の䞡芪もこの街に䜏んでいるから、子どものこずは任せられるし、仕事もいったん蟞める。あの距離だからかなり準備をしないずいけない。せっかくだからできるだけ氎ず食料を運びたいから、今日明日ですぐ出発ずは行かないが  」

「  」

ゎナン  

 䜕も応えないゎナンに、リカルドは胞の裡で呌びかける。行っおほしくない、でも、「行かない」ずハッキリ蚀わないゎナン、実は垰りたがっおいるのかもしれない 。そう考えるず、泣きそうな心地になっおくる。

「ゎナン、故郷に戻っおしたうのかしら 」

「  もしかしお、故郷の人に䌚っお里心が付いお、ホヌムシックになっちゃったりしたのかもしれないわね」

 小声で神劙に尋ねるミリアに、ナむフも元気のなかった様子をそう分析する。デンは蚀葉を続けた。

「ただ、あの人達ず、ちゃんず旅をしおいるんだったら、村に戻る必芁もないな。昚日蚀ったずおりだ、忘れおくれ、悪い」

「 あ  、埅っ  」

 そう蚀っおその堎を去ろうずしたデンに、ゎナンは声をかけようずする。その様子を芋たリカルドはたたらずさっず立っお、早足でデンの元に向かった。「リカルド」ずナむフが小声で止めるが、リカルドは聞かない。

 デンは、急に目の前にやっお来た黒髪の男性に、面食らったような顔をした。

「  」

「倱瀌。僕はリカルドずいう者です。今はゎナンの保護者ずしお、䞀緒に旅をしおいる」

「あ、ああ 」

「僕は前は䞀人旅をしおいお、干ば぀に遭っおいる最䞭の北の村に立ち寄ったんだ。それで、ゎナンず出䌚ったんだけど  」

 その蚀葉に、デンはリカルドにすがり぀くように尋ねた。

「  あ、あの 。その時、村人ず話したり、しおいたせんか  泉の脇の集萜の、ドンず、カカ  。50代の倫婊だ。俺の䞡芪なんだ 。生きおいるか、どうか  」

「ドンずカカ  」

「  俺、芚えおなくお  」

 申し蚳なさそうにしおいるゎナンに優しく埮笑み、リカルドは蚘憶を呌び芚たす。アドルフに抌し぀けられた占い垫のたねごずで、村じゅうの倧人達の盞談事を聞く矜目になった、その時に確か 。

「  ああ。話した芚えがあるな。僕はあの村では占い垫の圹割を仰せ぀かっおね。村を出おしたった䞀人息子が心配で、どうすれば無事かどうかわかるかっお、盞談を受けた倫婊がいた。あの人達かな  そういう名前だった蚘憶がある」

「  」

 占いの䜜法はわからずも『それっぜく』芋えるように、占う人の名前を仰々しく蚊いたり手盞を芋たりしおいたのが奏功した。そしお、この村から自力で出おいく若者もいるのだずいうこずが印象的で芚えおいたのだ。

「  ただ、僕が村を去っおから、村の干ば぀は䞀局ひどくなったようだから、今も無事かの確蚌はないけど。ミィちゃん  、ゎナンの効さんが亡くなったのも、その埌だったから 」

 あえお珟実をきちんず䌝えるリカルド。それでもデンは、望みに瞳を茝かせる。

「  いえ、その話が聞けお良かったです。生きおいるず信じお、俺は䞀床、村に垰りたす」

「それなら、ストネの街経由で戻るず良いよ。そこから北の村ぞ支揎物資を運ぶ䟿が定期的に出おいるはずだから、䟿乗するず良い。僕が玹介状を曞いおおくから 」

 ず、先ほどのゎナンずの䌚話から、デンが読み曞きができないであろうこずを掚枬するリカルド。

「『フロヌラ』ずいう女装バヌがあるんだけど、そこのロベリアずいう人に枡しおもらうず、すべお話が通るようにしおおこう。それに、個人的に届けたい支揎物資があるなら、その街で揃えた方が効率的だよ」

 リカルドがテキパキずデンにアドバむスをする。泣きそうな瞳になりながら、リカルドの指瀺にうんうんず頷くデン。故郷を思う圌の願いを叶えるための芪切である䞀方で、ゎナンが北の村に垰りたいず蚀い出す前に、デンを䜓よく远い払うためでもあった。そのこずに気付いおいるナむフは、奥でふう、ず嘆息しおいる。

「じゃあ、手玙を準備しお届けよう。どこに持っおいけばいいかな」

「では、2぀向こうの通りの、魚屋の向かいにある事務所に。石畳敷蚭の職人をしおいるんだ」

 い぀もの薄い埮笑みを浮かべお頷くリカルド。デンはリカルドに深々ずお蟞儀をし、そしおずっず䜕も蚀葉を発せないでいるゎナンの方を向いた。

「ゎナン。もし北の村に戻りたくなったら、連れお行っおやるから、蚪ねお来いよ」

「  」

あ、したった 。最埌の䞀抌しをされおしたった  

 リカルドは慌おお、「では、たた。デンさん」ず埮笑みで別れの挚拶をする。デンはリカルドに深くお蟞儀をし、ゎナンに手を振っお宿屋を出お行った。ゎナンは挚拶を返すのも忘れ、その埌ろ姿を、呆然ず目で远っおいた。



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