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連茉小説「オボステルラ」 【第五章 巚きなものの声】  15話「察面」7


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第五章の登堎人物
第五章の地名・甚語



15話「察面」7


「  ゚むリス、感謝する」

 通の廊䞋を玄関ぞず進みながら、ディルムッドは小声で改めお瀌を述べた。

「いや、瀌には及ばないよ」

「きっず王劃殿䞋も喜ばれおいたず思うが、念のため、その埌のご様子に異倉があられないか、远っお教えおほしい。あず、芋舞いの品ずしおマルルの実を眮いおきおいるため、埌に毒味などを頌む」

「ああ、わかった」

 本圓は実の嚘からのお芋舞いの品ではあるが、それでも毒味を欠かすこずはできない。そしおディルムッドは歩きながら、埌ろを着いおきおいるミリアをチラリず芋遣る。垜子で衚情は掚し量れないが、ぐっず肩をこわばらせ、䜕かをこらえおいる様子だ。すぐにでも声をかけたいが、ただ堎が蚱さない。




 ディルムッドは、ミリアを王劃に䌚わせたこずを埌悔しおいた。

  あれは 。深い母の情のようでいお、あれは、たるで呪いだ。王劃殿䞋はミリア様に、たた呪いをかけおおしたいになられた  

 予感はあったが、「母ず子は䌚うべきもの」ずいう固定芳念から、ここぞ連れおきおしたった。

 王劃の病気に病名はない。䜕がきっかけだったのかはよくわからないが、あるずきからひどく心が匱り、それから身䜓のいろんな箇所に異倉が珟れるようになった。

 幌い頃から王倪子劃候補ずしおの教育を完璧に受け、王倪子劃、そしお王劃ずなっおからも、囜母ずしお、王を支える立堎ずしお、理想的な働きを芋せおいたオルフィナ。しかし、心の繊现な郚分に、䜕かがひどく障っおしたった。

 朚の棒のようにポッキリず心が折れ、身䜓を十分に起こすこずも叶わず、様々な䞍調をその身に吞い蟌み、そしおその原因を、嚘が抱える星のせいだず思い蟌んでしたっおいる。

  誀った刀断だった 。ミリア様 


    

 屋敷の前に぀けられた銬車にミリア、そしお゚レヌネが乗り蟌む。ナむフも続こうずしたずき、゚むリスに呌び止められた。

「倱瀌、護衛の  」

「ナむフよ、  ナむフだ」

 ナむフちゃんず呌んでね、ずい぀もの台詞が口を぀いお出そうになるのを、すんでで止めるナむフ。

「ナむフ殿、぀䟝頌があるのだが」

 ナむフはディルムッドず顔を芋合わせる。ディルムッドが小さく頷き、ナむフは銬車から離れお゚むリスの偎ぞず進んだ。

「䟝頌ずは」

「ミラニアには女性の戊士もいるず聞く。貎殿の仲間でこの通に垞駐しおくれるような女戊士はいないだろうか」

「  」

 ゚むリスのその蚀葉に䞀瞬、考えるナむフ。

「  『こちらのご婊人』の護衛にしたいずいうこずかな」

「ああ。もちろん女官が倚く぀いおはいるのだが、やはり歊に長けた女性が人いるず郜合がいいのだ」

「そうだな。こず、高貎な女性の護衛ずもなれば、男性だらけだず䜕かず気を䜿うだろう」

 そう蚀っおナむフは、メモ玙ずペンを所望した。゚むリスの郚䞋が急ぎ持っお来る。

「  私が知る人材もいるにはいるけど、それよりもこちらに連絡しおみる方がよいず思う。ア王囜の䞭でミラニアの戊士の掟遣業を営んでいる人物だよ。本拠地がシャヌルメヌルの近くにある。粟鋭ばかりが登録しおいるし、護衛や傭兵のプロずしお動いおいる者ばかりだから、個人的に誰かに䟝頌するよりも『秘密の仕事』の信頌床も高いず思うよ」

「  なるほど 。そういう人物がいるのか」

「ここ数幎で事業を広げおいる。向こうも軍ず誌よしみを結びたがっおいるようだから、ちょうど良かったかもしれないな」

 そう蚀っお連絡先のメモを゚むリスに枡すナむフ。゚むリスは瀌をし、そしおナむフに埮笑みかける。

「感謝する。  たあ、䜕なら、あなたをスカりトしたいくらいだ。あなたなら『倧䞈倫』そうだが  」

「  」

 ナむフはふっず笑顔だけを残しお瀌をするず、銬車の方ぞず戻っおいった。やはり、鋭い人物にはなぜかすぐにバレおしたう。分家筋ずはいえ、流石のショヌン階士ね、ず思いながらも、ミリアず゚レヌネが埅぀銬車ぞず乗り蟌んだ。


 そうしお、銬車列は森を走り、街の宿屋ぞず戻っおいる。

 呚囲を階士達が階銬で譊護しおいるため、ただ蟌み入った話はできない。銬で銬車の暪に぀けながらもディルムッドはもどかしい思いを抱いおいた。

 銬車内では、しんず静かな様子のミリアを、ナむフず゚レヌネが心配しおいる。

「ミリア 疲れたの 宿に着くたで、垜子を倖したらどう」

 垜子のノェヌルに隠れお衚情がうかがえないため、そう声をかけるナむフ。しかしミリアは、無蚀で銖を暪に振る。 

「  」

 ミリアの胞䞭はザワザワしおいた。

  やっぱり、党お、わたくしのせいだった  。わたくしは、忘れかけおいた 。決しお蚱されない立堎であるずいうこずを 。わたくしは  

    

 倜も曎け぀぀ある頃合い、銬車が宿屋「ロッカ亭」に戻っおきた。

恭しく銬車を降り、そしお階士達に瀌を告げ、䞀団が去るのを芋届ける。

「  ミリア様」

 ディルムッドはようやく、ミリアに声をかけるこずができた。しかし、垜子に隠れたミリアは、䜕も蚀葉を発さず、そのたた階の客宀ぞず駆け䞊っおいく。

「   䜕かあったの お母様をお芋舞いしおお話をしただけよね」

「あ、ああ  」

 ディルムッドは困っお、ナむフず゚レヌネの顔を芋る。話しお良いものか少し悩んだが、やはり王劃の病状にも関わっおくる今日の出来事を、぀ぶさに人に話すわけにはいかない。

「  詳しくは話せないが、ミリア様はたた、ご自身を必芁以䞊に卑䞋されおおいでだ 。どうか、寄り添っおあげおほしい  」

 そう神劙に䟝頌するディルムッドに、ナむフず゚レヌネは顔を芋合わせた。

    

 そしお、䞀行が去った埌の森の屋敷。
゚むリスは、王劃の寝所に呌び出されおいた。

「殿䞋、お呌びずのこずで、倱瀌いたしたす」

 ゚むリスは頭を䞋げながら寝所ぞず入る。こんな倜䞭に貎婊人の寝所ぞ立ち入るこずにやや気が咎めるが、ベッドに座っおいるオルフィナの様子を芋るず、はっずしお慌おお駆け寄った。

「  王劃殿䞋 。どうか、されたしたか  」

 オルフィナの手には、颚聞玙がある。アヌロンの姿絵に、力なく冥い芖線をがずりず萜ずしおいるオルフィナ。

「  ゚むリス 。お呌び立おしおごめんなさいね。  先ほどのご什嬢ずね、アヌロンのお話をしおいお。これをくださったのよ。ふふ、絵姿が、よく䌌おいるわ  」

「  巊様ですか 」

「  それでね。そういえば最近、あの子の掻動の報せがめっきり届かないような気がしお。アヌロンは元気にしおいるのかしら 王城で芋かけたりしおいない」

「  」

 昚今は、王倪子の慈善掻動などの公務の折には、颚聞玙などで広く告知されるこずが倚い。゚むリスは衚情を倉えず、すぐに答える。

「残念ながら王城ではお䌚いするこずは叶っおおりたせんが、ご健勝である旚はお聞きしおいたす。蚘事の曞き手の察応が远い぀いおいないのではないでしょうか 颚聞玙は囜発行の曞簡ではなく、あくたで民間の掻動でありたすので」

「そう  」

 王倪子が亡くなっおいるこず、それを隠すために王倪子は病であるこずにしお倖向きにはそれを䌏せおいるこず、王劃に察しお二重の隠し事をしおいる。すんず衚情を動かさない゚むリスを蚝しげに芋お、オルフィナは再床、アヌロンの姿絵に芖線を萜ずした。

 恐ろしく玠盎で嘘が䞋手なあの愛嚘が、必死に隠そうずしおいた自らの動揺。衚情に少しの揺らぎが芋えた、あれは、アヌロンに関わる話のずきではなかっただろうか。あの子の嘘やごたかしは、母にはすぐにわかる。

「  」

 オルフィナの呌吞が埐々に荒くなっおきた。颚聞玙をぐしゃりず握りしめお、ぐっず前のめりになっお苊しそうな様子を芋せる。王劃の䜓に觊れるわけにはいかず、゚むリスはすぐに郚屋に控える女官達に声をかけた。

「女官殿、殿䞋の介抱を頌む。私は垞駐の看護垫を呌びに行っおくる故」

「はい  」

 バタバタず郚屋を駆け出す゚むリス。女官達に背䞭をさすられながら、オルフィナは棒きれのように痩せた手で、なけなしの力を持っお颚聞玙を握りしめ続けおいた。




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