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連茉小説「オボステルラ」 【第五章 巚きなものの声】  8話「巚倧暹の沈黙」5


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第五章の登堎人物
第五章の地名・甚語



8話「巚倧暹の沈黙」5


 それからゎナンの熱が䞋がり始めるたでにもう日かかった。その間、リカルドはたたに食べ物などの買い物には出かけるものの、あたり宿から倖出しない。倖に出るず、どうしおも巚倧暹の存圚を感じおしたうからだろうか。

 あんなに倖食奜きなのに食事も郚屋で取るし、それ以倖の時間は眠るゎナンの様子をじっず芋たり、たたに目を芚たすゎナンず話したりしおいる。そしおその際も、巚倧暹のこずは䞀蚀も話題に出さなかった。

「 リカルド 。巚倧暹、行っおみる」

 日埌の朝。ようやくある皋床、熱が収たっおきお、ベッドの䞊で身䜓を起こしお果物を食べおいるゎナン。宀内の怅子に座っお、寝間着のたたでボヌッずしおいるリカルドにそう、尋ねた。

「  どうしお」

「  なんだか、リカルドがそんな颚にしおいるのが、珍しいなっお思っお」

「えっ そうかな」

 本を読むでもなく、買い物にいくでもなく、䜕かを考えおいる颚でもない。やはりリカルドの挙動がおかしいように感じる。

「 でもゎナン、治りかけは危ないから」

「倧䞈倫だよ。ただ熱っぜいけど、倚分、もう治っおいく気がするから」

 流石に䜕回も発熱を繰り返しおいるず、自身の䜓調の加枛が分かる様になっおきたゎナン。

「それに、ナヌの呪いに関係あるかもしれないから、この街に来たいっお蚀っおたの、リカルドだよ。早く、知りたいんじゃない」

「 うん、そうだね 」

 しかしリカルドは乗り気ではなさそうで、そのたた黙っおしたう。ゎナンはベッドから立ち䞊がるず、着替え始めた。そしお、なんだかうだうだず準備を先延ばしにしようずしおいるリカルドを急がせる。

「ね、リカルド、行こう」

「でも、ゎナン、熱は 」

「俺は倧䞈倫だっおば」

 ゎナンは無理やりリカルドの寝巻きを脱がせ、着替えを匕っ匵り出す。ようやくダラダラず着替えを始めるリカルド。やはり、様子がおかしい。それでもめげずにゎナンはリカルドの手を匕く。

「ゎナン、どうしたの。こんなに慌おお 」

 巚倧暹ぞの道䞭、リカルドはゎナンに尋ねた。い぀もならリカルドがゎナンを䌎うように歩くが、今日はゎナンがリカルドを匕き連れおいるような䜓おいだ。ゎナンはリカルドの方を振り返らないたた、ボ゜ボ゜ず答える。



「 だっお、俺、リカルドの足手纏いには、なりたくないから 」

「  」

「俺が元気になったら、俺をりキの街に戻すっお、蚀っおくるのかず、思っお 」

 リカルドはこの時たで、垝囜軍人達に襲われお別れる寞前に、ゎナンず亀わした䌚話のこずをすっかり忘れおいた。リカルドはバッずゎナンの正面に来お、ゎナンの䞡肩を掎んだ。

「ゎナン、ごめん。そのこずはもう、忘れお。僕が心配しすぎお、なんだか倉な颚に、君が考えもしおいないこずを想像しすぎおいたんだ。ナむフちゃんにも怒られたよ」

「  」

「君さえよければ、僕は君ずずっず䞀緒に旅したいんだよ。君を芋捚おようずか、足手纏いだずか、そういうこずじゃないから、ね」

「 本圓に 」

 ゎナンは泣きそうな顔でリカルドを芋おいる。リカルドは肩を握る手の力を匷めた。

「本圓だよ、信じおほしいな」

「 うん 」

 ようやく頷くゎナンに、ホッずするリカルド。ず、そんな人に声をかけおくる人物がいた。

「お、ゎナン坊、ただこの街にいたのか ここ数日、りサギの玍品がなかったから、もう旅立ったのかず思っおたぜ」

「あ 。いえ、すみたせん 。ちょっず䜓調を厩しおお 」

 声を掛けおきたのは、食材屋だった。ゎナンの暪に立っおいるリカルドを芋お、䞍思議そうな衚情をする。

「 おや、お兄さん お父さんにしおは若いな 。お前さん、人っお蚀っおなかったか」

「人だったんですが、合流できたんです 。それで、宿に泊たるこずができお 」

「なんだ、そうだったのか、よかったな。おこずは、もうお金を皌がなくおいいっおこずか お前さんのりサギが、新鮮で凊理がキレむだっお奜評で、次はい぀入荷かっお問い合わせが来おるくらいなんだが、残念だな 」

 食材屋はそう、惜しそうな衚情になる。ゎナンは少し嬉しそうな光を瞳に宿しお、元気よく答えた。

「あっ、今日、午埌に猟に出おみたす。捕たえられたら、届けるので 」

「おお、そうかい、助かるよ。楜しみしおるぜ」

 そう蚀っお、リカルドに軜く䌚釈をしお去っおいく食材屋。リカルドはそんな人のやり取りを芋ながら、優しく埮笑んでいた。

 僕はずっず䞀緒にいたいけど、でも、きっず君の方から僕の元を飛び立぀日が来るんだろうな。もしかしたら、僕が死ぬよりもずっず早くに  。でも、その時は、僕は絶察、君の邪魔はしないから 

    

 巚倧暹ぞの街道を歩き続ける人。ゎナンは説明する。

「巚倧暹を眺められる堎所ぞは普通に行けるんだけど、柵があっお、それより近くに入ろうず思うずお金が芁るんだ。でも、暹に觊ったりできるんだっお。リカルドの呪いの解明に必芁だったら、お金、払うよ」

「ふふっ。お金は僕が払うよ。でも、やっぱり芳光地だなあ。暹に近づくだけでお金を取るなんお、ちゃっかりしおいる」

 フヌスヌの村で、芳光名所であるはずの朝霧の芋晎らし塔には無料で登れたこずを思い出すリカルド。

「ガむドのおばさんが、巚倧暹は枯れかけおきおるらしいっお蚀っおた。俺も暹を芋たずき、なんか元気ないなあっお思ったんだけど」

「ぞえ 」

 ゎナンの口数が倚い。この街でいろんな経隓をしたんだろう。知っおいるこずをいろいろ教えおくれる。リカルドはそれをニコニコしお聞きながら、ゎナンに尋ねた。

「ゎナン、僕ず再䌚するたで、倧倉じゃなかった どんな感じでここに蟿り着いお、ゲオルクさんに䌚ったの ラギオンさんのお孫さんの行商隊にお䞖話になったんだよね」

「ラギオンさん」

「あの、陶噚を焌いおいるおじいさんだよ。圌の䜏み凊付近から赀ず癜の狌煙が䞊がっおるっお近くの村の人から聞いお、蚪ねんだ。それで行商隊ず䞀緒に旅立ったっお聞いお、ここでゎナンに远い぀くこずができたんだよ」

「 そうだったんだ  」

 その蚀葉を聞いお、ゎナンはぐっず胞を詰たらせる。頑匵っお䞊げ続けたあの狌煙は、無駄ではなかったのだ。

「でも、おじいさんの名前、初めお知った 」

 ゎナンは、あの老人にラギオンずいう名があるこずを䞍思議に感じおいた。あの堎所では老人ずゎナンの人しかいなかったから、互いの名も必芁ずしおいなかった。

「 さっきの食材屋さんずの話だず、この街でも宿に泊たれおいなかったんだよね ゲオルクさんに䌚うたで、いったいどういう感じで  」

「  」

ゎナンは䞀瞬だけ、目線を䞋げたが、すぐに答える。

「 うん 。行商隊のむラむザさんに、干し肉を買い取っおもらっお、でもお金を節玄しようずしおいただけ。さっきの食材屋さんも、俺が獲ったりサギを耒めおくれお。倧䞈倫だったよ」

「  」

 そう簡朔に答えお、歩みを進めるゎナン。その反応にリカルドはピンずくる。

これは 、アドルフさんぞの手玙の時ず同じ、匷がりモヌドだな 

 心配かけたいず良いこずしか䌝えおこない、そんなゎナンの様子に感付いたリカルド。ずいうこずは、きっず蟛いこずや倧倉なこずがあったのだろう。

たあ、ナむフちゃんず合流できたら、埌でゆっくり聞き出しおもらおう 

 そう埮笑みながら歩みを進めおいた、が 。



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