つばき現場に「おじいちゃん」は多いのかーー女子トイレと突然踊る紳士、4つの見え方
5月20日に、つばきファクトリー現場に年齢層高めの男性ファンが目立つのではないか、という記事を書いた。
1週間後の5月27日は、多くのハロオタが肩透かしをくらった、モーニング娘。'26とBEYOOOOONDSの「新メンバー加入の発表日時の発表」、そしてJuice=Juiceのぴあアリーナ本公演があった、印象的な一日だった。
その日に「つばき現場のおじいちゃん記事」がXでシェアされたことをきっかけに、想定をはるかに超える多くの方から反応をいただいた。本当に驚いた。
記事を読んでくれた方、Xでシェアしてくれた方、アンケートに答えてくれた方、本当にありがとうございました。
正直、「つばき現場におじいちゃんは多いのか」というテーマで、ここまで多くの人が語ってくれるとは思っていなかった。
結果として、アンケートには最終的に280件を超える回答が集まった。
ただ、今回いちばんおもしろかったのは、集計結果そのものではない。
自由記述の設問に対する、さまざまな回答だった。
女子トイレが空いている話。
50代なのに若手寄りに感じる話。
静かに座っていた人が、ライブが始まると別人のように踊り出す話。
コールが職人レベルという話。
自由記述の設問にも100件以上の回答があり、内容は幅広いものだった。そのなかでも注目すべきは、ハロプロ現場の年齢感覚と、つばき現場の妙なあたたかさについての証言だった。
前提:これは実数ではなく「見え方」の話である
最初に断っておきたい。
今回実施したアンケートは、つばきファクトリー現場の実際の年齢構成や男女比を測るものではない。
Xで話題を見た人、noteを読んだ人が自発的に回答したものであり、回答者の属性にも偏りがある。
だから、ここから「つばき現場には何歳以上の男性が何%いる」とは言えない。
今回の結果から読み取れるのは、あくまでハロプロファンから、つばき現場がどう見えているかである。
でも、その「見え方」こそがおもしろかった。
なお、この記事で扱うアンケート結果は、5/29(金)23:59時点までの回答282件を対象にしている。
自由記述の引用については、設問で「匿名で引用してよい」と回答されたもののみを使用した。
女子トイレが空いている、という現場感
まず、自由記述やXの反応で目立ったのが、女子トイレの話だった。
つばき現場は女子トイレが空いている。
男子トイレには列ができる。
逆に女子トイレに列ができていると「つばきなのに?」となる。
冷静に考えると、変な話だ。
でも、現場に行く人にはたぶん伝わる。
トイレの列は、公式な男女比データではない。けれど、現場の男女比を肌で感じる瞬間ではある。
自由記述にも、こういう声があった。
一般席にしか入った事がないのですが、おじいちゃん、と言うより、すごく元気なおじさんが、とても多かった印象です。シンプルに女性が少ない。
この一文は鋭い。
「おじいちゃんが多い」という話は、実は「男性が多い」「女性が少ない」という話とも重なっている。
年齢層高めの男性ファンが実数としてどれだけいるかだけでなく、現場全体の男女比のなかで、その存在がどう見えるかの問題でもある。
50代でも若手に感じる現場
もうひとつおもしろかったのが、年齢感覚のズレである。
普通のアイドル現場なら、50代男性は「自分が浮いていないか」を気にする側かもしれない。
でも、つばき現場の話になると、自由記述にはこんな感覚が出てくる。
「自分も50代なので浮かないようにと思っていたが、さらに年上の人を見て安心した」
「40代後半なのに、男性ファンのなかでは若手寄りかもしれないと感じた」
これは、なかなか味わい深い。
つばき現場におじいちゃんは多いのか。
それとも、見る側の年齢感覚を試してくる現場なのか。
たぶん、両方だ。
突然踊りだす紳士たち
今回の自由記述で、強く印象に残ったのは、「突然踊りだす紳士」の存在だった。
開演前は静か。
普通のおじさん、あるいはおじいちゃんに見える。
ところがライブが始まると、驚くほど激しく踊り、コールを入れ、全力で楽しむ。
でも周囲への配慮は忘れない。
自由記述には、そんな人たちの目撃談が何度も登場した。
ひなフェスなどハロプロ合同イベントで古のハロプロ曲が始まるとそれまで静かだったおじいちゃんが突然元気にコールと振りコピをしだす瞬間が好きです
これは、なかでも興味深い回答のひとつだった。
静かだった人が、いにしえのハロプロ曲で突然スイッチが入る。
しかも、ただ騒ぐのではなく、身体に染みついたコールと振りコピが自然に出てくる。
これもまた、ハロプロ現場の歴史の厚みだと思う。
別の回答には、こんな短い一言もあった。
いやーもうコールが職人レベルよw
これだけで、現場の空気がかなり伝わる。
また、こんなエピソードもあった。
とあるつばき単独で2階一般席、舞台から離れた席にいました。開演2分前に還暦すぎくらいの大人しそうな方がそっと着席しました。しかしライブが始まったらなんのその、誰??????????というくらい踊り狂っていました。しかし近隣に迷惑をかけないスペースの使い方をされていてプロヲタク(?)としての配慮も感じました。
いい話だと思う。
開演前は静か。
始まったら踊り狂う。
でも周囲への配慮はある。
「おじいちゃん」という言葉で一括りにすると見落としてしまうが、そこには長く現場にいる人たちの作法や身体感覚がある。
自分は歴が1年の新参なので、古参の方々から見れば「何を今さら」と思われることだらけかもしれない。
ただ、今回の自由記述で、長く現場を見てきた人の証言を読めたのはありがたかった。
コールの作法、現場での距離感、昔のハロプロとの比較、つばき初期からの変化。
そういうものは、最近見始めた人間だけでは絶対にわからない。
この記事は、おじいちゃんを茶化すためではなく、そうした先輩オタたちが作ってきた現場文化を、少しでも見える形にしたいと思って書いている。
何と比べて、多いのか
アンケートを読むうちに、もうひとつ見えてきたことがある。
同じつばき現場を見ていても、「多い」と言う人と「そこまでではない」と言う人がいる。
最初は単なる意見の違いかと思った。
でも、自由記述を読んでいくと、違っていたのは比較対象だった。
アンジュルムやJuice=Juice、BEYOOOOONDS、OCHA NORMAを基準にしている人から見ると、つばきは年齢層高めの男性ファンが目立ちやすい。
一方で、昔のハロプロ、マノフレ、M-line、研修生現場などを基準にしている人にとっては、つばきだけが特別に高齢化しているとは見えにくい。
つまり、「つばき現場におじいちゃんは多いのか」という問いには、もうひとつ別の問いが隠れていた。
何と比べて、多いのか。

これはあくまで自由記述から見えた大づかみな整理であり、全員がこの通りに答えたという意味ではない。
ただ、「何を基準にしているか」で見え方が変わる、という傾向ははっきりしていた。
ハロプロは、ひとつの大きな共同体として横断的につながっている。
一方で、そのなかの各グループは、メンバーの加入や卒業、楽曲・現場の積み重ねによって、それぞれ異なる文化を作りあげてきた。
だから「ハロオタ」と一括りにしても、いつから何を見てきたか、どの現場を基準に考えるかは、人によってかなり違う。
今回の「つばき現場におじいちゃんが多い」という印象は、その複雑さがわかりやすく表れた例なのだと思う。
①若い女性ファンから見るつばき現場
つばきの若い女性ファンにとっての比較対象は、アンジュルム、Juice=Juice、BEYOOOOONDS、OCHA NORMA、あるいは近年の女性ファンが多く見えるアイドル現場になりやすい。
そうした現場と比べると、つばきは男性が多く見える。
年齢層も高く見える。
女子トイレが空いていることも、ひとつの体感指標になる。
「おじいちゃんが多い」というより、まず男性が多い。
その男性側の年齢層が高めに見える。
その結果、「つばき現場はおじいちゃんが多い」という印象になる。
若い女性ファンから見ると、年齢層高めの男性ファンは、自分とは属性が離れているからこそ強く印象づけられるのだと思う。
見落としてはいけないと感じたのは、ある10代女性からの回答だった。
盛れミきっかけにハロプロファンになりつばきファクトリー現場に行きましたが男性だらけなのと、ライブハウスの雰囲気もあって、ちょっぴり怖かったです、、つばきファクトリーの現場に行くことは自分はもうないです
この回答だけで、すべての人がそう感じると一般化することはできない。
ただ、長年現場に通っている人にとっては居心地のよい空間が、初めて来た10代女性にはまったく違って見える可能性があることは考えさせられた。
今回のアンケートでは、10代回答者は11人で、そのうち女性が10人、男性が1人だった。
20代も女性72人に対して男性18人で、若い回答者ほど女性が多い傾向が見えた。
だからこそ、若い女性ファンから見たときの「男性が多い」「年齢層が高い」「ライブハウスの雰囲気が怖い」という感覚は、丁寧に受け止めた方がいいと思った。
「女子トイレが空いている」という話は、常連にとっては現場あるあるかもしれない。
でも、初めて来た若い女性にとっては、「それだけ女性が少ない空間」として見えることもある。
これは、「つばき現場はおじいちゃんも居られる現場である」という話と矛盾しない。
むしろ、同じ現場でも、そこにいる人の年齢や性別、現場経験によって、安心できる空間にも、少し怖い空間にも見えるということだと思う。
②古参ハロヲタから見るつばき現場
一方で、50代以上男性や古参ハロヲタから見ると、つばき現場は少し違って見える。
この層の比較対象になりやすいのは、昔のハロプロ、マノフレ、M-line、研修生現場、あるいは他の古参寄りの現場のようだ。
そうすると、つばきだけが特別に年齢層高めとは感じにくい。
「もっと高齢層の多い現場もある」
「つばきだけ特別ではない」
「自分も安心して行ける」
という見え方になる。
自由記述のなかで印象的だったのは、次の証言だ。
正確に言うと、つばき現場のおじいちゃん率が何らかの理由で高くなったわけではないと思います。かつてのハロプロ現場は、だいたい似たようなものでした。しかし、時が経つにつれて、娘。やアンジュルムから若年女性の割合が増えていきました。
この見方は、とても重要だと思う。
つばきだけが急に変わったというより、他のハロプロ現場が変化していくなかで、つばきが相対的に「昔ながらのハロプロ現場」に見えるようになったということだ。
③つばき常連から見るつばき現場
つばき常連には、また別の見え方がある。
この層の比較対象は、他グループというより、過去のつばき現場、メンバーごとのバーイベ、ホールや個別など現場種別の違いになりやすい。
外から見ると「つばきは年齢層が高い」で終わる話も、常連の視点では時間の流れを伴って見えている。
たとえば、こんな声があった。
自分自身つばきファクトリーを結成当時から応援しておりfcイベントなど参加しています。結成当初からオタクにおじさんが多い印象でしたが、グループが年数を重ね新メンバーが入るたびにおじいちゃんが目立つようになったと感じます。
ここで語られているのは、「つばきは年齢層高め」という静止画ではない。
初期からいたファンが時間とともに年を重ね、その結果として見え方が変わってきたという話だ。
また、メンバーごとにファン層の印象が違うという声も多かった。
石井泉羽さん、福田真琳さん、小野田紗栞さんの名前が挙がっていたが、このあたりは「誰がどう支持されているのか」をもっと別に掘る余地がありそうだ。
④他グループがメインのファンから見るつばき現場
今回、特に参考になったのは、他グループを主現場にしながら、つばき現場にも来ている人たちの回答だった。
この層は、同じ時期の複数グループ、同じ会場、同じリリイベ形式などを横断して見ている。
だから、グループごとの差異に敏感だ。
実際に、普段BEYOOOOONDSをメインに見ているという人からは、こんな回答があった。
普段ビヨメインで応援してるので、地元のリリイベでつばきを見たことしかないのですが、新メン3人が入る前の現場でしたが、ビヨとは明らかに違う年齢層、客層を感じてビックリしました!もちろん、Theハロヲタ(いわゆるDD)みたいな人もいましたが、おじいちゃん!って人が多く感じました!
こういう証言は、つばき現場だけを見ていると出てこない。
他グループを主現場にしている人がつばき現場を見るからこそ、「あれ、ここは客層が違うぞ」と気づく。
アンジュルムやOCHA NORMAと比べると、つばきは年齢層高め・男性多めに見える。
一方で、ロージークロニクルや研修生現場の方がさらに年齢層高めに見える、という声もあった。
ここでもやはり、比較対象の違いがそのまま見え方の違いになっている。
つばきだけを見ていても、この話はわからない。
ハロプロ内の他現場がどう変化してきたか、そのなかでつばきがどう見えるかという相対的な問題として考えた方が、ずっとしっくりくる。
集計結果は、どう見ればいいか
ここで、アンケート結果も短く見ておきたい。

これは実態調査ではなく、Xで話題を見て自発的に回答した層の分布でもある。
回答者は女性が多く、年代では20〜30代が中心だった。
この偏りは重要だ。
だから、このアンケートで見えるのは「つばき現場の実数」ではなく、つばき現場の見え方だ。

現場経験者では、「かなりある」「ややある」が多数派。
現場経験者では、「年齢層高めの男性ファンが目立つ」と答えた人が多数派だった。
つまり、少なくともその印象自体は広く共有されている。
ただし、それは実数の証明ではない。
ここで問うべきなのは、「本当に多いのか」だけではなく、誰からどう見えているのかだと思う。

10〜30代女性では「高め」「目立つ」と感じる割合が高く、50代以上男性ではその割合が相対的に下がる。ここに比較基準の違いが表れている。
属性別に見ると、特に10〜30代女性では「年齢層高めに見える」「年齢層高めの男性ファンが目立つ」と答えた割合が高かった。一方で、50代以上男性ではその割合が相対的に下がる。
この差は、まさに今回のテーマそのものだと思う。
ただし、単純に「若い女性ほどそう感じ、男性高齢層ほど感じない」と言い切れるわけではない。40代男性など、比較的高く出ている層もある。
だからこそ、回答者自身の属性だけでなく、普段どの現場を基準にしているかの違いも表れていそうだ。
おじいちゃんも居られる現場
自由記述を読んでいて救われたのは、年齢層高めの男性ファンに対する、あたたかい視線も多く見られたことだ。
もちろん、臭いの問題や、頭髪に関する言及もあった。
前者に関しては、現場で不快な思いをした人がいることも、自由記述からは読み取れた。
でも、それだけではなかった。
静かに見ている人。
コール職人。
ライブが始まると急に激しく踊り出す人。
周囲に迷惑をかけないように楽しむ人。
女性ファンから見ても、微笑ましく、安心できる存在として語られる人。
自由記述のなかには、年齢層高めの男性ファン側からの、こんな言葉もあった。
30年近く前からのつんく。曲で慣れ親しんで来た人達がつばきが一番当時のつんく。曲のイメージが近いって楽しんでるっていうのもあると思います。
おじいちゃん多くてごめんね
それでもつばきを好きになってくれてありがとうございます!
この回答には、胸を打たれた。
「おじいちゃん多くてごめんね」という言い方には、自虐もある。
でも同時に、若いファンや新しく来たファンへの気遣いもある。
そして、「それでもつばきを好きになってくれてありがとうございます!」という一文には、長くハロプロを見てきた人から、あとから来た人への歓迎の気持ちがあるように感じた。
この記事で書きたいのは、年齢層高めの男性ファンを外から眺めておもしろがることではない。
長く現場に通ってきた人たちがいて、その人たちが作ってきた空気があり、その空気のなかに新しく来た人も入っていく。
そのとき、居心地よく感じる人もいれば、少し怖く感じる人もいる。
その両方を見ておきたい。
そして、今回いちばん印象に残ったのは次の記述だった。
様々な年齢層の方が多様な楽しみ方で、かつ明言されない一定の統率の中で共存するつばき現場は、ふと俯瞰すると異空間ではあります。しかし誰がいても安心できる心地よさは『高齢のおじいちゃん』に当てはまらない私にとっても大事な居場所です。
これが、今回のアンケートで見えてきたつばき現場のもうひとつの顔なのだと思う。
つばき現場は、若い女性ファンが多い現場ではないかもしれない。
年齢層高めの男性ファンが目立つ現場かもしれない。
でも、必ずしもそれが居心地の悪さにつながっていない。
むしろ、年齢も性別も楽しみ方も違う人が、同じ空間にいても成立している。
それが、つばき現場の不思議な許容度だ。
だからこそ、つばき現場は「おじいちゃんが多い現場」とだけ言うより、おじいちゃんも居られる現場であり、同時に、新しく来る人にどう見えるかも考えるべき現場なのだと思う。
つばき現場は、年齢感覚の違いが見える場所だった
今回のアンケートで見えてきたのは、「つばき現場におじいちゃんは多いのか」という問いへの単純な答えではなかった。
女子トイレの話。
突然踊る紳士の話。
50代でも若手に感じる話。
そして、同じ現場を見ても、比較対象によって見え方が変わるという話。
そうした証言を読んでいるうちに、「おじいちゃんが多い現場」というより、「いろいろな人が共存している現場」という印象の方が強くなった。
ハロプロのなかには、いくつもの現場がある。
グループごとの歴史がある。
加入と卒業がある。
楽曲や現場の空気が違う。
その積み重ねのなかで、ファンの比較基準も分かれていく。
OCHA NORMAを基準にする人。
アンジュルムを基準にする人。
昔のハロプロを基準にする人。
研修生を基準にする人。
つばきの過去を基準にする人。
同じ「ハロオタ」でも、見ているものは同じではない。
だから、同じつばき現場を見ても、「おじいちゃんが多い」と感じる人もいれば、「昔からハロプロはこうだった」と感じる人もいる。
このズレは、ややこしいと言えばややこしい。
でも、それこそがハロプロのおもしろさでもある。
つばき現場におじいちゃんは多いのか。
たぶん、ある程度は多い。
でも同時に、ハロプロ内では「多い」の基準そのものが揺れている。
つばき現場は、おじいちゃんが多い現場であると同時に、ハロオタの年齢感覚の違いを浮かび上がらせる現場でもあるのだと思う。
そして何より、今回の自由記述を読んで思ったのは、つばき現場はおじいちゃんも居られる現場だということだった。
その見え方のズレを、笑いながら、あたたかく語れるところに、つばき現場のよさがあり、ハロプロのおもしろさがあるのだと思う。
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