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In the Endから考える -努力は最後に何になるのか-

アメリカにリンキン・パークというバンドがある。

2000年代初頭、ロックとヒップホップ、エレクトロニカを混ぜ合わせたような音楽で、一気に世界へ出ていったバンドだ。

重たいサウンドのギター。

マイク・シノダのラップ。

そして、チェスター・ベニントンの歌。

チェスターの声はとても美しいのに、どこか壊れそうな物を持っていた。

このシャウトは怒っているようにも聞こえるし、泣いているようにも聞こえる。

リンキン・パークは、ただ激しい音楽をやっていたわけじゃない。

その音の中には、怒りや孤独、喪失感、自分ではどうにもできないものへの苛立ちが、いつもあった。

その中でも「In the End」は、今聴いても感情的に刺さる曲だ。

中学生の頃この曲を初めて聴いた頃は、ただただ格好いい曲だと思っていた。

そしてライブハウスでも2度演奏した。

でも、歳を重ねてから聴くと、少し重みが違う。

この曲は結局、

「あれだけやったのに、最後には何だったんだ。」

という感覚を歌っているように聞こえる。

時間をかけた。

努力をした。

何かを守ろうとした。

何かを積み上げようとした。

それでも、最後には崩れていってしまう。

これって、人生では意外と殆どがそうなんじゃ無いかと思う。

一生懸命やったのに負ける。

努力したのに選ばれない。

大切にしていたものが、自分の努力とは関係のないところでなくなる。

外部要因によって壊される事の多さ。

あの時間は、いったい何だったんだろう。

努力が報われなかったことよりも、

そこに費やした時間まで無駄だったように感じてしまうことのほうが、つらいのかもしれない。

「努力は裏切らない」

そんな言葉がある。

でも、本当にそうだろうか。

努力しても負ける。

努力しても届かない。

努力しても、人の気持ちは変えられない。

努力しても、環境が変われば積み上げたものが意味を失うこともある。

そして何より、

どれだけ努力しても、過ぎた時間だけは戻ってこない。

だから、努力には無常がある。

積み上げたものは、いつか崩れる。

手に入れたものは、いつか失う。

若い頃にできたことも、いつかできなくなる。

どれだけ頑張っても、人生そのものが永遠ではない。

それなら、努力なんて馬鹿らしい。

そう思うこともできる。

でも、それでも努力する。

結果が保証されていなくても。

失敗するかもしれなくても。

またやる。

もう少しだけやってみる。

ここが、なんだか人間らしくて美しい。

もしかすると、

努力する理由と、努力が報われることは、本来別の話なのかもしれない。

報われるから努力するのではなく、

やりたいからやる。

悔しいからやる。

負けたくないからやる。

何もしないでいるほうが嫌だからやる。

そして、いつか終わる。

それでも、その時間を渡してしまう。

そう考えると、努力って少し悲しい。

でも、「In the End」を凄いと思うのは、この悲しさを言葉で説明しなかったことだ。

もし、

「人生には、努力しても報われないことがあります」

と文章で説明したら、ただの人生論になる。

でも、リンキン・パークはそれを音にした。

重たいギターに。

ラップに。

メロディに。

そして、チェスター・ベニントンの声に。

言葉だけでは収まりきらない苛立ちや悲しみを、曲そのものにしてしまった。

だから聴いている側は、

「努力は報われないこともあるんだな」

と理解するんじゃない。

その虚しさや怒りや美しさを、感情として受け取る。

音楽って、そういうことができる。

悲しみを説明するんじゃなく、

悲しみそのものを鳴らすことができる。

努力が無駄だったかもしれないという虚しさ。

戻ってこない時間への悔しさ。

それでも何かを続けてしまう人間の姿。

「In the End」は、その全部を解決しない。

大好きで憧れだった、チェスター・ベニントンはもういない。

あれほど強い声で歌っていた人も、時間から逃れることはできなかった。

声は残っている。

曲も残っている。

でも、歌っていた本人の時間は戻ってこない。

それを知ってから聴く「In the End」は、以前より少し重い。

結局、最後には何が残るんだろう。

努力か。

結果か。

思い出か。

たぶん、どれも永遠ではない。

それでも人は、今日も何かをやる。

終わると分かっているものに、時間を使う。

失うと分かっているものを、大切にする。

報われるか分からないものに、それでも力を注ぐ。

もしかすると、それが努力なのかもしれない。

最後に何になるか分からないものに、それでも自分の時間を渡してしまうこと。

「In the End」を聴いていると、

そんな、少し悲しくて、

でもどこか美しいことを考えてしまう。

https://youtu.be/pnzlADbX9iI?si=l5BGiZD1yVoc8r-r


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