インドカレーに魅せられた牛。
日本を印度にしてしまえ!
……今から37年前。
大槻ケンヂら、筋肉少女帯によって
発動された、日本印度化計画。
水面下で進められていた計画は、
時を超え、ついに。
成就してしまったようだ。
今や夏場の最高気温は40度超え。
子供の頃、教科書に載っていた
ニューデリーの気温である。
そして、
街の至る所にあるインドカレー屋。
これをインド化と言わずして何と言う。
日本はインドに、なってしまったのだ。
……冗談はさておき。
結構な頻度でカレーを食べている
ムーさんなのだが、
実は昔。
カレーが嫌いだった。
なんなら憎んでいた。
意外に思うだろうか?
それは、私の特異な体質に起因している。
実は私は、
ジャガイモが食べられないのだ。
いわゆるアレルギーで、
子供の頃は特に反応がひどく、
誤って摂取した場合、
激しい嘔吐に見舞われていた。
馬鈴薯で作られたでんぷんにも
反応していたので、片栗粉もNG。
最近は、片栗粉程度なら
たくさん食べなければ問題はない。
でも、溶け込んでいるものはダメだし、
固形のものなんてもってのほか。
ポテチすら食べることができない。
……話を戻そう。
学校給食。
子供たちの誰もが、
歓喜に湧くメニューがあった。
そう。カレーライス。
そして、
笑顔あふれる教室でただ一人、
俯いている子供。
それが私だった。
みんなが美味しそうにカレーを食べる中、
私は、白いご飯だけを食べていた。
……福神漬けを乗せて。
給食のカレーには、入っていたのだ。
ジャガイモが。
給食だけではない。
あの頃のカレーは、
どこに行っても大体入っていたのである。
ジャガイモが、憎い。
あんなに美味しいものを食べられない、
自分自身が憎い。
日本のカレーが、憎い。
いつしか私は、
カレー絶対許さないマンになっていた。
あからさまにジャガイモが
入ってる料理は、食べなくてもわかる。
でも、カレーは食べてみるまで
わからないのがタチが悪い。
カレーパンマンも嫌いだ。
あいつもよく私を裏切ったから。
いつしかカレーを見ると、
諦めの感情が湧くようになった。
どうせ私には、食べることができない。
もうお店の人にいちいち
原材料を訊ねるのも、疲れてしまった。
そんな荒みきった私に、
転機が訪れたのは、
両親に連れられて、
新宿に行った時のこと。
お昼時、お腹が空いた私に母は言った。
いいところに連れてってあげる。
ちょっと怪しいんだけど。
何屋さん? ハンバーガーがいいな。
チーズバーガー食べたい。
カレー屋さんだよ。
えー、カレー……?
あからさまに嫌そうな顔をする私。
大丈夫! そこのは入ってないから!
まあまあ騙されたと思って!
さあさあ! 行くよ行くよ!
半ば無理やり連行されたその店は、
カレー屋でなかったとしても
入るのを躊躇うような、
エキゾチックな雰囲気が漂っていた。
新宿ボンベイ。
ターバンを巻いた
インド人が描かれたネオン看板。
怪しい。怪し過ぎる。
店内に入ると、
そこはもはやインドだった。
当然インドには行ったことなど
なかったのだが、
民族の服を着たウェイターさんに、
おそらく本場のコックさん。
暖色系の少し薄暗い照明に、
店中に立ち込めるスパイスの香り。
幼い私にとって、
もはやそれはインドだったのだ。
母はキーマカレー、父はチキンカレーを
頼んでいたのを覚えている。
私も父と同じものを注文した。
程なくして届けられたカレーを見て、
言葉を失った。
今まで知っているカレーの姿は、
どこにもなかった。
華やかなスパイスの香るカレー。
器を大きく飛び出した、
バターがたっぷり塗られた特大のナン。
一口、カレーと一緒に頬張った私は。
ぶっトンでしまった。
火を吹くほど辛いのに、
死ぬほど美味しい。
噴き出る汗も忘れて、
千切っては口に放り込み、
千切っては口に放り込む。
瞬く間にナンをお代わりする。
顔を上げると、父も滝のような汗を
かきながら、カレーを食べていた。
気付けばカレー嫌いの私は、
もうどこにもいなかった。
あれから幾星霜。
もうあのお店はないけれど。
今日も牛の心の中で、
大槻ケンヂが叫ぶ。
オレにカレーを食わせろ!


本場インドの人が作るマトンカレー。
noteを始めて、もうすぐ5ヶ月。
私のところに、初めてバトンが届いた。
「エッセイしりとり」のバトン。
この企画の仕掛人は、マイキーさん。
バトンを渡してくれたのは、みずさん。
受け取ったバトンは、「い」。
悩んだ挙句カメラロールを見ていたら、
数日前に食べたインドカレーの写真。
これだ。
そして今に至る。
みずさんと出会ったのも、
ちょうど5ヶ月ほど前。
流れてきた自己紹介の記事を読んで、
そのまっすぐな人柄に、自然と
引き込まれていったのを覚えている。
みずさんは、自分の感じた気持ちに、
まっすぐに向き合う。喜びだけではなく、
苦しみや悲しみにも。
私なら目を背けて逃げてしまうような
ことでも、目を逸らさず、
自分の心の動きを、言葉にしていく。
自分自身がいっぱいいっぱいでも、
そんな時でも、一歩を踏み出して
前へと進んでいく。
無事に、一つの目標を達成したみずさん。
これから紡いでいく物語が、
とても楽しみです。
次にバトンを渡したいのは、
Ejii✦3(えじー)さん。
お互い交流のあるフォロワーさんの
コメント欄で、ひょんなことから
仲良くなったえじーさん。
えじーさんの書く文章は、
とっても、心地がいいのです。
すぅーっと心に染み込んでいく。
そして、時に、ぶわっはは!と
笑ってしまう。
きっと、一度読んだら
みんな大好きになること間違いなしです。
私の思いつきレシピを
実際に作ってみたり、
自分の作品をシルクスクリーンにしてみたり。
ずば抜けた行動力にも、驚かされます。
私からは、「牛」を送ります。
じゃなかった。
えじーさん。「し」からお願いします🐮
