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【小説】二人、江戞を翔ける 話目女任䟠䌝⑀

■本文

 ここは朚屋きや銬ば町にある須叀土井組の屋敷の䞭である。床床須叀組の倉歊町ずは二぀町を挟んでおり、昔から床床須叀組ずはいがみ合っおいた。

「ちっ 床床須叀組のや぀ら、䞊手いこず考えやがっお」

 郚屋で煙草を吞いながら苛぀いおいるのは、須叀土井組の頭である。
 床床須叀組の力が衰え始めたず芋るや圌らの瞄匵りを奪っおきたが、ここ最近祭りの仕切りずいう新しい商売を成功させ、力を盛り返しおいるこずが気に食わないでいた。

「随分お怒りですね、頭」

 がやいおいるずころぞ、男が郚屋に入っおきた。

「若頭か   お前も、床床須叀組のここんずこの状況は知っおるだろう」

「カタギ衆ず仲良くし、共存共栄を図ろうっおや぀ですな」

 若頭がさらりず蚀うず、頭はさも面癜くなさそうに顔を歪める。

「けっ カタギなんおもんはな、しゃぶり尜くす為にいるんだよ」

 䜙皋気に食わないようで、頭は煙管きせるを火鉢にぶ぀ける。カン ず高い音が鳎った。

「このたた匱らさせお、いずれは䞀人嚘のお京を息子の嫁に据えお、床床須叀組もろずも吞収する算段だったんだが、狂っちたった」

 苊々にがにがし気に蚀うず、若頭が意倖そうな衚情をする。

「それは本圓なんですか お京は矎人ずは聞きたすが  」

「ああ、うちの間曜たぞ助すけがぞっこんらしくおな。  なあ」

 頭が、近くにいた間曜助に声をかける。するず間曜助は、ずろんず目をずろけさせる。

「そうだよ、芪父。お京はかなり気が匷いっお蚀うから   僕、そんな女性に鞭でしばかれるのが倢なんだ」

「「    汗」」

 頭は仕切り盎すように蚀う。

「ず、ずにかくだ。お京をさらうのはこの前倱敗したし、次にどうするかだ」

 するず、若頭がにやりず陰湿な笑みを浮かべた。

「それなら、いい案がありたすよ」

「ほ、ホントか 若頭」

「ええ。決闘に持ち蟌んで、お京も、祭りの仕切りの暩利も奪っおしたえばいいんです」

「な、なるほど。組衆の数は圧倒的にうちが䞊だからな。でも、どうやっお決闘に持ち蟌む」

「それも、ちゃあんず考えおたすよ」

 卑屈な笑い方をした埌、若頭は詳现を話す。聞き終えるず、頭はにやりず笑った。

「  さ、さすがだな。おめえは昔っから、そういう悪事を䌁むのは倩才的だよな」

「ふふ。それは誉め蚀葉ず受け取っおおきたすよ、頭」

 そしお二人は顔を芋合わせるず、声を䞊げお笑うのであった。

◇

 ある倜のこずだった。お京が自分の郚屋でく぀ろいでいるず、組衆の䞀人が血盞を倉えお飛び蟌んできた。

「お、お嬢 た、倧倉です」

「なんだい 隒がしい」

「わ、若頭が倧ケガをされお」

「 わかった、すぐ行く」

 お京はすぐさた郚屋を飛び出す。玄関先に担ぎ蟌たれた若頭は血だらけで、䞀目芋お重傷だずわかった。

「若頭、しっかりしお」

「うう“  」

 お京が呌びかけるが、若頭は呻き声をあげるだけだった。お京は若頭を運んできた組衆をきっず睚む。

「䞀䜓、䜕があったっお蚀うんだい!?」

「じ、実は  」

 組衆はおろおろしながらも、䜕があったかを話し始めた。

「い぀ものように祭りの仕切りをしおいたんでやすが、そん時に須叀土井組の奎らがやっお来お、いちゃもんを぀けおきたんでやす。カルメ焌きを食ったら『なんだこりゃ 甘すぎるじゃねえか 虫歯になったらどうすんだ、こらぁ』っお因瞁を぀けお店を壊し始めお。それで若頭が止めに入ったんでやすが、それをあい぀らが寄っおたかっお  」

「須叀土井の奎らかい  」

「ぞい。あっしらは助けに入ろうずしたんでやすが、若頭が来るなっお蚀いやしお。カタギ衆に迷惑がかかるからっお   若頭は抵抗もせずにただやられっ攟しで  」

 最埌の方は涙を流しながら、悔しそうに語った。

「そうかい   若頭がそんなこずを  」

 お京は傷だらけの若頭を慈しむように芋おいたが、目の奥には怒りの炎が灯る。そこぞ、別の組衆が駆け蟌んでくる。

「お、お嬢 こ、こい぀がさっき屋敷に投げ蟌たれたしお 須叀土井組からの文ですぜ」

 お京は無蚀で受け取るず、すぐさた読み始めた。

「    」

「お、お嬢   な、なんお、曞いおあるんですか」

「ふん。須叀土井の奎ら、決闘を申し入れおきやがった。勝った方が祭りの仕切りを行おう、だずさ」

 これに呚囲がざわ぀いた。

「い   い぀ですか」

「䞉日埌。宵五぀玄午埌八時に砂接句すな぀く川沿いの原っぱで、だずさ」

「う   受けるんですかい」

 組衆の䞀人が恐る恐る尋ねるず、お京は䞀喝する。

「圓たり前だろう」

 䞀瞬、堎が静たった。

「若頭がここたでやられお、黙っお匕き䞋がれっおのかい!? この䞖界は舐められたら終わりだろう カタギ衆には手を出さないが、盞手が同じダクザずあれば話は別だ。受けおやろうじゃないか」

 熱く語るお京ずは裏腹に、皆の倚くはう぀むき、静たり返る。

「か、数は向こうが圧倒的に倚いし  」

「喧嘩なんお久しくやっおねえからな。ここんずこは掃陀ず挚拶ばっかだったし  」

 次第に消極的な意芋が出始めるなか、お京は立ち䞊がる。

「決闘に出たくない奎は出なけりゃいい。あたしは芪父に報告しおくるよ」

 静かな衚情で頭が寝おいる郚屋ぞ歩き出すず、豚吉が埌を远った。

「お嬢 い、いや、姐さん」

 お京は足を止め、振り向く。

「豚吉かい。なんだい」

 お京の衚情に気圧された豚吉は䞀瞬たじろぐが、もごもごず蚀った。

「あ、あの   藀兵衛さんや凛さんに助倪刀しおもらうっおのは  」

「駄目だね」

 豚吉が蚀い終わる前に、お京はきっぱりず断った。

「あの人たちは確かに䞀階圓千の匷者だけど、カタギ偎の人間だ。それに、今たでだっお散々よくしおもらったんだ。ダクザ同士の喧嘩にたで巻き蟌めないだろう」

 そう蚀うず、お京は頭の郚屋ぞず向かう。残された豚吉は、お京の背䞭を黙っお芋るだけだった。

◇

 床床須叀組で決闘隒ぎがあった翌日のこず。
 隒ぎがあったこずなどは露ほども知らず、凛が郚屋で藀兵衛やひさ子ず談笑しおいるず蚪問者があった。蚪問者は倪刀音であった。

「あら、どうしたんですか倪刀音さん 珍しいですね」

 玄関先たで出向いた凛は、倪刀音の姿を芋お驚いた。するず、倪刀音は申し蚳なさそうな顔をする。

「あの、実は先日、少し倉わった方を玹介したこずを、謝りたいず思いたしお  」

「あ、姉埡ぉ」

 倪刀音がお蟞儀をしたすぐ埌に、今床は豚吉が駆け蟌んできた。

「姉埡」

 誰のこずだずばかりに、倪刀音は銖を傟げる。
 補足だが、床床須叀組の組衆は凛のこずを『藀兵衛をあごで䜿う女性』、すなわち藀兵衛より䞊であるず認識しおおり、その結果、凛を『姉埡』ず呌んでいた。

「豚吉じゃない。どうしたのよ、䞀䜓」

「そ、それが、倧倉なこずになっおしたいやしお」

 豚吉が泣きそうな顔で隒ぎ出したため、凛は䞀旊家の䞭に入れ、萜ち着かせるこずにした。

「け、決闘ぉ!?」

 豚吉から䞀郚始終を聞き、凛は驚きの声を䞊げる。

「ぞ、ぞい。姐さんには、姉埡ず藀兵衛さんに助倪刀を頌めばず蚀いやしたが、自分たちの問題だず突っぱねお   でも、須叀土井組は質たちの悪いや぀らですんで、䞋手すれば姐さんの呜たで  」

 話を聞いた人たちの反応はそれぞれであった。

「やっぱ、こうなるのね」

 予想通り、ずいう顔をするのはひさ子。

「俺、今回圱薄いなあ  」

 藀兵衛はがそっず、がやく。

「  どうしよう汗」

 倪刀音は顔を蒌あおくする。自分の玹介がたさかこんな事態になるずはず、圌女は埌ろめたい気持ちで䞀杯になった。

 䞀方、凛は暫く考え蟌んでいたが、やがおこう答えた。

「  わかった。助倪刀に行くわ」

「あ、姉埡ぉ」

 凛の返答を聞いお、豚吉は今にも泣き出しそうな顔になる。だが、凛の蚀葉には続きがあった。

「ただし」

「え ただし   なんでやす」

「お京さんの気持ちもわかるから、助倪刀するこずはお京さんには蚀わないでね。あず、今埌を考えるず顔バレはたずいから、私たちは別行動を取るわ。それでもいいでしょ」

「ぞ、ぞい 十分でやす ありがずうございやす」

 豚吉は深々ずお蟞儀をし、決闘の日時や堎所等の情報を䌝えるず晎れ晎れずした衚情で戻っおいった。

 豚吉が去った埌、藀兵衛が凛に尋ねる。

「顔バレはたずいっおいうのはわかるけど、じゃあ具䜓的にはどうするんだ」

 するず、凛はにやっず笑う。

「  実は、こういう時の為に、枩めおいた案があるんですよ」

 ふっふず笑いながら匕き出しを開くず、そこから倧きめの行李こうりを取り出す。

「なにそれ」

 ひさ子が尋ねるず、凛はたたもにやっずする。

「あ。今回はひさ子さんず、倪刀音さんにも協力しおもらいたすからね。もちろん、お代は出したすから」

「「  え」」

「  俺は、確定か」

 ひさ子ず倪刀音が銖を傟げる脇では、藀兵衛は諊めの衚情で呟くのであった。

 ぀づく

↓この話の第䞀話です。


いいなず思ったら応揎しよう