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哲学対話書簡 「大人になるってどういうこと②」

うまく言葉にならなくてもいい。
考えがまとまらなくてもいい。
思いつくままにゆるりと、けいこさんと始めた哲学対話書簡です。
気になるテーマがあれば一緒に考えてみませんか。「#哲学対話書簡」で投稿お願いします。

大人になったら変わるんだと思っていた。

大人になったら、人見知りじゃなくなる。
大人になったら、物を捨てられるようになる。
大人になったら、なんでも自分の意志で決められるようになる。

大人になったらなりたい自分になれると思っていた。

4月に新しい職場に移った。最近ようやく、自分らしくいられる時間があることに気が付いた。帰宅間際に同僚との会話で大笑いしていた。タイムカードを押して建物の外に出た時、やっと慣れてきたなと思いつき歩き出す。
暑い。やっと家に辿り着き、べたつく肌をシャワーで洗い流す。いつものソファにどかりと座る。
片付かない部屋が目に入り、今度の休みにやろうと思う。片付けを始めたとしても、やる気を出して買ってきたゴミ袋は1,2枚使うかどうかになるだろう。いつものことだから、落ち込まない。
スマホを開き、次の旅行のチケットやずっと買い換えたいと思っている家電を検索する。今日はブックマークしたり、手帳にメモしたりしたからだいぶ進んでいる。気が付いたら30分以上経っていた。どれも決め手に欠ける気がして、また今度にする。

大人って、ササっと自分をご機嫌にできる人だと思っている。
気楽に話せたり、快適な生活空間を創れたりしたらもっとご機嫌になれるんだろうな。


どうやら僕は、大人ということらしかった。
怒らない、物わかりのいい態度、我慢、分別のある行動、感情を顔に出さない。そんなことばかり求められる。
「大人なんだから、まあまあ」
大人の対応ってやつを求められる。

小さな本屋に行った。
店内が寒い。お店の人が話しかけてくる。
外との気温差に話が入ってこない。くしゃみが出そうになる。
鼻をつまんだりして何とか抑える。
「外暑かったですよね。涼んでいってくださいね」
とニコニコ言われ、「いやあ、もう汗だくで」とニコニコ返す。
これは絶対にくしゃみできない状況を作ってしまったと後悔しながら、また鼻をつまむ。
店員さんが離れた隙に光に目を向ける。

ぶずん

鼻をつまんだまま、大きな音を出さないように気を付けたくしゃみ。
聞いたことがない音が自分の鼻から聞こえた。
分別のある大人のくしゃみは難易度が高かった。


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