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東京旅行1日目|叙々苑と夫、わたしの中のぜいたく

わたしは地方に住んでいる。
普段は節約を心がけていて、焼肉もほとんど外では食べない。
だいたい家で焼く。
そもそも、あの有名な 叙々苑 も近くにない。
だから当然、行ったこともなかった。

東京旅行の一日目。
せっかくの東京だし、たまにはぜいたくしようか、と店を調べた。

高級ホテルのディナーも候補に出た。
たとえば コンラッド東京 のレストラン。
でも、焼肉好きの娘たちの顔が浮かんで、最終的に選んだのは叙々苑だった。
「芸能人も来るらしいよ」という、ちょっとミーハーな気持ちも正直あった。

東京初日の夜。
家族そろって、なぜか緊張しながらお店を訪れる。

コートを預かってくれて、
さらに服が汚れないように、上から布までかけてくれた。
家族のテンションは一気に上がった。

夫はというと、
事前に「おすすめベスト5」を調べて、スマホにメモまでしてきている。
それを自慢げに見せながら、次々と注文していく。

わたしは内心、
「ちょっと頼みすぎじゃない?」と止めたくなった。
でも、ここは東京初日。
夫なりに張り切っているのだろうと思うと、口をつぐんだ。

しばらくして運ばれてきた
「上タン塩」の大皿を見た瞬間、わたしは言葉を失った。

はじめに運ばれて来た上牛タン塩


20枚が2枚のお皿に10枚ずつ、きれいに並んでいる。
しかも、その時点で、すでに他にも10皿近く頼んでいた。

怖くなって値段を確かめると、
牛タン塩だけで2万円。

さらに、牛カルビ、鶏、豚のお皿が次々に届き、
テーブルの上は、もはや焼肉の展示会のようになった。
お腹も、心も、すでにいっぱいである。

恐る恐る店員さんに聞いた。
「今から、まだ届いていない残りのお皿ってキャンセルできますか……?」

「大丈夫ですよ」

その一言に、心の底からホッとした。

結局、お会計は5万円。
夫は「あなたの論文の副賞でもらったお金で食べよう」と言った。
でも、それはどうしても使いたくなかった。
あれは、わたしが頑張った証のようなお金だから。何日も繰り返し読み直し訂正を繰り返して書き上げた成果だから。

代わりに、
2月、連日の残業を頑張っていた夫のお金から出すことになった。

そう思ったら、不思議と心がやさしくなった。
「たまには、いいよね」と思えた。

それにしても――
本当に、高かった。
でも、美味しくて、忘れられない贅沢な夜になった。
夫に何故かありがとうと思った。  

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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今後も、日々の思いや学びを綴っていきます。

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