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飛行への夢
Dream of Flight
人類は古くから、鳥のように空を飛ぶことを夢見てきた。
神話や伝説には、翼を持つ存在や空を飛ぶ人間が繰り返し登場する。
しかし長い間、それは人間には到達できない世界だった。
飛行の歴史を振り返ると、ある日突然、一人の天才が飛行機を発明したわけではないことが分かる。
数世紀にわたるその積み重ねによって、人類は少しずつ空へ近づいてく。
レオナルド・ダ・ヴィンチ|空を観察する
15世紀、レオナルド・ダ・ヴィンチ は鳥の翼や飛行を観察し、多くの飛行機械を構想した。
羽ばたき式飛行機、滑空機、パラシュートに似た装置、そして回転翼を利用する「 空気ねじ 」、これらの多くが実際に飛行したわけではない。
しかし レオナルド は、単に「 人間にも翼があれば飛べる 」と考えていたわけではなかった。
鳥はどのように翼を動かすのか、空気はどのように作用するのか、人間を空へ運ぶには、どのような機械が必要なのか。
飛行という夢を、自然を観察することで考え始めた。
モンゴルフィエ兄弟|人間が空へ上がる
大きな転換が訪れたのは1783年だった。
フランスの モンゴルフィエ兄弟 が熱した空気を利用する気球を開発。
同年11月21日、ピラートル・ド・ロジェとダルランド侯爵を乗せた熱気球がパリ上空を飛行した。
人間が自由飛行する航空機によって空を移動した、歴史的な瞬間だった。
人類はついに、「 人間は空へ行けるのか 」という問いに答えを出した。
ただし気球は、基本的には風とともに移動する。
どうすれば、自分の意思で飛べるのか。
ジャック・シャルル|別の原理から空へ
同じ1783年、もう一つの飛行技術が登場する。
物理学者 ジャック・シャルル は、空気より軽い水素を利用した気球を開発し、12月1日、シャルル と ニコラ=ルイ・ロベール は有人水素気球による自由飛行に成功する。
モンゴルフィエ兄弟 は、空気を加熱して密度を小さくした。
シャルルは、最初から空気より軽い気体を利用した。
異なる物理原理から、人類は同じ空へ到達したのである。
シャルル の名はその後、気体の温度と体積の関係を示す 「 シャルルの法則 」にも残る。
気体を理解し、その性質を利用する。
飛行は、科学とも結びつきながら進み始めた。
ジョージ・ケイリー|飛行を分解する
19世紀初頭、イギリスの ジョージ・ケイリー は、飛行をさらに別の方向へ進めた。
気球のように「 浮かぶ 」のではなく、翼によって飛ぶ機械 を考えた。
ケイリーは飛行に働く力を、揚力・重量・抗力・推力 という関係から考え、固定された主翼、胴体、尾翼、独立した推進装置という、現代の飛行機につながる基本構造を構想した。
翼は機体を支え、推進装置は前へ進ませる、尾翼は安定を助ける。
「 飛ぶ 」という一つの夢が、解決すべき複数の問題へ分解された。
オットー・リリエンタール|何度も飛ぶ
19世紀末、ドイツの オットー・リリエンタール は、鳥の翼を研究し、自らグライダーを製作し、そして自分自身が乗り込んだ。
1891年から1896年までに行った滑空飛行は、2,000回を超えるとされる。
リリエンタール によって飛行は、一度だけ成功させる挑戦から、繰り返し実験できる技術 へ変わっていった。
1896年、リリエンタール は飛行実験中の事故によって死亡する。
しかし彼が残した研究と飛行記録は、次の世代へ渡った。
ライト兄弟|飛行を制御する
その研究を受け取った人々の中に、ウィルバーとオーヴィルの ライト兄弟 がいた。
兄弟 が特に重視した問題は、操縦だった。
空へ上がるだけでは足りない、人間が意図した方向へ機体を動かし、姿勢を修正できなければならない。
兄弟 はグライダー実験を繰り返し、翼ねじり、昇降舵、方向舵を組み合わせた操縦方式を研究し、既存の翼データと実験結果が合わなければ、自分たちで風洞を作って測り直した。
十分なエンジンがなければ作った。
航空用プロペラの理論が足りなければ、自分たちで考えた。
そして1903年12月17日、Wright Flyer がノースカロライナ州キルデビルヒルズで地面を離れる。
最初の飛行は12秒、約36.5メートル。
その日4回目の飛行では、59秒、約260メートルを飛んだ。
人類はついに、動力を持ち、自ら前進し、人間が制御して飛ぶ固定翼航空機
へ到達した。
一つずつ、空への問題を解いた
Leonardo da Vinci : 空を観察し、飛行機械を考える。
↓
Montgolfier Brothers : 人間を空へ上げる。
↓
Jacques Charles : 異なる気体の性質から空へ上がる。
↓
George Cayley : 飛行を力と構造へ分解する。
↓
Otto Lilienthal : 人間が翼に乗り、何度も飛ぶ。
↓
Wright Brothers : 動力・翼・推進・操縦を一つに統合する。
誰か一人が、すべてを発見したわけではなく、一つの問題が解決されるる度に現れる新しい問題を、次の人が受け取り解決しいく。
飛行への夢が残したもの
飛行の歴史は、人間が空へ到達した物語であると同時に、知識が世代を越えて積み重なっていく物語 でもある。
それぞれが残した観察、実験、機体、記録が次の世代へ渡っていった。
数百年にわたって続いた一つ一つの挑戦が接続したとき、人類は、自らの意思で空を飛べるようになった。
飛行への夢を現実にしたものは、一つの奇跡的な発明ではない。
まだ飛べなかった時代に、それでも次の一歩を試した人々の積み重ねだった。

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