MVP ARCHIVE HISTORY | Flight : The Wright Brothers 1903 / ライト兄弟 - 人類が空を移動する時代の始まり

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人類が「空を移動する」時代の始まり
1903年12月17日、アメリカ・ノースカロライナ州、キティホーク近郊のキル・デビル・ヒルズ。
この日、ライト兄弟 が開発した Wright Flyer が、人を乗せた動力飛行機による制御された持続飛行に成功した。
最初の操縦者は弟の Orville Wright(オーヴィル・ライト)。
飛行時間は、わずか12秒、飛行距離は約36メートル。
現代の航空機から見れば、ほんの一瞬の飛行だった。
しかし、この12秒によって人類と空の関係は大きく変わった。
人間が空を見上げるだけではなく、自らの意思で飛行する時代が始まったのである。
飛行への挑戦
人間が空を飛ぼうとした歴史は、ライト兄弟 から始まったわけではない。
19世紀には気球や飛行船が実用化され、グライダーによる飛行実験も行われていた。動力を搭載した飛行機の試みも存在した。
1903年以前にも、人間はすでに「 空へ浮かぶ 」こと自体には成功していたが、飛行機を実用的な乗り物にするためには、それだけでは足りなかった。
機体を空中へ持ち上げる揚力、前へ進ませる推力、そして、もう一つ不可欠なものがあった、操縦である。
飛び上がることができても、進む方向や姿勢を人間が制御できなければ、飛行機を自由な移動手段として使うことはできない。
ライト兄弟 が追求した最大の課題の一つが、まさにここだった。
Wright Flyer
ライト兄弟 が1903年に完成させた Wright Flyer は、グライダー実験を繰り返しながら、航空機を三つの方向に制御する方法を発展させていった。
機体を左右へ傾けるロール、機首を上下させるピッチ、機首を左右へ向けるヨー、Flyer では、翼そのものをねじる Wing Warping( ウィング・ワーピング ) によってロールを制御した。
前方に配置された昇降舵によってピッチを制御し、後方の方向舵によってヨーを制御する。
現在の航空機とは具体的な機構こそ異なるが、航空機の姿勢を三軸で制御するという基本的な考え方につながっている。
ライト兄弟 が実現した重要なものは、
「 飛ぶこと 」だけではなく、「 飛んでいる機体を操ること 」だった。
Kitty Hawk
ライト兄弟 が実験地として選んだのは、ノースカロライナ州の海岸地域 Kitty Hawk、1903年の歴史的飛行が行われた地点は、その南に位置する Kill Devil Hills である。
安定した風、障害物の少ない広い土地、そして着陸時の衝撃を和らげる砂地、兄弟は1900年からこの地域でグライダー実験を繰り返した。
既存の揚力データと実際の飛行結果が一致しないという問題にも直面した。
そこで兄弟は自ら小型の風洞を製作し、さまざまな翼型を実験する。
Flyer は、一度のひらめきによって突然生まれた機械ではない。
実験と修正の積み重ねから生まれた航空機だった。
1903年12月17日
そして1903年12月17日、最初の飛行では、オーヴィルが操縦した。
12秒、約36メートル。
兄弟はその日、交互に操縦しながら4回の飛行を行った。
最後となった4回目。
操縦したのは兄の Wilbur Wright(ウィルバー・ライト)。
Flyer は、59秒、約260メートル を飛行した。
最初の12秒から、同じ日のうちに飛行時間と距離は大きく伸びていた。
人間を乗せた動力飛行機が離陸し、操縦されながら空中を進む。
それが偶然の一度だけではなく、同じ日に繰り返された。
航空機が技術として成立する可能性が、現実のものとして示された瞬間だった。
制御飛行という革命
ライト兄弟 の功績を「 人類初飛行 」という言葉だけで表せない。
飛行に必要なのは、揚力と推力だけではなく、人間が機体を制御できなければならなず、操作が可能になって初めて、航空機は単なる実験装置から「 乗り物 」へ近づいていく。
ライト兄弟は、人類をただ空中へ浮かせたのではない。
空中で人間の意思を反映できる機械を作った。
ここに Wright Flyer の本当の革命性がある。
Legacy
1903年の飛行から、航空技術は急速に発展していく。
航空技術の一部は、ロケットや宇宙開発へと接続していった。
わずか数十年の間に、人類は大陸と大洋を空から越えるようになる。
さらにその先には、地球そのものを離れる時代が待っていた。
その出発点にあったのが、ノースカロライナの砂丘から飛び立った一機の小さな飛行機だった。
ライト兄弟 が残したものは、Wright Flyerという一機の航空機だけではなく、人間が機械を操り、自らの意思で空を移動できるという可能性を現実の技術へ変えたこと。
1903年12月17日、12秒、約36メートル。
その短い飛行を境に、空は人類にとって、見上げる場所から、移動する空間へと変わり始めた。

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