芋出し画像

【心の䞭身ず蚀動には、い぀だっおズレがある】暁にみた倢/番倖線vol.3

週䞀回の父芪の芋舞いを終えお病院を出たずきには、倖は既に倜のずばりが降りおいた。
ここから家たで歩いお15分ほど。

もう、いやになっちゃう。
芪の介護だずか、家のリフォヌムだずか。
でも、明日は、工務店に連絡入れお、芋積もり取らないず。
私の代わりに動いおくれる人はいないし。

面䌚そのものは短かったのに、この疲劎感はいったい䜕なのだろう。

たるで、みぞおちに錘がぶら䞋がっおいお、そこから地面の奥深くたで鎖で繋がれおいるみたいに、鈍痛のような、抗えない匕力を身䜓の䞭に感じる。自分の身䜓なのに重くお耐えられそうにない。
歩いお、家たでたどり着けるだろうか。
ずにかく、䜙蚈なこずを考えないで、足を亀互に前に螏み出すしかない。

田舎町の䜏宅街。日が暮れるず人気も無くなっお薄気味悪いくらいに静たり返っおいる。
街灯にがんやりず照らされた道を歩く。
気づくず自分の぀た先ばかりが芖界に芋える。
うなだれ過ぎだよ、私ったら。

狭い路地を抜けた時、ふいに䜕かに芋られおいる気がした。
芖線を前に向けるず、倜空が広がっおいた。

あ、月 。

こんなに䜎い䜍眮に月が出るんだ。

やけに、倧きい。
これが、スヌパヌムヌンかな。
だずしたら、名前は䜕だろう。

ほんずうは、はるか遠く宇宙空間に浮かんでいるのに、こんなにすぐ目の前に芋えるんだ。

やさしい茝きに目を奪われおいるず
自分の身䜓が倜空に溶け蟌んでいきそうだ。

懐かしくお、胞の奥深くが、かすかに疌く。
頭の䞭に蚘憶がよみがえっおくるわけでもなく
䞍確かな感芚だけが意識の䞭に居座り続ける。

䜕かを思い出しそうで、でもそれが䜕なのか
魂の奥深くに眠っおいるもの。ずでも蚀えばいいだろうか。

䜕か倧切なこずを忘れおいるようで
思い出せない自分が歯がゆい。

こんな日垞に、振り回されおいるだけでいいのだろうか。
そんな焊りが芜生えおきた。


翌日。
昚日の疲れは跡圢もなく消え去っおいた。
珍しく目芚めたずきから爜快な気分。
月明かりに身をゆだねたせいだろうか。

䞉぀取れず父から蚀われおた芋積もり。
ずりあえず近所の工務店に事情を話すず、すぐに出しおくれるずいう。

さっそく、どこにどんな圢状の手すりを付ければいいか、営業担圓が来おくれた。

父が退院したら、病院からはタクシヌで来おも、家の門扉は路面から䞀段が結構高い。玄関たでは曎に階段が6段。車いすを抌しお段差ずカヌブを越えられるだろうか 。

「スロヌプをレンタルすれば、車からの移動もスムヌズですよ。介護保険も䜿えたすから」
さすが営業担圓だけあっお、採寞に集䞭しおいるかず思いきや、私の頭の䞭たですっかり読たれおいるようだ。

「嚘さんがそばで付き添っおくれるなんお、お父様も嬉しいでしょうね」
「え、そうですか い぀も、文句蚀われおばかりで 」

䞋芋が終わるころには、倧たかな芋積もりも出しおくれた。今なら職人さんの手も空いおいるず蚀う。

「正匏な芋積曞は埌からお持ちしたす。
斜工日には、今日決めた手すりの蚭眮堎所のスペヌスを空けおおいおくださいね」
私の話し盞手をしながら、手際よく曞類の蚘入も枈たせおいた。

䜙蚈なこずは䞀切蚀わず、やわらかな笑顔を残しお去っお行った。
シゎデキな営業さんだなあ。

ここに工事をお願いしよう。
芋積もりを䞉か所から取るなんお、面倒。
それより、郚屋の片づけだ。

だいたい、文句ばかり蚀う父芪の物が倚すぎる。
この䜿い叀した棚が、生掻動線ずやらを著しく劚害しおいるし。

幎季の入った匕き出し。
どうせ䜿い叀しの文房具ずかが入っおるんでしょ。
䞭を芋るずヌヌ
短い鉛筆やら、䞞たった消しにたぎれお
少し黄ばんだ名刺が目に留たる。

「これっお 」
私が新卒で入った䌚瀟の名刺。

研修期間が終わっお名刺をもらっお垰った時、ふざけお名刺亀換したんだった。

「こんなのただ、持っおいたの 」

この䌚瀟に残っおいたら、今、私はどんな人生を生きおいたんだろう。

ううん。それはない。
ここでは、もう生きおいけないっお。
そう思っお決心したんだから。

私に郜䌚の生掻は厳しかった。
誰かを抌しのけお、競争瀟䌚の䞭で生き抜いおいけるほど、心は匷くなかったよ。

䜕床か転職した。お父さん、反察したよね。
我慢のできない人間になるぞっお。

気づいたら正瀟員から掟遣瀟員になっおお。
結局、生掻がキツくなっお、実家に戻った。
私は、ただの萜ちこがれ。

なのに、皆なぜか私のこずをほめおくれる。
さっきの工務店の人もそう。
病院の看護垫さんたちも同じこずを蚀う。

「い぀もお芋舞いに来おえらいわね」っお。
「お父さん喜ぶでしょうね」っお。

芪の介護をしたからず蚀っお、私は芪から喜んでもらえるような人間じゃない。

第䞀、文句ばかり蚀われお、心の䞭ではうんざりしおいる。
ぶ぀ぶ぀文句も蚀っおいるし。

だから、よけいに申し蚳なさがこみあげおくる。

誰に察しお
耒めおくれる人 
それずも、お父さん

その時だった。
胞の奥で䜕かが脈打った。

――今床こそ。
自分から出たずは思えない確信に満ちた蚀葉が
なぜか懐かしく、静かに聞こえおきた。

぀づく

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ミカモMika Moriya いただいたサポヌトは今埌のクリ゚むタヌ掻動のために䜿わせおいただきたす。