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突然15人と売上を任された。私が管理を「仕組み」に変えた理由

上司が休職し、私は突然、中間管理者になりました。

担当することになったのは、国内の部下5人と海外子会社のメンバー10人。さらに、チーム全体の売上も管理しなければなりませんでした。

それまでは、自分の担当業務を正しく進めることに集中していました。しかし、管理する側になると、それだけでは足りません。

誰が何を担当し、どこまで進んでいるのか。売上と利益はどうなっているのか。納期に遅れそうな案件はないか。

最初に困ったのは、人の多さではありません。判断に必要な情報が、すぐに見えなかったことです。

この経験から、管理とは人を細かく追うことではなく、必要な情報が同じ基準で集まり、問題が起きる前に気づける状態をつくることだと考えるようになりました。




1. 突然、管理する側になった

管理する側になって、仕事を見る視点が大きく変わりました。

自分の担当だけであれば、今日やるべき作業と納期を把握していれば、ある程度は進められます。

しかし、15人が複数の案件を担当している状態では、一人ひとりに状況を聞くだけでは全体をつかめません。

国内メンバーの案件だけではなく、海外子会社へ依頼している作業の進捗や効率も確認する必要があります。さらに、案件ごとの売上をまとめ、チーム全体の実績として報告しなければなりません。

中間管理者は、上から求められる売上や利益と、現場で実際に動いている案件の間に立ちます。

売上だけを追えば、現場の工数や品質を見落とします。反対に、作業の進み具合だけを見ていれば、チームとして必要な数字を説明できません。

両方をつなげて見ることが、私に求められた役割でした。

ここで難しかったのは、作業の内容と売上の数字が別々に存在していたことです。

案件が進んでいても、担当者別の売上が正しいとは限りません。売上が計上されていても、予定した工数の中で作業できているかは分かりません。

私はまず、15人の仕事を同じ基準で見られる状態をつくらなければならないと考えました。


2. 報告資料だけで、約2日かかっていた

当時、月次や四半期の報告資料をまとめるのに、約2日かかっていました。

時間をかけて資料を作っても、個人別の売上が正確に見えないという問題が残っていました。

一つの案件をメイン担当とサブ担当で進める場合、売上をどのような比率で配分するかが統一されていなかったからです。

配分方法が案件ごとに異なれば、個人の実績を正しく比較できません。チーム全体の売上が合っていても、その内訳を管理や評価に使うのは難しくなります。

海外子会社についても、総作業件数だけでは状況を判断できませんでした。

作業件数が多くても、予定より長い時間がかかっていれば、効率が良いとは言えません。反対に、件数が少なくても、難しい案件を短時間で完了している可能性があります。

必要だったのは、単に数字を増やすことではありません。

売上、工数、進捗、品質を、同じ定義で確認できる仕組みでした。


3. 人を追うのではなく、情報が集まる仕組みへ

そこで私は、案件管理表をつくりました。

案件ごとに、次の情報を同じ形式で記録できるようにしました。

  • クライアントと案件の詳細

  • 見積金額、納期、進捗率

  • メイン担当とサブ担当

  • 担当者ごとの売上配分

  • チーム全体の売上と利益率

  • 総作業件数

特に見直したのが、メイン担当とサブ担当の売上配分です。

担当区分ごとの配分比率を決め、同じルールで計算できるようにしました。これにより、誰がどの程度案件に関わったのかを、共通の基準で確認できるようになりました。

何でも入力項目にすれば、詳しい管理表はつくれます。しかし、入力の手間が増えすぎると、更新されなくなります。

私は「管理者が判断するために本当に必要か」という基準で項目を絞りました。情報量よりも、無理なく更新を続けられることを優先しました。

さらに、入力項目だけではなく、更新のタイミングや数字の定義もそろえました。

集めた情報は、ダッシュボードで確認できるようにしました。

報告の時期になってから数字を集め直すのではなく、普段の入力がそのまま進捗確認と報告につながる形です。

管理者が一人ずつ追いかけなくても、必要な情報が自然に集まる流れを目指しました。


4. 工数と不具合を、同じ基準で見る

海外子会社の作業効率は、案件ごとに次の式で確認しました。

作業効率=目標工数÷実績工数×100

100%であれば、予定した時間どおりです。100%を超えれば、目標工数より少ない時間で完了したことを示します。

この基準で案件ごとの実績を確認し、平均約110%を維持できるようになりました。

ただし、作業効率だけを見ればよいわけではありません。

短時間で完了しても、不具合や再作業が増えれば、チーム全体の負担は大きくなります。そこで、不具合管理ツールも作成しました。

再作業発生率は、月の総作業件数を分母にして確認します。

再作業発生率=再作業が発生した作業件数÷総作業件数×100

分母を総作業件数に統一することで、月によって仕事量が変わっても、同じ基準で比較できます。

不具合と再作業を記録し、確認方法を見直した結果、再作業発生率を月約10%から約4%まで下げ、その水準を維持できました。

工数と品質を別々に見るのではなく、両方を確認することで、本当の意味で効率が上がっているかを判断できるようになりました。


5. 問題が起きる前に、気づける管理へ

ツールの導入後は、ダッシュボードから最新の案件状況、売上、利益率を確認できるようになりました。

月次や四半期の報告資料も、ゼロから数字を集める必要がなくなりました。その結果、作成時間は約2日から約3時間に短縮しました。

納期管理の方法も変わりました。

以前は、確認した時点ですでに納期が近づいている案件もありました。導入後は、納期と進捗率を一緒に確認し、遅れにつながりそうな案件を事前にチェックできるようにしました。

ダッシュボードの目的は、誰が遅れているかを並べることではありません。

支援が必要な案件を早く見つけ、納期までに何を決めるべきかを判断することです。

問題が起きてから理由を確認するのではなく、問題になる前に担当者へ確認し、対応を決める。

この流れを続けることで、納期超過率を3%未満に維持できました。

最も大きく変わったのは、報告が速くなったことだけではありません。

管理のタイミングが、「結果を集計する仕事」から「問題の兆候を見つける仕事」へ変わったことです。


まとめ

中間管理者になったばかりの頃、私は15人の状況を自分ですべて把握しなければならないと考えていました。

しかし、人数と案件が増えるほど、個人の記憶や確認だけでは限界があります。

必要だったのは、管理者が頑張って人を追い続けることではありませんでした。

売上、工数、進捗、品質を同じ基準で記録し、チーム全体で共有できる仕組みをつくることでした。

もちろん、管理ツールは作るだけでは機能しません。入力基準や更新ルールが人によって違えば、数字は再び信用できなくなります。

ツールと運用ルールをセットで整えて、初めて管理に使える情報になります。

突然、中間管理者になった私が最初に変えたのは、人ではなく情報の流れでした。

経験や感覚だけに頼らず、数字を見ながら先に動く。その仕組みが、15人とチームの売上を管理するための土台になりました。

皆さんの職場には、報告のたびに集め直している数字や、担当者に聞かなければ分からない仕事はありませんか。




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