残業を約30%減らして気づいた、技術者としての役割
「どうして、こんなに残業が増えているんだろう」と原因を調べてみると、問題は作業の速さではなく、依頼の出し方にありました。今回は、この経験から私の仕事に対する見方がどう変わったのかをお話しします。

1. 残業が非常に多い状態から始まった
残業がかなり多い時期がありました。
なかでも、時間を使っていたのがモデルの確認です。
モデルを確認するために、残って対応することが増えていました。
残業が増えると、つい作業時間の合計ばかりを見てしまいます。
けれど、それだけでは何を変えればいいのか分かりません。
そこで私は、「何時間残ったか」ではなく、
「どこで残業が生まれているのか」を見てみることにしました。

2. 残業の発生原因を分けて見る
まず確認したのは、どの工程で時間が増えているのかということでした。
順番に追っていくと、作業そのものだけでなく、モデル確認の前後で発生するやり取りに時間がかかっていました。
確認して、戻って、また確認する。
一回ずつは短くても、こうした往復が重なると、全体では大きな時間になります。
ここで気づいたことがあります。
「残業が多い」ことと、「仕事量が多い」ことは、必ずしも同じではありません。
残業時間はあくまで結果です。何を変えればいいのかを知るには、その時間が生まれた理由まで見る必要がありました。

3. 足りなかったのは、依頼基準
さらに原因をたどると、作業を依頼するときの共通基準がありませんでした。
「どの状態なら作業を始めていいのか」
「何を確認してから渡すのか」
こうした基準がそろっていなければ、依頼する側と受ける側で解釈が変わります。
受け取った側は、モデルを確認する前に、依頼の意図や前提から確かめなければなりません。
これは、誰かの能力や姿勢が悪いという話ではありません。
共通の基準がなければ、誰が担当しても確認は増えやすくなります。
問題は人ではなく、仕事の進め方にありました。

4. 仕組みを変えると、結果が変わる
そこで、作業フローと依頼書を見直しました。
といっても、大がかりなシステムを導入したわけではありません。
作業を始める前に何をそろえるのか。
どこまで確認してから渡すのか。
依頼からモデル確認までの流れが分かるように、仕事の入口を整えました。
その結果、見直し前と比べて、モデル確認のために使っていた残業時間を
約30%削減できました。
もちろん、すべての現場で同じ数字が出るわけではありません。
それでも、原因に合った場所を変えれば、結果も変わる。
そのことを確認できた経験でした。
大切なのは、約30%という数字だけではありません。
「残業を減らそう」と声をかけるだけでなく、残業が生まれる仕組みを変えられたことに意味がありました。
※数値は当時の実績に基づく概算です。

5. 技術者の役割は、作業だけではない
この出来事をきっかけに、私の中で「技術者の役割」の見え方が変わりました。
依頼されたモデルを正確につくること。
確認をきちんと終えること。
もちろん、どちらも大切です。
でも、それだけではありません。
同じ問題が繰り返される理由を見つけて、仕事の流れそのものを変える。
そこにも、技術者の経験を生かせます。
もし職場で残業が増えているなら、いきなり新しいツールを導入する前に、次の三つを見てみてください。
残業は、どの工程で発生しているか
作業を始める前の判断基準は共有されているか
同じ確認や修正が繰り返されていないか
もしかすると、問題は仕事の量ではなく、仕事の入口にあるかもしれません。
私にとって今回の改善で一番大きかったのは、約30%という数字ではありません。
「作業する人」から、「仕事の進め方を改善する人」へ。
自分の役割に対する視点が変わったことでした。
皆さんの職場では、どんな「確認の往復」が起きていますか。よければコメントで教えてください。
