躾 vs DNA
個人旅行のガイドをすると、様々なファミリーに出逢う。
そして、その家族模様を知る。夫婦関係、親子関係、子供の躾まで。
震災で延期されていた、超富裕層向け旅行会社の社長である奥様が、視察のためご家族で来日した。ご主人と大学生の息子さんの3名。視察だったので、ガイドも色々見たいとの事で、私は最初の東京パートのみ。
築地の競りから始まり東京を色々ご案内した。夜はゴールデン街を案内することになっていた。当時、ゴールデン街を案内しているガイドもいなければ、外国人の姿も全くなかった。
スリランカのお客様をご案内してからというもの、私自身がゴールデン街にハマってしまい、プライベートでも仕事でも立ち寄るお店の順番まで決めていた。
一軒目は2階にあるお店。階段を上るともうお客さんで埋まっていた。その日のママ(ゴールデン街では曜日によってママが変わる)は女装した男性だった。
テーブルを囲むようにコの字のベンチになっている席を、私たちが座れるよう皆が詰めてくれた。そんな姿を見たご夫妻は笑顔になった。ぎゅうぎゅうの席に座り、身を寄せ合っている日本人のお客さん達に話かけた。テーブルは片言の英語で返事する人や通訳してって頼む人がいて、会話も笑い声も絶えなかった。
翌朝、ハイヤーの中でお父様が息子を叱った。
「昨日のお前は愛想がなかった。せっかく席を詰めてくれて、すごくフレンドリーだったのに。」
いや、その年代の男の子ってそんなもんじゃない?って心の中で思う。
「疲れていて」と答える息子さん。
時差ボケなのに、ご両親と一緒に朝から晩まで観光。昨夜は疲れた顔してたもん。それにしても、そんなことまで注意するんだぁ。
そして、ご家族は京都に向けて出発した。
その後、旅行会社から連絡があった。京都から戻ってきたら、もう一度案内して欲しいとのリクエスト。
東京に戻ってきたお客様と再会した。最終日の観光後、ペニンシュラホテルにお送りすると部屋でシャンパンを飲もうとお誘いを受けた。
お部屋はもちろん最上階のスイートルーム。シャンパンが冷やしてあった。
お父様は息子にシャンパンを開けさせた。そして、グラスへの注ぎ方を教えた。
そっかあ。大学生でもこういう富裕層のご家族は、息子をこうやって仕込んでいくんだ。
お父様から息子へ、大人の男性の振る舞い方を。どのようなシチュエーションでもホストになれるように。そして、社交的に。
その旅行会社からは、その後も必ず指名で仕事が来る。
子供の出来。
親の躾なのか、DNAなのか。
この間、とても優秀な双子の娘を持つドクター夫妻のお客様に質問したら「DNA」って言ってた。
まだまだリサーチ中。
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