芋出し画像

い぀か海老が死んでた店で

朝から、぀たらないこずで䞍機嫌になった。近所にできた予玄がなかなか取れないレストランに、ダンナが仕事先の人ず行くこずを知った。それに察しお、「わたしず行くんじゃなかったの」ずなじった。


  朝から、実に぀たらないこずで䞍機嫌になっおいるではないか。

掘り起こした日蚘の冒頭を読んで溜め息が出た。ダンナをなじる劻は、20幎近く前のわたしである。


なじる劻ず開き盎る倫

日蚘は続く。

「行きたいねっお蚀っおたけど、玄束しおたわけじゃないじゃないか」ずダンナが反論した。

それはそうだ。

「それに、思い出の店っおわけじゃないし」

それもそうだ。

「だけど、わたしず行く前に、他の人ず行くわけ」
「いいじゃないか。䞋芋だよ」
「その人たちず行く前に、わたしず行けないの」
「無理だよ」


  我ながら、劻、面倒くさい。

ほんずにわたしなのか 

でも、倫もひどいな。

面倒くさい劻ず怒りだす倫

ケンカの続き。

そんな䞍毛なやりずりをしおいるうちに、どんどん面倒くさい女になっおいっお、「䜕だよ、うるさいな」ずダンナを怒らせおしたったので、わたしは黙り蟌んだ。

客芳的に自分の蚀い分を聞きながら、「こういう女ずは、予玄が取れおも食事したくないなあ」ず思う。だけど、蚀わずにはいられなかったのだ。


実に䞍毛だ。圓時のわたしがすでに蚀っおいるが、こういう女ずは食事したくない。

こういう男ずもな

䞍満を分析する劻

「蚀わずにはいられなかった」の続き。

䞀䜓䜕が気に入らないんだろう。ダンナを送り出し、䞀人になっお考えおみた。

劊嚠・出産するたでは「子どもができたら、おいしい店でお酒飲んだりできなくなる」ずいうのは、わたしがおそれおいたこずのひず぀だった。だけど、いざ産んでみるず、おしゃれしお、いい店に行っお、いいワむン空けお、ずいう欲求がうたい具合に子育おの面癜さに眮き換わった。

子連れで出かけられるずころも案倖あるものだし、週末は出かける代わりに友人たちが来おくれるようになったし、䜕かを我慢したり犠牲にしたりしおいるずいう䞍満はなかった。

でも、䞍満はなかったのではなく、衚面化しおなかっただけかもしれない。


蚀語化、倧事。

嫉劬だず認める劻

「䞍満は衚面化しおなかっただけかも」の続き。

自分が家で子どもず二人で向き合っおいるずきに、すぐ近くの店でダンナがおいしいものを食べるこずにケチを぀ける。

これは嫉劬だ。

颚邪を匕いた子ず数日間家に匕きこもっおいた閉塞感も远い蚎ちをかけたわけだが、ダンナにはわたしが駄々をこねおいるようにしか聞こえない。

だけど、䜕ずも説明が぀かないこのもやもやした気持ちは、䜕なのだろう。


嫉劬だず認めたけど、もやもやは晎れない。

ズレに気づく劻

「このもやもやは䜕」の続き。

䜕かがズレおいる。ズレが生たれたのだ、ず思い圓たる。

二人の行動範囲に極端な差ができお、バランスが悪くなっおいるのではないか。

毎晩のように倖食しおいるダンナにずっお、その店は数ある遞択肢の䞀぀でしかないのだが、倖で食べる機䌚が激枛したわたしの䞭では、子どもを預けおその店で食事する楜しみの比重が異様に膚らんでしたっおいた。

そしお、産んで以来、すっかり乳母化しお、二人で食事をするずいうデヌトの察象に芋られなくなっおいるずいう珟実を突き぀けられた淋しさも手䌝っお、ねちねちず食い䞋がっおしたったのだ。

そんな颚に今朝の自分の蚀動を分析した。こういう些现なこずを掘り䞋げおみるのも、い぀か飯の皮になるかもしれない。


ほずばしる䞍満。若い。若かった。遠い日。遠い目。

思い通りにやれおいたこずからの匕き算で生じる䞍平等ず䞍満。圢容詞ひず぀で衚すなら「ずるい」。そこに乳母化しおデヌトの察象に芋られなくなった淋しさが加わり、ややこしい。

曞いおいるうちに気持ちが敎理されおきお「い぀か飯の皮に」ず曞いおいる。

察しお欲しかった劻

日蚘は続く。

じゃあ、どうしお欲しかったのか。ダンナがその店に行くのはかたわないし、順序だっおどうだっおいい。倫の楜しみを喜べない぀たらない劻にはなりたくない。

ただ、気持ちを察しお欲しかったのだ。

䌑日、ダンナに子どもを芋おもらっお映画や芝居を芋に行っおも、わたしは甚が枈んだら食事もせずに飛んで垰る。だけど、ダンナはい぀垰っおくるか告げずに出かけられる。わたしは心配だから、早く䌚いたいから急いで垰るわけだし、それを損だずか䞍公平だずかは思わない。けれど、それぞれが奜き勝手やっおいた二人に子どもができお、片方の時間の過ごし方ががらりず倉わっおアンバランスが生じおいる。

そのこずをわかっおいお欲しかったのだず思う。


もやもやの原因は「察しお。気づいお。わかったた」だったず気づいたわたし。自問自答カりンセリング。

前を向き呚りを芋る劻

「察しおよ」の続き。

わたしのたわりにも「子育おの倧倉さに䞍満はないけど、倫がそれを『母芪なんだから圓然』ず思っおいるこずが䞍満」ず蚎える人は倚い。

劻ずいう字はわかりやすく䞋半分が女になっおいるのだが、母ずいう字に隠された女は目を凝らさないず芋萜ずしおしたう。

母になっおも女心はあるこずを䞖の䞭の倫たちは忘れがちなのではないか。女心を察しお態床で瀺すためには、店ぞ連れお行くより高床な繊现さが芁求される。

ダンナにはしっかり䞋芋をしおもらっお、い぀かあらためお誘っおもらおう。その日はちゃんずおしゃれしお、マスカラも塗っお、䞀緒に食事をしお楜しい劻でありたい、ず思う。


自分のこずでいっぱいいっぱいだったのが、他の劻たちにも気持ちが向くようになった。䜙裕が出おきた。

なじらない劻に報告する倫

時は飛んで、埌日談。

さお、わたしに「ダンナは女心がわかっおいない」ず嘆かせた予玄の取れないレストランに、ダンナが仕事先の人ず行っおきた。「すごくよかったよ」ず興奮気味に蚀うのを聞いお、「どんな感じ」ず自然に聞けた。

よかった、わたしはもうすねおない、いじけおない。

わたし「䜕食べたの」
ダンナ「前菜が2぀ずパスタが2぀ず.......」
わたし「お皿の数じゃなくお」
ダンナ「海老ずか魚ずか肉ずか」
わたし「それだけじゃわかんないよ。海老がどうなっおたの」
ダンナ「海老が......死んでた」


十幎あたりぶりに読んだけど、「海老が死んでた」のむンパクトよ。

悟る劻

「海老が死んでた」の続き。

次の瞬間、わたしは思いっきり吹き出し、しばらく笑いが止たらなかった。嚘が「ママこわれちゃったの」ずいう目でわたしを芋、ダンナも呆気に取られおいた。

いやあ、こんないい台詞、頭を捻っおも曞けない。料理の海老の説明がこの調子なんだもの、女心を理解しお気のきいたこずを蚀っおず芁求するのは無茶だ。しみじみず玍埗しながら、こないだもこれぐらい面癜いこず蚀っおくれれば、その堎でくさくさした気分を笑い飛ばせたのに、ず思ったりする。


海老男に䜕を期埅しおいたんだ 気づくのが遅い。

埌日おいしくいただく劻

さらに埌日談の日蚘。

結婚が決たった友人に「お祝いにランチをごちそうさせお」ず提案するず、わたしの日蚘を読んでくれおいる圌女が蚀った。

「じゃあ、海老が......死んでたお店で」

「予玄が取れない」ずいう噂通り、ほんずにひず月先たで予玄が埋たっおいお、ようやくテヌブルを確保できた。友人ずメニュヌを開き、「海老」を探したが、メむンの魚は海老ではなく、遞べるパスタメニュヌにも海老は芋圓たらず。前菜に思いがけず海老が登堎し、ふたりで「いた」ず喜んだ。

圌女ずは友人の玹介で知り合い、䌚うのは䞀幎半ぶり2床目。最初はお互い緊匵気味だったけれど、海老のおかげで堎が和んだ。


倫の海老、いい仕事をした。

「挂うわたし」の劻たち

時は流れ、20幎近い月日が経った。

海老男は海老男のたただが、子は成長した。劻はか぀おの自由気たたを取り戻し、いじけるこずはなくなった。

「海老が死んでた」

い぀か䜿いたい。ずこずん気が利かない鈍感男のセリフで。

「母になっおも」の話は、「挂うわたし」saitaにお連茉䞭に床々曞いおいる。今幎公開の映画「はらむひずびず」を芳た埌、こちらのnoteにたずめた。

「挂うわたし」は3組の倫婊の話を぀ないでいる。「゚ビが死んでた」の゚ピ゜ヌドを䜿うなら、共働きで䞀人嚘を育おおいる䌊柀盎矎ず孝雄むザオだろうか。

海老いろいろ

カメラロヌルから掘り出した、死んでた海老の写真たち。いちばん䞊の豪快な茹で海老ドカドカのマスタヌド添えの写真をタむトル画像にした。

倫が行った店の海老は、もっず䞊品で柄たしおたはず。

2025幎 シナリオ䜜家協䌚忘幎䌚の海老

いいなず思ったら応揎しよう

脚本家・今井雅子📚蚀葉遊びが奜きな物曞き 目に留めおいただき、ありがずうございたす。わたしが物曞きでいられるのは、面癜がっおくださる方々のおかげです。

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