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4 コウノトリが素通りして行った話(不妊治療編①)

※このお話は3コウノトリが素通りして行った話(子宮外妊娠編)の続きです。


20歳の頃。

子宮外妊娠をきっかけに、結婚した。

あの頃からかな。

マタニティマークをつけている妊婦さんを見ると、

どうしても目をそらしてしまう。

……わざわざ付けなくてもいいじゃん。

……子供ができない人の気持ち、わからないのかな。

そんなことを思ってしまう自分が、嫌いだった。

相次ぐ妊娠報告。

結婚式に行けば、

最後に流れるサプライズの妊娠発表ムービー。

笑顔で拍手はする。けど、

心の中では泣きながら何かを叫んでる。

【何か】は、自分でも知りたくない。

ある日、兄夫婦に赤ちゃんが産まれた。

嫉妬と祝福がぐちゃぐちゃに混ざる。

「はじめまして」

心の中でそう言った。

甥っ子に人見知りしてしまった。

赤ちゃんにまで緊張してしまう私に、

育児なんてできるのか。

そんな自分の姿は、どうしても想像できなかった。

でも、妊娠が難しい体だと分かっていても、

どうしても赤ちゃんが欲しかった。

不妊治療って何するんだ?

費用は?

お金はどうする?

何もわからないまま、とりあえず病院へ向かった。

紹介状を握りしめて、有名なクリニックへ。

クリニック内のイメージ

ドキドキが隣の人に聞こえるんじゃないか、

と思うほど待合室は想像よりずっと狭かった。

初めての場所。

流れがわからない。

明らかに挙動不審な私。

周りを見れば、みんな下を向いている。

空気が、重い。

問診票を書き終えた。

でも、受付は混み合っている。

今出していいの?

基礎体温表も一緒?

それとも座って待つ?

頭の中は相変わらず忙しい。

……

院内に流れるオルゴールの音が、やけに眠気を誘う。

どれくらい時間が経ったのかも分からない頃、

やっと名前を呼ばれた。

診察室に入ると、白いおヒゲの先生が座っていた。

……よかった。優しそう。

「あなたはまだ若い。大丈夫だと思いますよ。」

笑顔で先生は言った。

怒られると思ったから、ほっとした。

でも、説明されたのは体外受精。

そこに至るまでの過程。

そして、現実的な金額。

……無理だ。

……高すぎる。

貯金もない。

旦那と、親に相談しないと。

双子や三つ子になる可能性が高いとも言われた。

大変だよ、と先生は言う。

本来は、数を調整することもできるし、リスクを減ら

すための方法もあると説明された。

それでもあの頃の私は——

「多ければ多いほどいい」

そんなふうに思っていた。

無知だった。

現実なんて見えていない。

ただ、赤ちゃんが欲しい。

その気持ちだけで、いっぱいだった。

頭の中には、小さな赤ちゃんが並んでいた。

2人かな?………3人かな?

西松屋でお揃いの服買わなきゃな。なんて。

少しだけ、ワクワクしていた。

けれど現実は、そんなに単純じゃないみたいだ。

先輩ママたちの言葉はバラバラだ。

「独身に戻りたい〜!」

「子供は早いほうがいいよ」

「夫婦の時間、大事にしたほうがいいよ」


親からはこう言われた。

「子供がいない人生も、ありかもよ」

母は、結婚せず独身で生きればよかったと、後悔して

いるらしい。

……すごいことを言うな。

正直、子育ての大変さなんてわからない。

それでも——

それでも、赤ちゃんが欲しい。

赤ちゃんが欲しいのか……?

家族が欲しいのか……?

居場所が欲しいのか……?

もう、自分でもわからなかった。

ただ、欲しくて、欲しくて、

壊れそうだった。


次回

「不妊治療で、得たもの。失ったもの。」

少しずつ、綴っていきます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



▶次回はこちら↓是非遊びに来てください。

▶番外編もあります。是非遊びに来てくださいね☺️


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