#18 中国の冬は寒い?中国北部の実際
中国へ行くことが決まった時、心配していたことの一つが冬だった。
青島は中国の中では北の方に位置し、たまに雪も降る。海が近いせいか風も強く、体感気温は数字以上に低く感じられた。
しかし、実際に暮らしてみると、その寒さは想像していたものとは少し違っていた。
中国北部には「暖气(ヌアンチー)」という、各市政府がその街全体に供給する強力な暖房設備があったからだ。
最初に聞いた時はよく分からなかった。
でも実際に冬を過ごしてみて、そのすごさを知った。
暖气は家、マンションや学校、病院、オフィス、トイレなど街のあらゆる場所に設置されている。
地域ごとにあるボイラー室でお湯を沸かし、そのお湯を地下に巡らされた配管から各建物へ送る仕組みだ。
我が家のマンションにも廊下や部屋のあちこちにむき出しの配管が通っていた。
それらの配管や床暖房から熱が放出され、建物全体が暖められる。
暖房期間は毎年だいたい11月中旬から3月頃まで。
開始日は毎年市政府が決める。
つまり、
「今日は寒いから暖房つけよう」
はできない。
そして、料金は面積あたりの定額制で、「我が家は暖房いりません」と拒否することはできない。
暖房が始まる数日前には“試験運転”がある。
マンションの管理から住人に日程の通知が来て、配管に漏水がないかをチェックする。
問題がなければ正式に暖气の供給がスタートする。
配管に水が流れる音や少しずつ暖かくなっていく配管に触れていると、「あ、冬が来るんだな」と実感した。
だから毎年、一番寒さを感じるのは暖房が始まる前の時期だった。10月後半から11月初旬頃。
朝晩が冷えるこの時期に暖房はまだつかない。
この時期のお風呂上がりは、一年で最も辛い時間だった。
真冬用のモコモコパジャマ。
厚手の靴下。
温かい飲み物。
あらゆる手段で寒さをしのいでいた。
ところが暖房が始まると世界が変わる。
部屋の中はぽかぽか。
というより、むしろ暑い。
暖かい空気は上へ上へと上がるため、高層階ほど暖かい。20階に住んでいた我が家は特に暖かかった気がする。我が家の子どもたちは部屋の中では半袖で過ごしていた。
暖气は基本的に温度調整はできない。
暑ければ窓を開ける。
外は氷点下なのに、どの部屋の窓も少しずつ開いているという、日本では見られない不思議な景色が広がっていた。
そしてもう一つの問題が乾燥だった。
夜に室内干しした洗濯物が朝には完全に乾いている。
寝ている間に喉がガラガラになるので、寝室に洗濯物をたくさん干して寝ていた。
中国北部の冬は寒い。
でも建物の中は驚くほど暖かい。
初めての冬を迎えた時、一番驚いた中国文化の一つだった。
