社内ニート、魔法少女だった時の話をしようか3。〜話が全然進まない〜
おいしくな〜れ🩷
「あっとふぉーむカフェ」
腹を空かせた2匹の魔法少女(♂)は、
吸い寄せられるように
2004年創業のメイド喫茶の前に立ち尽くしていた。
兼ねてよりこの方、
我が田舎町における情報機関
「チバチャネル」
における情報収集は欠かすことがなかった。
ゆえに、メイド喫茶の存在は知っていた。
伝承によれば、
メイドさんが、
ご主人様へ分け隔てない愛を注いでくれるという。
現実世界を振り返れば、
女子から消しゴムを借りることすら
困難を極め、
女子とはテレパシーを介してのみ
コミュニケーションが可能であるという
大川くんの説を信じて疑わなかった。
ついに異性との、
空気振動による対話という
歴史の扉が開かれる!!
私は勇んで一歩を踏み出した。
「まって!フェイト(私)ちゃん!!」
振り返ると、なのは(大川くん)が、
私の手首を掴んで止めた。
「メイド喫茶って⋯高校生でも入れる?」
私はしばし考えた。
お酒の提供を行っていないから
きっと大丈夫であろう。
とは言え、正攻法では異性と会話できない
我々からすれば、「お金を払って異性と話す」
というのはどうも "オトナの香り" がしないでもない。
今、我々は学ランを着ている。
(とは言え夏なので、上着はリュックにしまってある)
そこで、こうしよう。
我らは大学の応援団の
コスプレをしている
大学生のフリをしている高校生(魔法少女♂)。
この難解極まる真理のマトリョーシカ構造によって、
我らの正体はようとして知れない。
むしろ誰も知りたがらないに違いない。
我らは意を決して、店内に足を踏み入れた。
ーー
ひとえに、それは
ラブリーであったと言わざるを得ない。
「お帰りなさいませ!ご主人様〜🩷」
家に帰っただけで妹から舌打ちされる
現実を考慮するに、
帰還をここまで喜んでくれる
この空間は、もはや楽園と言って差し支えない。
席に着くやいなや、
メイドさんから店内の料金システムを説明される。
どうやら席に座るだけでもお金を支払うシステムのようだ。
チャージ料というらしい。
田舎町に唯一存在した、
ルネサンス期から続く、
良心的価格設定の老舗レストラン
「サイゼリヤ」にはなかったものなので、
我らは少々驚いた。
我らは既に萌えグッズ購買により、
お小遣いの大半を失っている。
大川くんは恐る恐るメイドさんに尋ねる。
「ふたりでオムライス1つでも大丈夫ですか?」
実に情けなく思われたが、
メイドさんは快く承諾してくれた。
しばしして、
目の前にはオムライスが運ばれてきた。
メイドさんが言う。
「ケチャップで文字や絵を描くことも出来ますよぉ🩷(追加料金)」
「せ、せっかくだし、何か書いてもらおう」
私が提案した。
「お、おう。そうだな!何て書いてもらおうか?」
二人で思案した結果、
オムライスに、
「ポイズン」と書いてもらうことにした。
これは、
女子に対して言いたいことも言えない
こんな世の中への不満と、
当時、諸事情により、
私が「ポイズンアナル」という
渾名を拝命していたことによる。
「やだぁ〜🩷なんか、
毒入りオムライスみたいじゃ〜ン🩷」
メイドさんが笑った。
さぁ!ポイズンオムライスを食うぞ!
とスプーンを手に取ると、
メイドさんは割って入った。
「食べる前に!!
美味しくなる呪文をかけます!
胸の前でハートを作って〜🫶」
私と大川くんは、言われた通りハートを作る🫶
「これを左右に、"萌え萌え" ってやったら、
"キュン" で前に出してください🩷
私が "おいしくな〜れ" って言ったら、
"萌え萌えキュン!" お願いします!」
私と大川くんは
互いを見合わせ、
「も、萌えー!✊️」と返事をした。
メイドさんが掛け声をかける。
「せ〜のっ!
おいしくな〜れ🩷
萌え萌えキュン🪄🫶」
まことに、
幻想的な時間であった。
私と大川くんは感動のあまり、
メイドさんが、「さぁ、召し上がれ🩷」
と言っているのも聞かずに、
壊れたサルのオモチャのように、
「萌え萌えキュン!
おいしくな〜れ、萌え萌えキュン🩷」
と呪文をかけ続けた。
この喜びはまるで、
かのヘレン・ケラーが初めて
「ウォーター」を知った感動そのものであった。
目の前のポイズンオムライスは、
冷めてもなお、ミシュラン三つ星のごとき
美味しさになっていたに違いない。
メイドさんは、居た堪れなくなったのだろう。
無言でひっそりと撤収していった。
ーー
次の瞬間、
会場にアナウンスが響く。
「萌え萌えじゃんけん!はっじまるよ〜✊️」
「おお"ぉぉぉーー🐽!!」
萌豚達の歓声が怒号のようにこだまする。
聞いたことがある。
これは、メイドさんとのチェキをかけた、
萌豚達の熱きデュエルであると!!
我らが合法的に女子と2人きりで写真に写れるチャンスなど、心霊写真にたまたま女性の霊が写り込む以外において他にない!!👻
大川くんは言う。
「Are you Ready?」
私は答える。
「Yes, of course!」
萌豚達との熱き死闘が始まる。
ーーTO BE CONTINUEDーー
最終回になる予定だったんだ。
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