「不合格でもOK」って本当?介護福祉士国家試験、いま現場で起きていること
近年の介護福祉士国家試験と福祉業界だけではありませんが、外国人の参入について取り上げてみました。
「介護福祉士の国家試験、不合格でもOK」
そんな見出しをSNSで見かけて、驚いた方もいるかもしれません。25年この仕事を続けてきた身としても、最初は「え、そんなことある?」と二度見しました。
でも調べてみると、これは決して「試験がゆるくなった」という単純な話ではなくて、いまの介護現場が抱えている、もっと根の深い事情が透けて見えてくる話でした。今日はそのあたりを、なるべくわかりやすく整理してお伝えします。
「不合格でもOK」の正体は、ひとつじゃない
実はこの「不合格でもOK」、中身がいくつかあります。
ひとつは、介護福祉士養成施設(専門学校など)を卒業した人向けの「経過措置」です。2026年度までに卒業した人は、たとえ国家試験に不合格でも(受けなくても)、5年間は「介護福祉士」として登録して働くことができます。ただし2027年度以降に卒業する人からは、この措置がなくなり、試験に合格しないと資格が取れなくなる予定です。
もうひとつは、特定技能で働く外国人スタッフ向けの新しい仕組みです。2025年1月、厚生労働省は「一定の条件を満たせば、在留期間の上限(5年)を超えて日本に残り、翌年の試験に再挑戦できる」という方針を打ち出しました。「ダメだったら帰国しかない」という緊張感のなかで働いてきた人たちにとって、これは小さくない変化です。
さらに試験そのものも、2026年の第38回から「パート合格制度」が始まりました。全体では不合格でも、合格した分野は次回免除される。つまり「全部やり直し」ではなく「積み上げ」ができるようになった、ということです。
なぜ、こんなに緩和が続くのか
答えはシンプルで、現場に人がいないからです。
第37回の試験全体の合格率は70.1%でした。一方で、外国人留学生の合格率は4割以下にとどまるケースが多いというデータもあります。この差の背景にあるのは、能力の差というより、多くの場合「言葉の壁」だと言われています。
わたし自身、現場で外国人スタッフと一緒に働いた経験があり、今の職場(重度訪問介護)でもたくさんの外国人スタッフが働いていますが、利用者さんへの気配りや手技の丁寧さは、本当に日本人スタッフとなんら変わりません。むしろ、言葉が通じにくい分、表情やしぐさをよく見て、先回りして動いてくれる人も多かった印象があります。
「現場では頼りになるのに、試験の言葉の壁で資格が取れない」
このジレンマが、いまの制度をどんどん動かしている、というのが正直なところだと思います。
この流れをどう受け止めるか
わたしは、これを「資格が軽くなった」とは思っていません。むしろ、「実務でちゃんと積み上げてきた力を、試験の一発勝負だけで判断しない」方向への調整だと感じています。
とはいえ、制度はこれからも動き続けます。
2027年度以降は経過措置がなくなる予定ですし、パート合格制度も始まったばかりで、細かい運用は今後変わる可能性があります。もしご家族やご自身の職場に外国人スタッフがいる方、これから制度を調べる方は、厚生労働省や社会福祉振興・試験センターの発表を、その都度確認していただくのが確実です。
今日できる小さな一歩があるとすれば、「制度の話」で終わらせず、目の前で働いている一人ひとりを、あらためて見てみることかもしれません。言葉が完璧でなくても、丁寧に向き合ってくれているスタッフがいたら、それはちゃんと伝える価値のあることだと思います。
🌿やさしい終活だより 介護歴25年の経験をもとに、「親の介護で後悔しない終活」をテーマに書いています。
