【外国籍保護者との面談②】「やさしい日本語」で伝える!教員が意識したい話し方のコツとフレーズ
前回、こちらの記事でアイコンタクトの大切さについて触れました。
今回は、その後に続く「実際の話し方、コミュニケーションのとり方」について書いていきます。
面談の際、通訳の先生が同席してくれれば心強いですが、毎回そううまくはいきません。
そこで鍵になるのが「わかりやすい日本語(やさしい日本語)」でのやり取りです。
実は、私はかつて「翻訳アプリを使えば何とかなる」「すべて翻訳して伝えなければ」と考えていた時期がありました。
しかし、長年現場で多くのご家族と接する中で、考え方が変わっていきました。
外国籍だからといって、何でも先回りして翻訳して「特別扱い」をすることが、必ずしもそのご家族のためになるとは限らない、と気づいたからです。
日本で暮らし、地域社会の中で生きていく以上、子どもだけでなく保護者の方にも、少しずつ日本語のやり取りに慣れていってほしい。
なぜなら、保護者が学校と直接言葉を交わせるようになることは、子どもが学校でのびのびと安心して過ごせる一番の要因になりうるからです。
さらにそれは、ご家族が孤立せず、地域全体で共に生きていくための豊かな土台にもなっていきます。
だからこそ、学校の面談という場を単なる報告会で終わらせず、「家で子どもを正しく褒め、励ましてもらうための日本語を、保護者に持って帰ってもらう場」にしていきたい。
そう思うようになりました。
では、具体的にどのようにして子どもへ還元するやり取りを引き出していくのか。
私が実践してきた「言葉の引き算・足し算」のテクニックをご紹介します。

① 徹底的な「言葉の引き算」と「やさしい日本語」
事務的な内容は、単語を並べる、短い文で言うことを意識します。
「〇〇を持参してください」ではなく、「〇〇を持ってきます」と伝える。
「体調不良」ではなく、「お腹、痛い」「熱、ある」と具体的に分ける。
また、学校での子どもの様子を伝えるとき、私たちは無意識に難しい「教育用語」を使ってしまいがちです。
ここも徹底的に噛み砕きます。
「協調性があります」 ➔ 「みんなと仲良くがんばっています」
「落ち着きがない/集中力が切れる」 ➔ 「他のことが気になってしまうことがあります」
「意欲的に取り組んでいます」 ➔ 「自分から、頑張ってやっています」
ネガティブに捉えられかねない行動も、やさしい日本語に直すことで、トーンが柔らかくなり保護者にまっすぐ伝わります。
② 「できたこと」を伝える「言葉の足し算」
日本語がまだ十分でない保護者は、「先生に怒られるんじゃないか」「うちの子、迷惑をかけていないか」と、面談に強い不安を持って来られます。
だからこそ、子どもの名前をはっきりと言いながら、「〇〇さん、漢字、がんばりました!」「〇〇さん、お掃除、手伝ってくれました!」と、具体的にできた事実を“足して”伝えます。
これだけで、保護者の表情がパッと明るくなり、面談での緊張感もほぐれます。

このように、面談で「できたこと」を伝えるのは、単に保護者を喜ばせるためだけではありません。
日本語がまだ十分ではない保護者にとって、学校からの「〇〇をがんばりました」というやさしい日本語は、「家で子どもをまっすぐ褒めてあげるための、最高のお土産(フレーズ)」になります。
「先生、漢字がんばったねって言ってたよ」
「お母さん、嬉しい」
面談をきっかけに、家庭内で温かい日本語のキャッチボールが生まれたら、子どもは学校でものびのびと安心して過ごせるようになるでしょう。
さらに、面談を通して「学校の先生に自分の日本語が通じた!」という小さな成功体験を積み重ねることは、保護者自身が社会に一歩踏み出し、地域で孤立せずに生きていくための大きな自信(メリット)にも繋がっていくのではないかと思うのです。

次回シリーズ3回目は、「保護者自身の困りごとや本音を引き出す傾聴のコツ、そして最後にかけたい魔法の一言」についてお話ししようと思います。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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