見出し画像

読んで、作って、味わって。『ムショラン三ツ星』がくれた新しい世界

原作も、ダントツの面白さだった。
『めざせ!目指せムショラン三ツ星  刑務所栄養士、今日も受刑者とクサくないメシ作ります』

これはNHKでやっていたドラマだが、毎回のドラマに引き込まれ、大いに興味と関心を抱かされた。そして、今回やっと原作本を読了。
軽妙洒脱な文体に思わず笑ってしまいつつ、刑務所という閉じた空間の出来事がありありと語られ、私は、ただただ頷くばかり。

筆者の黒栁さんの職場は、男子のみ収容の岡崎医療刑務所。日本一小さな刑務所だ。ここ何十年も栄養士は男性だった中で、久々に女性栄養士とのことで、職場からは不安の声が出たらしい。そんな中で、筆者は、様々な困難や普通では考えられない「刑務所の習慣」に驚きを隠せない。例えば、現場に行くまでに鍵を8個くらい持っていたり、胸ポケットにはボールペンが差せなかったり。(奪われて刺される危険性があるから。)だから、クリップやヘアピン一つでも落とした場合、かなりの叱責が待っているそうだ。

しかし、そんな中でも筆者は、受刑者たちと食を通じて心を通わせていく。炊場(すいじょう。刑務所内の調理場のこと。)で食事を作る受刑者とのチームワークと信頼感。お互いを信じないと、おいしい食事は作れない。
本当に素晴らしく、読んでいて拍手をしてしまった。

また、筆者の管理栄養士としての臨機応変で冷静な対処にも、うなってしまった。煮魚の煮汁がコテコテになったときも、ザルの目から押し出して細かく溶かし、調味料を追加してグッドな煮汁の復活!こういったことは枚挙に暇がないのだろう。本当に「神対応」だと思う。

読んでいて、知らなかったこともわかり、違う世界のことも少しは理解できたこの本。そしてもう一つ、特筆すべきことがある。それは、「味わえた」ことだ。

本の中に、「ムショラン人気レシピ集」というのがあり、いくつかレシピが紹介されていた。その中の一つの「おからのサラダ」。我が家でも、時々おからの煮物を作る。・・・が、私以外、家族には不評だった。

ところが。
こちらのレシピに従って「おからのサラダ」を作ってみたところ、家族から絶賛され(!?)、あっという間に完食、即座のリクエストとなった。(こんなことは、滅多にない。)

ふふふ・・・思わず、ほくそ笑んでしまった私。レパートリーに新たな一品が加わった。だから『ムショラン三ツ星』は、読んで、作って、味わえる、私にとって珍重されるべき一冊なのだ。



*ドラマの記事はこちら↓






#生活 #読書感想文 #読書記録 #今年のベスト本 #ムショラン三ツ星 #黒栁桂子 #管理栄養士 #刑務所 #日本語教師 #料理 #おからのサラダ

いいなと思ったら応援しよう!

京すずらん もしサポートいただけたら、とてもありがたいです。自分をより向上させるための書籍購入や研究会、勉強会の参加費用にします。また、日本在住で中国語圏生徒達の日本語学習のフォローにあてたいです。