Photo by
akiyamahiroki
400字/老眼と文(ろうがんとふみ):読み手の年齢で結末が変わる物語
老眼と文・焦点
第一幕 20cm
彼は年をとってきた。仰向け姿勢でスマホを掲げ、夜中にマンガを読んで日をおくっていたが、一文字も読めない頁が八十四頁もつづいた。
第二幕 30cm
彼は軽い注意ぶかい引きを感じた。さらに、それより強い引きが来た。スマホの画面をどうしても焦点からはずせないらしい。が、すぐ眠たくなった。
第三幕 25cm
一時間ばかり前から、眼の前に老眼鏡が見えはじめた。母の音声が頭のなかに流れこみ、細いふちの両用になさいとさとす。彼は老眼鏡などを求めない。
第四幕 35cm
彼はためらいながら棚のほうに手を伸ばし、店員が褒めちぎった試用の老眼鏡をむしりとった。掛けてみて改めて値打ちがわかる。とても視界がいい。
第五幕 …
扉のむこうの部屋では、彼がふたたび眠りに落ちていた。依然として裸眼のままだ。少年がかたわらに坐って、その寝姿をじっと見まもっている。彼は眼内レンズの夢を見ていた。
おまけが入ってるマガジンもあるよ
結末が変わる老眼の暗号を解く鍵
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