【読書ガイド】カクヨム発ホラー作品・ジャンル別紹介(全80作)
一言でホラーと言っても、様々なジャンルが存在する
「カクヨム発ホラー」というのは、現代だとちょくちょく名前を見るようになったものだと思います。
ですが、この十数年で発売・発売予定になったものは『合計で77冊』にも及びます。
その中から読んでみたい一冊を選ぼうにも、なかなか難しいのではないのでしょうか。
そこで、本記事では『これまでの合計75冊をサブジャンルに分けて紹介』することにいたします。
ホラーと一言で言っても実際にはひとくくりに出来ず、いくつものサブジャンルがあることがわかります。
そんな中で、『ホラーと言ったらやっぱり霊能者が活躍する話が読みたい』、『因習村の話が好き』、『モキュメンタリーは好きだけど、別にその他のホラーは興味がない(※偏食は健康の害になります)』など、人それぞれに嗜好があることと思います。
今回サブジャンルとして出したのは、以下の十五個。
1.モキュメンタリーホラー
2.心霊・霊能者系ホラー
3.土俗・因習系ホラー
4.ハコモノ・マンション系ホラー
5.サイコ・サスペンス系ホラー
6.モダンホラー
7.センチメンタル・ホラー
8.オープンワールド系ホラー
9.伝奇アクション系ホラー
10.ポストアポカリプス系ホラー
11.ファンタジー系ホラー
12.デスゲーム系ホラー
13.怪談ホラー
14.不条理系ホラー
15.ライトホラー
こうした分類に従い、これまでの十年間で発売された『カクヨム発ホラー』をジャンルごとに分けていきたいと思います。
※発売年ごとに紹介したカクヨム発ホラーの記事はこちら。
1.モキュメンタリーホラー(15作品)
現代(2026年)では一番人気となっているホラーのサブジャンルです。
ルポルタージュ形式だったり掲示板だったり、様々なタイプの資料を紐解くことにより、『読者』が現実にあった怪異の情報を紐解いているような気分になってホラーを楽しむジャンルとなっています。
(主な参考作品:雨穴『変な家』、白石晃士『ノロイ』など)
近畿地方のある場所について(背筋) (2023年)
右園死児報告(真島文吉) (2024年)
Re:Re:Re:Re:ホラー小説のプロット案(八方鈴斗) (2024年)
完璧な家族の作り方(藍上央理) (2025年)
なぜ「あしか汁」のことを話してはいけないのか(三浦晴海) (2025年)
京都市民限定で求人が出ているとあるバイトについて(円居挽) (2025年)
このマンションに老人は入居できません(新田漣) (2026年)
三重県津市西区平山町2-15-7(大舟) (2026年)
あるネット掲示板の奇妙な書き込み(機村械人) (2026年)
ある警察官の奇妙な告発にまつわる諸資料(やまだのぼる) (2026年)
「ヨシエさんの写真」に関する文書群(厠谷化月) (2026年)
『昭和阿佐ヶ谷レジデンス』に関する取材記録(雹月あさみ) (2026年)
ダクダデイラ (餅屋䖸) (2026年)
E中学校2004年6月の給食献立表(ジロギン2) (発売予定)
商品レビューで構成されたホラーです(くぐつけいれん) (発売予定)
2.心霊・霊能者系ホラー (14作品)
霊現象・呪い・オカルトを中心とし、『霊能者』など幽霊のことを認識できるキャラクターが登場したり、霊的な世界を解明していくことなどによって事態を掘り下げる、または霊的な存在に追い詰められる恐怖を描くのなどがメインとなる作品です。
(主な参考作品:澤村伊智『ぼぎわんが、来る』、小野不由美『ゴーストハント』など)
コンビニで夜勤バイトを始めまして。(天野アタル) (2018年)
異端の祝祭(芦花公園) (2021年)
ほねがらみ(芦花公園) (2022年)
聖者の落角(芦花公園) (2023年)
みんなこわい話が大すき(尾八原ジュージ) (2023年)
対怪異アンドロイド開発研究室(饗庭淵) (2023年)
美大生・月浪縁の怪談 (白目黒) (2024年)
夫恋殺 つまごいごろし(魚崎依知子) (2024年)
邪祓師の腹痛さん(深川我無) (2024年)
わたしと一緒にくらしましょう(尾八原ジュージ)(2024年)
檻降り騙り(木古おうみ) (2024年)
偽葬家の一族(木古おうみ) (2025年)
パルメザンのちっぽけな祝福 (黒澤主計) (2026年)
愛より出でて怪より呪わし (春海水亭) (2026年)
3.土俗・因習系ホラー(7作品)
因習村や禁足地など、土俗的に伝えられている『神』や『超常的な力』を軸にして話が進むタイプのホラーです。
(主な参考作品:坂東眞砂子『死国』など)
鬼妃 ~「愛してる」は、怖いこと~(鉈手璃彩子 ) (2023年)
めんとりさま Faceless Summer(カムリ) (2023年)
死に髪の棲む家(織部泰助) (2024年)
おごさま(小紫) (2024年)
オウマガの蠱惑(椎葉伊作) (2025年)
この子のために死んでくれ。(魚崎依知子) (2026年)
禍系図(鋏池穏美) (2026年)
4.ハコモノ・マンション系ホラー(7作品)
幽霊屋敷、幽霊の出るマンションなど、特定の建物や不動産を舞台にしたホラーです。『事故物件』などが近年人気もあり、不動産ホラーは土俗・因習系とはまた違った需要があると見たので独立したサブジャンルとして記述します。
(主な参考作品:映画『ポルターガイスト』、『悪魔の棲む家』など)
入居条件:隣に住んでる友人と必ず仲良くしてください(寝舟はやせ) (2024年)
入居者全滅事故物件(春海水亭) (2025年)
嘘つきは同じ顔をしている(和田正雪) (2025年)
この会社は実在しません(ヨシモトミネ) (2025年)
不動産奇譚 神憑み之函(藍内友紀) (2026年)
このショッピングモールは迷子を歓迎しています (ヨシモトミネ) (2026年)
穴のある家をさがしています (藍内友紀) (2026年)
5.サイコ・サスペンス系ホラー(1作品)
いわゆるヒトコワなどのように、精神面で普通でないサイコパスやその他の異常な考え方をする個人、または団体によって恐怖を与えられるタイプのサスペンスホラーです。
(主な作品:貴志祐介『黒い家』、スティーヴン・キング『ミザリー』など)
さよなら、悪魔(京野薫) (近日発売予定)
6.モダンホラー (3作品)
現代の社会を舞台としつつも、その中に『怪異』が侵食してきて危機的な状況に追い込まれるタイプのホラーです。
怪異の正体は心霊的なものとは限定されず、なんらかのファンタジックな怪物や現象の場合も多く、『怪異の正体はどんな設定か』を見極めるのも楽しみの一つとなるジャンルです。
(主な参考作品:スティーヴン・キング『IT』、『ランゴリアーズ』など)
屍介護(三浦晴海) (2022年)
走る凶気が私を殺りにくる(三浦晴海) (2022年)
歪つ火(三浦晴海) (2024年)
7.センチメンタル・ホラー (2作品)
怪異的な状況と関わる中で、『恋愛』や『友情』などを描き出していき、登場人物の切ない心情などを浮き彫りにしていくタイプのホラー作品です。
(主要参考作品:『ゴースト ~ニューヨークの幻~』など)
夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない(和田正雪) (2023年)
睡蓮、願わくは永遠に(汐海有真) (2025年)
8.オープンワールド系ホラー (6作品)
イメージ的には「特定のキャラやバディが各地をめぐって怪異と次々と遭遇していく」ようなタイプの作品のことを指します。
旅をするようにして怪異と遭遇するとか、日常を過ごす中で様々な怪異と遭遇するとか、そんなバリエーションと「怪異な旅」や「怪異な日常」を楽しむタイプの作品です。
この系統の作品の楽しさをどう表すかと考えた時、『オープンワールド』という言葉が浮かんだので命名してみました。
(主要参考作品:宮澤伊織『裏世界ピクニック』、泉朝樹『見える子ちゃん』、新名智『虚魚』など)
帝都つくもがたり(佐々木匙) (2019年)
ゆるコワ! ~無敵の女子高生二人がただひたすら心霊スポットに凸しまくる!~(谷尾銀) (2023年)
少女怪異紀行(漫画:牧野康平 著者:枢木縁) (2023年)
その心霊バイト、危険につき ~ビンボー少女とパチモン巫女のオカルトバイト営業忌録~(雪車町地蔵) (2025年)
僕の妹をさがさないでください(春海水亭) (2026年)
町の地図には、恐怖がいっぱい (七倉イルカ) (2026年)
9.伝奇アクション系ホラー (3作品)
ホラーな世界観を舞台に、能力を持った主人公たちがバトルをするのを主に描くタイプの作品です。
主人公が超能力などの異能を持っているか、またはそれをあえて持たずに知恵などで戦う姿を描くのなどが主となります。
(主な参考作品:石田スイ『東京喰種』、芥見下々『呪術廻戦』など)
常夜ノ国ノ天照(諸口正巳) (2017年)
邪神退治24時 クトゥルフ・ブラッド伝(毒島伊豆守) (2024年)
咎喰みの祓魔師(深川我無) (2025年)
10.ポストアポカリプス系ホラー (2作品)
文明が滅び去った後の世界を舞台にしたホラー作品です。既存の社会が成立しなくなるほどの大打撃があり、荒廃した世界の中で異変と必死に向かい合う姿が主に描かれます。
(参考作品:海外ドラマ『ウォーキング・デッド』、スティーヴン・キング『ザ・スタンド』など)
限界集落・オブ・ザ・デッド(ロッキン神経痛) (2017年)
無職マンのゾンビサバイバル生活 欲求に忠実なソロプレイをしたら、現代都市は宝の山でした(秋津モトノブ) (2025年)
11.ファンタジー系ホラー (1作品)
世界観そのものがファンタジックな形で構築され、その世界観そのものを楽しむタイプのホラーです。ファンタジーな世界観なのだけれど、そこにホラーな味わいを持たせ、そこで主人公たちが活躍・葛藤する姿を主に描きます。
(主な参考作品:恒川光太郎『夜市』、飴村行『粘膜蜥蜴』など)
領怪神犯(木古おうみ) (2022年)
12.デスゲーム系ホラー (2作品)
特定のルールに従い、参加者たちが命がけのゲームを強いられるタイプのホラーです。
ルールがどんなものとして構築し、その中でどうやって知恵を使って勝利を獲得するかを楽しむのが主となります。
(主要参考作品:福本伸行『カイジ』、金城宗幸『神様の言うとおり』など)
エスケープ・シープ・ランド(馬場翁) (2017年)
Q eND A(獅子吼れお) (2024年)
13.怪談系ホラー (6作品)
怪談として「怖い話」をオムニバスとして語るなど、「本当にあった怖い話」のように実話に近い雰囲気で語るタイプのホラーです。
(主な参考作品:『学校であった怖い話』、『怪談耳袋』など)
本当はこわい話 かくされた真実、君は気づける?(小林丸々) (2018年)
世にも奇妙な商品カタログ(地図十行路) (2019年)
夜行奇談(東亮太) (2023年)
1分で読めるこわい話 きょうふ小学校(作:松本うみ 絵:小津) (2024年)
怪異ー百モノ語ー 僕が君に語りたい百の怖い話(椎葉伊作) (2025年)
意味がわかると怖すぎる学校の記録(作:狐歪野ツッコ 絵:湖西晶) (2025年)
カイダンドローム(阿澄思惟) (2026年)
14.不条理系ホラー (3作品)
中心となる怪異の正体が「理性」の範疇に収まらず、主人公がひたすら『不可解』な現象に振り回される展開を描くタイプのホラーです。
既存のどのジャンルにも迎合せず、ひたすら「作者独自の世界観」というものを堪能できるタイプの作品とも言えます。
シュールレアリスムにも通ずるものもあれば、独自の世界観で読者を魅了するタイプのものも存在します。
(主な参考作品:デヴィッド・リンチ『ツイン・ピークス』、倉狩聡『かにみそ』など)
僕の妹はバケモノです (鹿角フェフ) (2016年)
致死率十割怪談(春海水亭) (2024年)
XXX日後に呪われるだけの誰かさんの日記(寝舟はやせ) (2026年)
15.ライトホラー (8作品)
ライトノベル的な雰囲気の中で、怖さよりもキャラクターの魅力、「怪異的なもの」と遭遇する中での活躍などを主に楽しむタイプのホラー作品です。
ファンタジーに出てくる異世界を『怪異と遭遇する舞台』に置き換えた感じの、キャラクターの掛け合いや冒険などを描く感じがメインとなります。
(主な参考作品:逢空万太『這いよれ!ニャル子さん』など)
格安温泉宿を立て直そうとしたらハーレム状態になったんだけど全員人外なんだ(うみ) (2018年)
クトゥルフ神話 探索者たち 鈴森君の場合(墨の凛) (2018年)
邪神任侠 家出JCを一晩泊めたら俺の正気度がガリガリ削れた(海野しぃる) (2018年)
ホラーは他にも複数のジャンルが
今回は『カクヨム発ホラー』の分類としてそれぞれのサブジャンルを紹介する形になりましたが、ホラー小説の分類に関してはまだまだ他にも存在しています。
〇サイエンス系ホラー
(主要参考作品:瀬名秀明『パラサイト・イヴ』など)
異変の中枢に理系的な知識が存在するタイプのホラーです。『カクヨム発』でも実は一作だけその要素を含むものはあるのですが、ネタバレになるためにどの作品かは言えません。でも、興味があったら探してみるのも一興かもしれません。
〇コズミック・ホラー
(主要参考作品:H・P・ラヴクラフト『クトゥルー神話』など)
外宇宙からやってきた旧支配者をめぐるタイプのホラー。これに関してはクトゥルー系以外はありえないということにもなります。
カクヨム発でもそのテーマのものが三作ありましたが、『伝奇アクション』や『ライトホラー』と分類した方が良さそうなので、そっちの方に統合しました。
〇スラッシャー・ホラー
(主要参考作品:『スクリーム』、『13日の金曜日』など)
いわゆる、殺人鬼的な存在が「割と凄惨な方法」で犠牲者を次々と手にかけていく様子を描いたホラーですね。『スプラッター・ホラー』との呼び名も。
〇パニックホラー
(主要参考作品:『鳥』、『ジョーズ』など)
狂暴な動物などが個体、もしくは集団で襲い掛かり、大勢の人間が犠牲になるようなタイプのホラーです。
〇鮫ホラー
(主要参考作品:『シャークネード』、『温泉シャーク』など)
パニックホラーの一部ではあるのだけれど、一番パニックを起こしているのは監督の脳内なのでは、と思うようなトンチキなアイデアが大量に出ているホラージャンルです。
サメが人を襲う……というところまではいいのだけれど、サメが森を歩き始めたり空を飛んだりなぜか温泉に現れたり、どんどんカオスな方向に行くという、ある意味でアイデア勝負とも言えるジャンルです。
このように、ホラーは分類しようとすれば様々なタイプのものが存在することがわかります。
「ホラー小説が好き」と言っても、この全部を万遍なく好きな人はあまり多くはないのではないか、とも思います。
なので、こうしてサブジャンルごとに分類することにより、『自分の好みの一冊』を手に取りやすくなるのではないかと本記事を執筆してみました。
こうした分類などを参考に、自分に合いそうな一作を見つけられる方がいれば幸いです。
尚、カクヨム発ホラーを年代別にまとめた別記事では、それぞれの作品の書影とあらすじも同時に掲載してあります。
サブジャンルごとに気になる作品が見つかったら、そちらの方も見て頂けるとよりイメージが掴みやすいかと思います。
