見出し画像

📚図書館改修編(完)|森の図書館、開館

森の図書館完成までの道のりを、
ダイジェスト形式で振り返ります。

こんにちは。
森の管理人こよりです。

今日は、司書のアキラが森の図書館に関わってきた半年間を、少し振り返ってみましょう

司書のアキラはある日突然、森の奥の古い建物の整理を頼まれました。

*  *  *

「アキラくん。ちょっと頼まれてくれるかね」
アキラがしぶしぶ足を運ぶと、
今にも朽ち果てそうな古びた建物
整理を頼まれたはずなのに、
始まってみれば、もはや発掘作業です。
せっかく見つけた掃除機も、
とんでもない代物でした。
それでも、アキラは少しずつ
建物の中を片付けていきました。
やがて図書館の改修工事が始まり、
作業はさらに本格的になっていきます。
そんなある日。
本の隙間から、ひらりと滑り落ちた
一枚の設計図。
さらにその後、屋根裏からは
謎の頭部まで見つかりました。

アキラは、そのことを知りません。
そして、いよいよ開館の日が近づいてきます。

長い時間をかけて整えられた建物に、
ようやく綺麗に本が並びました。
そして。
森の図書館は、静かに開館の日を迎えました。


*  *  *

開館初日。森の図書館には、多くの住人たちが訪れました。

物語を探す人。
暮らしの本を借りる人。
ただ静かに本を読むためだけに立ち寄る人。

それぞれが思い思いに本を楽しみ、少しずつ、この図書館は森の日常の一部になっていきました。

そして、アキラにも変化がありました。
元々は、改修のためにこの場所へ呼ばれただけでした。

最初は、館長に頼まれた仕事だったのです。
けれど、ここで作業を続けるうちに、
少しずつ気持ちも変わっていきました。

「せっかくここまでやったんだから、ちゃんとした図書館にしたい」

いつしか、頼まれた仕事は、自分が完成させたい仕事になっていました。そんなアキラの働きぶりを、館長もずっと見ていました。

そして開館を迎える頃、館長から声がかかります。アキラは、開館後もそのまま森の図書館で働くことになりました。

あれほど長い時間をかけて整理し、修繕し、ようやく開館まで見届けた場所です。

そこには今、本を借りに来る住人がいて。
毎日の仕事があって。

いつの間にか、森の図書館はアキラにとっても、自分の居場所になっていました。

「俺の図書館……
本当にそんな感じになっちまったな」

開館から数日。返却棚には、毎日のように本が積み上がるようになりました。

アキラは返却された本を抱えながら、小さく息をつきます。

「開館したら暇になると思ってたんだけどな……」

そうぼやきながらも本を棚へ戻していきます。

「……まぁ、悪くないか」



それから半年。森の図書館はすっかり森の日常の一部になっていました。

訪れる住人も少しずつ増え、アキラもこの場所での仕事にすっかり慣れていきます。

毎日この場所を訪れる人々も。
毎日少しずつ増えていく返却本も。
今では、すっかり図書館の日常の風景です。

その一方で、改修中に見つかった設計図や、屋根裏から出てきた頭部。そして、あの埃を巻き上げた円盤のことは、いつしか記憶の片隅から消えていきました。

だから、役場で調査が続いていることも、復元に向けた準備が進められていることも、アキラは知らなかったのです。



そんなある日のこと、館長のもとに一通の通知が届きます。

【遺物復元計画 完了】

図書館閉館後。

「アキラくん。ちょっといいかね」

「……」

「……変な話じゃないですよね?」

「というと?」

「いや怖いんですよ。館長が声かける時って、ろくなことないんですから」

「そうかね?」

「そうですよ! 半年前のこと忘れたんですか?あの時駆り出されたの僕一人だったんですから」

「はっはっは。そうだったね」

「もう、本当に館長のそのセリフは、嫌な予感しかしないんですよ」

「安心したまえ。今回はただの報告だ」

館長は一枚の通知を差し出した。

「これを見てくれたまえ」

アキラは紙に目を落とす。

「……復元計画   完了? なんですか、これ」

「うむ。あの金属製の円盤、復元されたらしい」

「あの円盤?」

「そう。改修のときに見つかった、あの……」

「ああ、あの掃除機のことですね。
あれ、やっぱり壊れてたんですか?」

「というと?」

「おかしかったんですよ。埃を吸うどころか、巻き上げてばっかりで」

「はっはっは」

「いやいや、笑い事じゃないですよ。あのあと大変だったんですから」

「そうかね。私はその様子を見ていなかったものでね」

「まぁ、そうですね」

「それでね。頭部と同じ素材だったそうだ」

「……」

「……え?」

「頭部だよ。工事中に見つかっただろう?」

「……あいつ、頭もあったんですか?」

「知らなかったのかね?」

「知らないですよ!
僕が見たの、あの掃除機だけですよ!」

「ああ……そうか」

「まぁ、明日になれば面白いものが見られるよ」



(続く)



──そういえば。
今回の話の、事の発端はあの日でした⬇︎

アキラが苦労した、図書館改修編はこちら⬇︎

アキラの初登場回⬇︎


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集