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暮らしの森|いいもの見つけた|モコ

森の中は、午後の光でやわらかく満ちていた。

モコは小さな川のそばでしゃがみこみ、じっと手の中を見つめている。

「……きれいだモコ」

ツルツルしてて、まん丸な、形の良い石。
光を受けて少しだけ光っている。

モコはそれを持ち上げて、角度を変える。
すると、またきらっと光る。

「……!」

ぱっと顔が明るくなる。

「すごいモコ!」
「見せるモコ!」

誰に、とは考えていない。
ただ、このまま自分だけで持っているのは惜しいと思った。

立ち上がり、
石をぎゅっと握ると、そのまま走り出した。

しばらく歩いて、
最初に見えてきたのは森の図書館。

迷いなく扉を押す。
ぱっと明るい声が、図書館の中に広がる。


「いいもの見つけたモコー!」


何人かが顔を上げる。
静かだった空気が、ほんの少しだけ揺れた。

近くにいた司書が顔を上げた。

「ここは図書館だから、少し声を小さくしようね」

モコはきょとんとする。

「なんでモコ?」

「本を読んでる人たちの邪魔になっちゃうかもしれないから」

少しだけ考えて、小さくうなずく。

「……わかったモコ」

「それで、何を見つけたの?」

モコはぱっと顔を明るくした。

「これだモコ!」

小さな手が、すっと差し出される。
それを受け取り、指先で転がした。

「……どれどれ」

つるん、とした丸い石。
だけど、どこにでも落ちているような、
見慣れた質感のものだった。

モコは顔を上げ、目を輝かせる。

「モコが見つけたモコ!」

「キラキラしてたモコ!」

司書はメガネをずらし、
少しだけ目を細めた。

「……いい石だね」

そう言って石をそっと返す。

モコは満足そうな顔でそれを受け取ると、
大事そうにぎゅっと握った。

「また来るモコー!」

ぱたぱたと、小さな足音が遠ざかっていく。

やがてその音も聞こえなくなり、さっきまで賑やかだった扉の向こうには森の風だけが残った。

部屋の中は、また静けさを取り戻していた。

さっきの石のことを思い出して、
司書は少しだけ手を止める。

「……いい石だね、か……」

窓の方へと視線を向ける。
外では小さな背中がまだ森の道を走っていた。





#モコ森


暮らしの森には、いろんな住人たちの
物語が詰まっています。
(好きな順路で自由に散策してみてください)

この森をもう少し歩く⬇︎

モコってどんな子?⬇︎

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