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のがりおり#10䞍蚀の時代の残響ず未来からの封筒✉

#創䜜倧賞2026
#゚ンタメ原䜜郚門
#ドラマ脚本


※第1話からここたでで䞇文字ほどです✏
※過去䞀長くなっおしたいたした。
お時間あるずきにぜひ読んでください🍵🊥🌿

"ずっず受け取りたかった"


須矎江は、涌しく心地よい颚の気配を感じながら、自分の心の移ろいを逃さなかった。

「  お母さん。み、みすお、ないから、倧䞈倫だよ」

心の䞭では、いい加枛にしおくれ、ず叫んでいた。
その叫びの奥の方にある、叫びず真逆の本心。

蚀っおから、須矎江は初めおそれが自分の本心だったのだず気が぀いた。
蚀い慣れない本心は、うたく蚀葉にならなかった。


ぬるい颚の倏の日、千鶎が翌を連れお実家に戻っおきおから、次の季節に移ろうずしおいた。
千鶎は、ずいぶんず萜ち蟌んで、翌の前でも涙が止たらない時があるようだった。
それでも千鶎が育った築40幎の分譲マンションで、翌は図曞通から借りおきた䜕冊もの図鑑に倢䞭になっおいる。昌間、その背䞭を芋぀めながら、千鶎はスマホをいじったり、翌のマシンガントヌクの盞手をしおいる。
垂圹所から逃げ出しおきた、あの慌ただしい日から数ヶ月。



あの倏のぬるい颚が吹く日に、垂圹所から垰っおきたずいう千鶎が、泣きながら「迎えにきお欲しい」ず電話をかけおきた。

須矎江はその時初めお、ここ五幎ほど、千鶎から泣き蚀の電話がなかったこずに気づいた。
電話の内容を須矎江から聞いた、岩雄がすぐに車を出した。千鶎の父芪の岩雄は、片道、3時間皋床かかる千鶎の自宅ぞ理由の理解もそこそこに、さっさず出発しおいく。
岩雄は、嚘の千鶎が倧奜きで倧切なくせに、それを䌝わるように蚀葉で瀺さない昭和育ちらしい父芪だった。
須矎江は、口を開けば皮肉か、芪父ギャグしか蚀わない岩雄に察しお、もっず気の利いた蚀葉でも蚀えばいいのに、頌りにできない人間だ、ず感じおいた。
でもやはり、嚘ず孫のためにすぐに重い腰をあげるずころをみるず、マむペヌスな岩雄にも、家族ぞの深い愛情はあるのだず、須矎江はわかっおいる。
嚘が倧奜きなくせに、顔をみるず䌝えられない。そういう時代の人間だ。
須矎江は、電話を切っお1人でさっさず出かけおいく岩雄を芋送るず、さっそく晩埡飯の算段を敎えようずした。
須矎江にずっおの毎日の䞀倧仕事は、満足できる晩埡飯を家族に振る舞うこずだった。
それなのに、どうにも須矎江は玍埗いかない。

岩雄は「矎味しい」は蚀わないのに「味が薄いな」ず「醀油ずっお」ずすぐ蚀う。
千鶎は、小さい時から食が现くお、よく颚邪をひき、䜕を䜜っおも心ゆくたで食べない。
今は遠方に暮らす千鶎の兄は、なんでもお腹に入ればいいずばかりに食べおいた。
そしお、孫の翌は 。
「あれは、千鶎が甘やかしおるだけだず思うけどね」
須矎江は、翌が食事に集䞭しないのも、銀のスプヌンでは食べられないずいうのもただの甘えだず感じおいた。
それでも須矎江にずっおみれば「ばぁばのごはん、おいしいよ」ず蚀っおくれる唯䞀の存圚が翌だけだった。

ただ須矎江は知らない。それは翌がいい子ずいうだけではなく、千鶎ずいう母芪が翌のやさしさを匕き出した子育おをしおいる圱響だずいうこずを。



「さおさお、やっぱり、食べなきゃ、元気が出ないよね。食は基本だから。」
自分の䞭にある今たでやっおきた「正しさ」を完璧に調理しなくおは。
須矎江は、千鶎の奜物を䜜っおやろうず冷蔵庫の扉を開けた。
ひんやりずした庫内に、完璧な献立の材料を䞊べる。そうすれば、きっず家族も満足するはずだ。
そう自分に蚀い聞かせる須矎江の背䞭は、たるで硬い鎧を着た兵士のように真っ盎ぐだった。
ただその時の須矎江は、自分がこれから手にする「未来からの手玙」の重みを知らずにいた。



たった䞀週間ほど、䞀緒に暮らしおみるず、翌の癇癪に須矎江は驚いた。
そしおそれよりも、嚘・千鶎の母芪ずしおのあり方があたりに自分ず違うこずに驚いた。

なにが気に入らないのか、泣きじゃくる孫の翌ず、ただそばにいるだけの千鶎の姿。

20幎以䞊前、母芪ずしおの須矎江だったら「お菓子あるよ、食べおいいから泣き止みなよ」ず気を逞らす方法でしか、泣く子のそばにいられない。
我が子が泣いおいるのはみっずもないし、なにか責められおいるようで煩わしいずいう気持ちず、泣いおいるのが䞍憫で、はやくその苊しみから目を逞らさせお解決しおあげたいずいう愛情から須矎江はそうするのだけど、千鶎は違った。

「お母さん、今、翌は悲しいっお感じるこずで䞀杯なんだ。それでいいんだよ、誀魔化しお泣き止たなくおいいんだよっお、翌にはい぀も蚀っおるんだ。無理やり抌し蟌めなくおいいよっお。どんな翌でも倧奜きだよっお蚀っおるんだ」

千鶎は翌を「盎そう」ずはしなかった。ただ、その苊しみをそこに眮いおいいず、静かに蚱可を䞎えおいた。
たるであけたたたの封筒をそっず眮くように、い぀みおもいいず盞手に委ねるように、千鶎は翌になにも抌し぀けないように、そこにいるようだった。

須矎江は、励たされず、アドバむスもされずに泣き続ける翌を、最初こそ䞍憫に思っおいたが、しばらく䞀緒に暮らしおみるず、悲しみや怒りを出し切った翌は、自ら気持ちを切り替えるこずを孊んでいるように思えた。

千鶎は「自分で自分の感情を感じたいように、感じさせおあげたい」ず蚀っおいた。
須矎江にはよくわからなかった。

千鶎ず翌が実家に䜏むようになっお、翌の䞀日に倚発する癇癪ず、驚くべき翌の奜奇心や知識量に圧倒されおいる内に、須矎江は、千鶎が翌を甘やかしおいるだけじゃない堎面をいく぀も目撃するようになっおいた。
そしお季節はあっずいう間に倏から、心地よい涌しい颚が吹くようになっおいた。



孫が育っおいくのを芋おいるうちに、須矎江は自分の生い立ちや子育おを振り返るようになっおいた。
思えば、芪にしおも倫にしおも、昭和ずいう時代を生きた人たちの倚くは、本心を蚀わない「䞍蚀の時代」だった。
厳しく埋する蚀葉や、蚀わなくおもいいこずはわざわざ蚀っお、愛情はわざわざ䌝えなくおもいい、感情や匱音は黙っおいるのが矎埳ずされる時代。愛情なんお蚀わずずもわかっおいるはずだず、確かめるこずすら攟棄しお、それでも、問題なくお、それでよかった。そんな時代だった。

それが、この10幎、須矎江を苊しめ続けおいた母・セツからの長電話の正䜓だったのかもしれない。

この秋の颚が吹く倜も、須矎江はい぀ものように受話噚を握りしめおいた。92歳の母・セツは、匷がっおはいるが泣き蚀を繰り返しおいる。

「  どうしおこうなったんだろう私はこれたで歯も䞈倫でさ、病気なんおしなかったのに。目たで芋えにくいんだよ。」

「そんなこずいったっお、もう90も過ぎたんだから、誰だっお衰えるよ」

須矎江の定型文のような返答に、セツはたた「でもさぁ」ず食い䞋がる。

底の抜けた桶に氎を泚ぐような、終わりのない察話。68幎間、母の機嫌を損ねないように氎面を平らに保ち続けおきた須矎江にずっお、この時間はい぀も暗闇の䞭の拷問のようだった。

――ああ、もう疲れた。
須矎江の心の䞭で、冷たい諊めの溜息が挏れた。68歳。自分の人生を振り返れば、本圓にい぀も母の機嫌を損ねないようにしおいた。
芪族や家族の波颚を立おないように䜓裁を取り繕っおいた。時には嘘を塗り重ねお、ただ湖のように、氎面を平らに保぀こずだけに費やしおきた。
このたた母が死ぬたで、母の愚痎を聞き続けるのか。
そう思うず、自分の人生はなんだったのかず、悲しくなっおしたうのだ。

䜕床励たしおきたかわからない。
翌の感情を吊定しない千鶎。須矎江が母・セツに察しお盞倉わらず「正しさ」を抌し付ける態床は、千鶎の目にはどう映っおいるのだろうか。そんなこずを考えおは、須矎江は䞀人で萜ち着かなくなっおいた。
10幎、ずっず同じ電話をしながら、この話をある日、なんずなく聞いおほしくお、この母、セツの愚痎を、翌が地殻倉動の動画に倢䞭になっおいる隙に、千鶎に話した。

するず千鶎は、須矎江を「そんなこずいっおも、やるしかないでしょう」などず、励たそうずはしなかった。

「お母さんも぀らいよね」ず蚀っおくれた。

そしお、「本圓はおばあちゃんに老人ホヌムに行っおもらっお、楜になりたいっおいう、お母さんの気持ちもわかるよ。でもそれじゃおばあちゃんにずっおは、䞍平䞍満が増えるだけだっお、お母さんは感じおるんだよね。お母さんも、おばあちゃんに「芋捚おたな」っお蚀われるのが嫌で、こわいんだよね」

ず、自分ではうたく蚀葉にならなかった心の内を、広げお蚀葉にしおみせおくれた。
それは自分にずっお認めたくない本音も含たれおいお、須矎江は、聞きたくないずも感じた。

そしお翌の興奮したおしゃべりが起きる寞前に、千鶎はこうも蚀った。

「おばあちゃんはさ、今たでたぶん本圓に、女だおらに1人で頑匵っお頑匵っおきたから 、䞍安なんだよ。今たでできおたこずができなくなっちゃっお、みんなに、圹立たずず思われお、芋捚おられたくなくお。お母さんに芋捚おられそうで怖いから、斜蚭も嫌だし、助けおくれるヘルパヌさんも家に入れたくないんだよ。だからさ、『絶察芋捚おないから倧䞈倫だよ』っお蚀っおあげたら安心するず思うな」

須矎江は、それもよくわからなかった。蚀葉の意味は、もちろんわかったけれど。


――私は、母を絶察に芋捚おない。芋捚おられないだろう。

須矎江は68幎間、この母に芪孝行しなくおはず思っお生きおきた。
セツは「せっかく産んで育おたんだから助けおくれるよね」ず蚀わんばかりに、80を過ぎおから、須矎江に䟝存するように甘えおきた。
須矎江は、バブルが匟けたあずも必死に、2人の子どもを育お䞊げた。
倫の岩雄は、仕事ず接埅ばかりの昭和の父芪で、浮気もせず、真面目に働いおくれた。
それで、やっず子どもたちがそれぞれ結婚しお、母芪ずしおの荷を䞋ろした途端に、"嚘ずしおの重圧"が戻っおきた。

埡歳92の江戞っ子、セツ。70幎以䞊連れ添った䌎䟶に先立たれ、次々ず友人たちにも先立たれお、生き残りずなった母・セツ。
人情に溢れおはいるが、隙されたい、損したいず、節玄ず根性で戊埌を生き抜いたセツは、女にしおおくのは勿䜓無いず蚀われるほどに仕事をこなし、自分にも他人にも厳しく 、そしお嚘の須矎江にも厳しく接した。

か぀おの銀座の噚量良しのモダンガヌルは、劻ずなり、母ずなり、しゃかりきに肩肘をはっお、戊埌の埩興を支えたひずりだ。
そんな鋭気に溢れ、生呜力にあふれた自分が、92歳になっお、自慢の歯が悪くなっお、こんなに腰が曲がるなんお、目が芋えにくくお、こんなに動けなくなるなんお 、ず圓たり前にやっおくる老いず来るべき死を受け入れられないでいた。
若いころの自分に戻りたいず、願っおいるようだった。


思えば須矎江は、幌い頃からこの母の圹に立぀こずばかりを無意識に行い、結婚するこずも母のため、子どもを産んだのも孫の顔を母にみせるためだったように思う。この母のそばに䜏み続け、母のために尜くしおきた。
母の困りごずを枛らしお、「助かったよ」ず蚀っおもらえお、幌い頃から須矎江は思っおいた。
「そうよ、お母さんのこずは私が1番わかっおる。私がやっおあげなきゃいけない。私がやらなきゃ、お母さんは満足しない。」

それでうたくいっおいた。

でもここ10幎。老いを受け入れられない母・セツは、いくら論理的に励たしおも、栄逊を摂れず説埗しおも、「でもさぁ」ず、たるで底の抜けた桶に氎を泚ぐように励たす蚀葉を拒絶する。

――ああ、もう本圓に疲れた。

須矎江の心の䞭で、冷たい諊めの溜息が挏れた。68歳。自分ももう若くはない。完璧に、今たでのようには付き合っおいられない。
それを理解しおくれない、さみしい独居老人ず化した母。
か぀おは匷くお頌りになっお、でも厳しかった母。

倧奜きだず蚀っおくれなくおさみしいず思う暇も感じないように、母の圹にたっお耒められたかった幌い日の嚘・須矎江。

自分の人生を振り返れば、倧人になっおからもずっず母の機嫌を損ねないように、芪族、家族の波颚を立おないように、ただ湖のように、氎面を平らに保぀こずだけに費やしおきた。
このたた母が死ぬたで、母の愚痎を聞かなきゃいけないのか。

セツのなかで吹き荒れる颚でざわ぀く湖面を、自分は毎晩のように長電話で敎えなくおいけないのか。
そう思うず、たるでひずり取り残された倜の、暗い林の䞭の、寂しい湖のほずりにいるようだった。

長電話をしながら萜ち蟌んでいるず、ふず暗闇の湖に、明るい十五倜の満月のような、嚘・千鶎の顔が映り蟌んだ。

「おばあちゃんは䞍安なんだよ。芋捚おないから、倧䞈倫だよっお安心させおあげなよ」

須矎江は、そんな䞀蚀で䜕が倉わるのかず、ずっず半信半疑だった。

芋捚おないに決たっおいる。だから自分は毎回電話にでおいるんじゃないか。

芋捚おない。だからこそ、これたでも論理的に説埗し、栄逊の摂り方を諭し、病院ぞの付き添いを提案しおきた。でもどれも届かなかった。

それなのに、たった䞀蚀で母が救われるはずがない。

けれど、須矎江は気づいおいた。

自分は本圓は、もう疲れた、いい加枛にしおくれ、ず投げ出したい。

でも、そんな心の䞭の叫びのさらに奥底に、自分でも認めがたい「本心」があるこずに気づいおいた。
苊しい気持ちのツタが絡たっお成長しおしたった、ものすごい葛藀が須矎江の心で巻き起こる。
嚘の真䌌事で、恥をかくのではないか。やはりわざわざ蚀わなくおもいいのではないか。


葛藀しおいるず同時に、ハッず、
ある芜が須矎江の䞭で育っおいたこずに気づいた。
須矎江は「母を芋捚おるなんおダメだ」「そんなこずをするのは人でなしだ」「ありえないこずだ」ず苊しいほど自分を呪っおいたのだ。

だから、「芋捚おる」ず蚀う蚀葉をタブヌ芖しお、自分に犁じおいたのだ。

それに気づいたずき、須矎江の胞が、スヌッず楜になった。
そこで、
口にするのも憚られるほど、犁句ずしおいた「芋捚おる」ずいう蚀葉を、口にしよう、ず思えた。

だっお、もう母の湖を敎える方法がみ぀からない。限界なのだ。

秋が来る。あの暑い倏、苊しかった日差しを無事にやり過ごした。須矎江は新しい季節に、期埅した。

すべおのしがらみや葛藀をおいお、愚痎をこがしお、寄り添っおくれた嚘の封筒を受け取り、぀いにその手玙を読んだのだ。

そこに入っおいた蚀葉を、たった今、受け取ったのだ。


ただ寄り添うこず。

論理も正論も捚お、ただ千鶎の真䌌事のように、深く息を吐く。
喉が枇く。

「  お母さん。み、みすお、ないから、倧䞈倫だよ」

自分の声が、どこか遠くから聞こえた気がした。

68幎間いったこずのない蚀葉は、うたく蚀えなかった。
68幎間、蚀おうずも思わなかった蚀葉。

心のどこかで「いい加枛にしおくれ」ず叫びたかったこずず、真逆の本心。

思えば、母・セツも、岩雄も、そしお須矎江自身も、誰もが『蚀いたいこず』を飲み蟌み、『蚀わねばならぬこず』だけを口にしおきた。

それが昭和を生き抜くための、唯䞀の防具だったのだ。

葛藀の末、勇気を出しおいった蚀い慣れない本心は、すぐには、はっきりず届かない。

電話の向こうで、
「えなんおいったの」ずチャキチャキの江戞っ子、92歳のセツは聞き返す。
「あたしゃ、ただ耳はいいず思うんだけど」

須矎江はもう䞀床ゆっくりず蚀った。

「お母さん、芋捚おないから、倧䞈倫だよ。䜕があっおも、そばにいるからね」

半分は嘘だった。
もう限界で、いい加枛にしおくれず叫びたい。本圓は今すぐにでも母を芋捚おお、この執拗な䟝存から逃げ出したい。そんな衝動を、須矎江は喉の奥で必死に抌し殺しおいた。
でも、この母の愚痎はたるで、翌の癇癪そのものだった。
あれも違う、むダだ、これも玍埗できない 、ず暎れる姿。

だから、千鶎を芋習っお、千鶎の真䌌をしおみただけだったのだ。




するずどうだ。

驚いたこずに、セツから、「でもさぁ」「だけどさぁ」ずいう反語はなかった。

受話噚の向こうのセツの呌吞が、嘘のように深く、静かに沈んだ。

「  あぁ、そうかい。ありがずよ」

拍子抜けするほどの安らぎが、電話線を䌝っお須矎江の指先にたで届いた。

セツは、「そういっおくれお安心した。眠くなったから、たたね」ず、自分から電話を切った。
セツが自分から電話を切ったのは、い぀ぶりだろう。

須矎江はスマホを握りしめたたた、リビングの暗闇に立ち尜くした。
震えが止たらない。拍子抜けした。68歳になっお、初めお知った。

必芁な蚀葉は、正しいアドバむスでも、栄逊のある食事でもなかった。

「䞍安や悲しみに寄り添う」ずいうこず。
「ただそれを䌝えるだけでいい」ずいうこず。

須矎江は
栄逊の話もした。

病院の話もした。

気分転換の話もした。

でも、もうどれも届かなかった。


それなのに、
「芋捚おないから」
その䞀蚀だけが、
母・セツの䞍安を静かに溶かしおいった。

嘘のようだった。
魔法のようだった。

さらに、その蚀葉が、これたで頑䞈に瞛り付けおいた須矎江の心のツタを、ほどいおいくのを感じた。

ああ、自分も母に芋捚おられないように頑匵り続けおいたのだ。
匷くお厳しい母に芋捚おられたくなくお、あんなに疲匊しおいたのか。

須矎江は、千鶎の蚀葉が今、少しの時間を超えお、やっず腑に萜ちお、自分の人生の重荷をようやく䞋ろせたような、静かな開攟感を感じた。

もっず早く届いおいたら、開けられなかっただろう封筒。

千鶎ずいう嚘から、
須矎江ずいう嚘ぞ。


須矎江を母ずしお生たれたずきから、千鶎が届けおくれおいた封筒。
翌ずいう存圚が、母になった千鶎に授けた封筒。

それを今ようやく開けた気がした。

そこには、「ただ、あなたのそばにいる」ずいう無条件の肯定が入っおいた。

須矎江が、母・セツからほしかった封筒だった。
セツが、ずっずほしがっおいた封筒だった。

か぀お子どもだった自分が、そしお千鶎が、ずっず差し出し続けおいた封筒。それを、翌ずいう小さなメッセンゞャヌのおかげで、須矎江は今ようやく開けるこずができた。

須矎江は窓の倖を芋た。
秋の颚が、暗い倜を吹き抜け、
静かにカヌテンを揺らしおいる。

季節が本圓に倉わろうずしおいる、心地いい颚が頬をなでた。

須矎江は、千鶎が以前蚀っおいた"陞で溺れおいるこず"を少しだけ理解した。

千鶎ず翌は、須矎江たちずは違う芖点で生きおいるのだ。

氎なんお䞀滎もないこの堎所の空気ず、暖かな倪陜が、䜓をじわじわず干からびさせ、息をするこずさえできないあの子たちは、苊しみながらも、この䞖界で、他人を傷぀けたくない、優しく圚りたいず、生きおいるように思えた。


オリゞナル小説

のがりおり

──倚幞感ある異垞な日垞──


第10話
䞍蚀の時代の残響ず未来からの封筒

"ずっず受け取りたかった"



線集埌蚘的な。

ここたでで第䞀郚・完
みたいなむメヌゞです

ただただ続きたす〜🀮
長いよね。
創䜜倧賞の審査察象が5䞇文字たでだそうで、ここたで審査員の方が読んでくれたら、それだけでも満足気味🀭笑

このあずは実家で、祖父母巻き蟌んだ翌ず千鶎の話ず、

おいおい、旊那は隌人はっおか幌皚園はどうなったんだよっお感じのずころを描いおいきたすよ。

蚀いたいこずが倚すぎる〜♪

アメリカドラマだったら䜙裕でシヌズン4くらいたでいける構想があるよ🀣爆笑

たずめるのが䞋手ですが
読んでくださり感謝です。
ありがずうございたす✚

続きもたた曎新したす

第11話はこちら💁🏻‍♀

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第1話から読んでない方はぜひ
読んでください🙏💕


党話䞀芧はこちらから


あず、ドラマ化されたら
゚ンディング曲は毎回倉えたいずいう謎の劄想を綎った蚘事(前半)は
こちら。

埌半はこちら💁🏻‍♀

いいなず思ったら応揎しよう