若く見られて嬉しかったのは30代までだった
僕は、わりとよく若く見られる。
自分で言うと少し気持ち悪いが、これはもう仕方ない。
実際、かなりの頻度で言われる。
だいたい「20代後半くらいかと思った」と言われることが多い。
ちなみに、僕の実年齢は満41歳である。
ゲイバーや飲みの場で言われるだけなら、まあその場のノリもあるだろうと思う。
お酒も入っているし、多少のリップサービスもある。
ただ、それだけではない。
仕事の面談でも言われる。
クライアントとの打ち合わせでも言われる。
飲み友達のおじさんからも言われる。
ここまで来ると、もう自分の中でも、
「ああ、たぶんそう見えるんだろうな」
と思うようになった。
ただ、実は昔から「若く見られていた」わけではない。
むしろ逆で、昔は老け顔と言われることのほうが多かった。
たぶん、大人っぽい顔立ちだったのだと思う。
20歳くらいの頃でも、「20代後半?」と聞かれることが普通にあった。
当時の自分としては、かなり嫌だった。
まだ大学生みたいな年齢なのに、なぜか妙に社会人感だけがある。
年齢不詳というより、“若者感が薄い”タイプだったのだと思う。
ところが不思議なことに、その「20代後半くらいに見える」という印象が、その後あまり変わらなかったらしい。
30歳になっても、
35歳になっても、
なぜかずっと「20代後半くらい」に見られ続けた。
そして、そのまま40歳になってしまった。
理由は、たぶん肌がきれいなことと、丸顔なことだと思う。
顔の輪郭があまりシャープではないし、シワもそこまで増えない。
年齢を重ねることで“追いつかれる側”だったのかもしれない。
30代くらいまでは、それが普通に嬉しかった。
「若く見える」と言われれば、そりゃ悪い気はしない。
少し得をしているような感覚もあった。
でも、最近は少し感覚が変わってきた。
41歳になっても「20代後半に見える」と言われることが、単純な褒め言葉として受け取れなくなってきたのだ。
具体的に、僕が遭遇した「若見えの弊害」を3つほど挙げてみたい。
その①
ゲイバーで口説かれたとき、相手が「若い子好き」ではないか気になる。
これが、昔はあまり分からなかった。
30代の頃は、単純に「モテてラッキー」くらいに思っていた。
でも40代に入ると、逆に申し訳なさが出てくる。
相手が、
「若い感じの子だな」
と思って話しかけてきていた場合、
実際には41歳のおじさんだった時の“落差”がすごい。
もちろん、年齢を言って離れていく人ばかりではない。
むしろ「えっ、全然見えない!」で終わることも多い。
ただ、こちらとしては、
「なんか騙したみたいだな……」
という感覚が残る。
別に年齢を偽っているわけではない。
聞かれれば普通に答える。
でも、“若いと思って近づいてきた人”に対して、
「実は41歳です」と明かす瞬間だけは、いまだに少し気まずい。
その②
ゲイバーで、ママがお客さんを案内するときに言った。
「じゃあ、見た目だけ若い子の隣に座って〜」
店内は笑いが起きる。
僕も笑う。
でも内心は、少し複雑だった。
別に好きで若く見えているわけではない。
努力して童顔を作っているわけでもないし、
若作りファッションをしているわけでもない。
ただ、なぜかこういう見た目になってしまっただけだ。
しかも、「若い子」ではなく、
“見た目だけ若い子”という扱い。
もう概念がバグっている。
40代のおじさんなのに、
ポジションだけ20代後半枠に置かれる。
気づけば、自分の実年齢よりも、
“見た目としてどう扱われるか”のほうが優先されるようになっていた。
その③
これは、かなり複雑だった。
発展場でセックスしていたときのこと。
相手から、
「若いよね? いくつ?」
「まさか未成年じゃないよね?」
と聞かれた。
続けて、
「高校球児犯してるみたいで興奮する」
と言われた。明らかに若い子好きだ。
しかし、年齢は言えない。この人の夢を壊してはいけない。
そのままセックスしていたが、申し訳なさからきつくなってきて、中断を申し出たら
「もう限界なの? もう大人なんだから我慢できるでしょ?」
と、なんか子ども扱いされる。
その時、自分の中で妙なズレが起きる。
身体は40代。
社会的にも完全におじさん側。
でも、相手の中では“年下の男の子”として処理されている。
最近はだんだん笑えなくなってきた。
贅沢な悩みだと言われるかもしれないけれど、
僕は一刻も早く、
見た目も中身も「年相応の、渋くて落ち着いた41歳のおじさん」になりたい。
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